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SDGs 海の豊かさを守ろう 想いが行動に現れると世界が変わる

とても綺麗な海をみた。
冬なのに穏やかな天気に恵まれていたから、広い空と深い海によって、視界の端から端までを微妙なグラデーションの青が埋め尽くした。

いつも見上げる私の空はとても狭い。
太陽も月も、私が空を見上げてもそれを遮る高い建物の影に隠れて大抵は見つからない。
星は24時間明るい都心の光にかき消される。

だから海の上に連れて行ってもらった時は開放感が私を高揚させた。
無機質な都心に住み、狭い水槽に囲われた水族館に足繁く通う私が、作り物ではない地球を感じるのに海はとても素晴らしかった。
小さな空も、閉じ込められた魚もそこにはいない。

太陽が反射してキラキラ光る海面に、カモメやウが群れをなして魚を探している。

青い空のその奥に、途方もない数の星がある。
碧い海の底に数え切れないくらいの豊かさがある。

とても多くの生命を含んでいて、だから海は美しかった。

わたしには見えないものを追いかけて見せてくれた彼が、「世界はもっと広いんだよ」と言っていたことを思い出した。

見えないけれども、そこには確かにある世界を感じる。
見えないから大切にしないと、すぐに汚れてしまう。

ヒトはわかりやすく目に見えていないと、すぐに無かったことにしてしまう。
今生きる自分に損がなければ、それでいいと思ってしまう。

わたしはその綺麗な世界はできるだけ綺麗なままであってほしいと思っているし、汚れないようにと願っている。

それは地球環境だったり、心だったりする。
綺麗なままであって欲しいと誰しもが思っているけれど、時の流れとともに確実に小さなゴミが溜まっていく。
そのゴミを拾って、分別して、正しく処理していかなければならないと思った。

2050年の海とマイクロプラスチック

今からたった30年後の海は、海洋プラスチックによって魚の数よりも多いゴミが海を埋めると予測されています。

今ある海が、魚よりも多い量のゴミが浮かぶ海となる。

私たちには何ができるでしょうか?

例えば、海洋のゴミは陸地から運ばれるので、ゴミをゴミ箱にきちんとすてる。分別する。
落ちているゴミを拾う。

日本人として当たり前に教育された行動が世界を守っているという事実を知る。

(上記資料 OECD 2018)
プラスチックの生産量は急激に伸びており、この事実から2015年には40,700万トンだったプラスチック生産量は2050年には160,000万トンと4倍になり、ゴミも同様に増える事が予測されます。

プラスチックは街中に多く捨てられています。
私は毎月1週間ほど家の前と近所の公園を掃除していますが、ペットボトルやお菓子、パンやおにぎりの包装、ビニール袋はやはり目につきます。

海洋ゴミは基本的には街で捨てたられたものが海に流れ着き、海岸で波や紫外線等の影響を受けるなどして、やがて小さなプラスチックの粒子となります。
5mm以下になったプラスチックは、マイクロプラスチックと呼ばれていますが、これらは細かくなっても自然分解することはなく、数百年間以上もの間自然界に残り続けると考えられています。

ビニールを間違えて食べるクジラやウミガメは以前から問題となっていますが、それらゴミのほとんどは直接海に捨てられたわけではなく、陸地から運ばれてきたものと考えられています。

海を汚さずにヒトが生きれたら素敵だけれども、それは増え続ける世界人口と経済成長によって、意識を変えないといけない事実が暗い未来を予測します。

汚れた海と、魚のお腹に詰まるプラスチック。

それはとても嫌な予測です。

だからSEALIFEという世界中に展開している水族館では海洋プラスチック問題を大きく取り上げる展示方法で世界の子どもと家族にゴミ問題の警告を鳴らしているし、海に携わる人たちや、海を愛している人たちは綺麗な海であることを心より望んでいます。

平成30年7月に環境省が出した資料をみてみましょう。

世界中で年間おおよそ800万トンものゴミが海に流されていて、海に流出したプラスチックごみの年間流出量の割合は日本は30位(2010年推計)です。

海洋ゴミの多くはペットボトルやレジ袋であり、日本ではレジ袋が有料化されたことによりプラスチック削減への取り組みがされてきました。

日本人の意識は素晴らしく、ゴミが落ちていない綺麗な街は国民の意識の高さを感じさせます。

しかし悪気なく行った行動が水質を悪化させているかもしれません。
それは例えばお風呂などで何気なくコンタクトレンズを流してしまう人からもみてとれます。

アメリカのアリゾナ州立大学は、使い捨てコンタクトレンズの多くが洗面所やトイレで水に流され、マイクロプラスチック汚染の問題を悪化させている可能性があると研究で明らかにしました。

アメリカのコンタクトレンズ使用者の15〜20%は、使用済みレンズを洗面所やトイレで流しているというので、年間で推定18億~33億枚ものレンズが下水に流されている計算になります。

コンタクトレンズの捨て方一つでゴミが減ることを意識する。
それはたった少しの事かもしれないけれど、全員が細かいところまで意識する事で地球が汚れないのなら、そうすべきであると思う。
コンタクトレンズに限らず、ただのごみ1つを拾うことがバタフライエフェクトのように影響を及ぼします。

ゴミを拾うということは生産することではないために、労力を使っても決してプラスにはならないけれど、ごみの問題は今生きる人が責任を持たないと取り返しのつかない問題になってしまいます。

それは既にひとりひとりの意識をもっと変える必要があると同時に、国を挙げて取り組まなくてはならない問題でもあり、2015年9月に国連サミットで採択された17の国際目標であるSDGsでも「海洋資源、海の豊かさを守ろう」とあります。
また、途上国の意識改革を含めて日本は大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを実行計画しています。

災害

日本人はマナーがよく、ポイ捨てする人は殆どいないと信じていますが、台風や災害が多い日本ではどうしてもゴミが海に流れてしまう場面があると思います。

千葉県に近い海上で、いずれ来る災害の瓦礫を埋める穴を掘っているという場所をみました。

3.11が連想された。

いずれ誰かが入る墓穴を自らが掘っているようで、けれど災害対策としては必要なことで、その災害が起こった時の被害予測もたっている。
だから不気味さと怖さが綺麗な海との対比で不釣り合いに際立って、とても複雑な気持ちにさせた。

あの時の津波による大きな被害と多くの犠牲、混乱、瓦礫、大量に海に流された膨大な量の"生活だったもの"。

大きな地震も自然の一部である。

地震と津波と海。
自然が襲う時、人は小さすぎてどうしようもなくなってしまうから、だから穴を掘っているのだなと思った。

"自然を相手にすると、生きていることを実感できる"
そう言った彼の強さが、自然が怖くて逃げてきた私にはとても面白かった。

災害の備えは常にしておかなければならないと、危機意識を強めた。

マイクロプラスチックと有害物質

米コロラド州デンバーとボールダーで行われた雨水の調査で、90%の雨水にマイクロプラスチックが含まれていることがわかっています。
雨粒は、空気中の塵が芯となり水滴を集めて重くなると降ることから、空気中にも水にもマイクロプラスチックは含まれています。
水と空気にプラスチックが含まれているのならば、ヒトをはじめとするすべての生き物も日常的にプラスチックを摂取しているといえますが、プラスチック自体は体外に排出されるので問題は少なそうです。

しかし、問題なのはプラスチックが吸着した汚染物質を取り入れてしまうことです。
プラスチックの表面には細かな凹凸があり、有害な化学物質を吸着しやすい性質を持っています。
さらにプラスチック自体にも添加剤が使用されており、その添加剤が海洋汚染の原因にもなっていますし、吸着された環境ホルモンや汚染物質が、生物濃縮によって濃くなり、最終的にその生き物を食べる人間が一番高濃度の汚染に晒され、人体に悪影響を及ぼす恐れを懸念しています。

マイクロプラスチックは2種類あり、一次的マイクロプラスチックは製品の材料として人工的に加工されたもので、歯磨き粉や洗顔剤に使われ排水に混ざります。
二次的プラスチックはゴミが劣化によってマイクロプラスチック化することです。

人が摂取するマイクロプラスチックの量は、1週間で一人当たり5gほどにもなり、呼吸と食事で合計で約7万個~12万個、水道水から4,000個、ボトル水から9万個みつかっています。
オーストリアの研究グループが日本人を含む8カ国の人の便を調べたところ、全員から検出されていることから、やはり水にマイクロプラスチックが含まれるのならば魚、動物にいたるまで全ての生き物の体内にプラスチックが含まれていることとなります。
人体への影響はまだわかっていませんが、それはプラスチックの存在自体が1835年に初めて作られてから(フランス人化学者・物理学者のルニョーが塩化ビニルとポリ塩化ビニルの粉末を作成)1869年アメリカで商品化され、のちに汎用化してからまだ60年ほどしか経っていない歴史を考えると、これから地球上で現れる問題といえそうです。

さいごに

水産資源が世界的にみてもとても豊かで、鮮度の良いたくさんの種類の魚が楽しめる日本はとても恵まれています。

お魚が美味しいうちにたくさん食べたいと思ってるから、最近はお魚ばっかり食べてます。
日々海の恵みと、それに携わる方々に感謝する。

海がゴミに塗れて欲しく無いと願い、ゴミを拾う。

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