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クールビューティーな彼女と、僕

向かい合ってソファに座る君の強気なつり目がちの瞳に今、映されているのは僕――じゃなくて単なるファッション雑誌。そんな流行だとか何だとかなんて、全然気にしていないくせに。

ペラリペラリとページをめくる彼女のスラリとした指を見つめながら、僕は手持ち無沙汰に自分の親指の爪を噛んで。大好きな人が目の前にいると言うのに、僕は一人のときよりもつまらなさを満喫する。
あれ? 僕は彼女の恋人じゃあなかったっけ? と不安にさえ駆られるぐらいに彼女は僕を放置するもんだから。
好き同士で二人っきりなら、もっとこう何かあってもいいもんじゃあないの? 不満だってタラタラだ。

じろりと恨めしそうに、僕は雑誌にさえ嫉妬する。だけれどスラリ、指が雑誌から離れて、隣に置かれたコーヒーカップへと移る瞬間。僕は今だとばかりにその手を取った。

本来なら今頃コーヒーカップの持ち手へとかかっていた君の指は僕の手の中。満悦の表情で指を撫でさする僕とは反対に、見るからに不機嫌そうな彼女の手は、次の瞬間には僕の手の中から華麗にも逃げ、しかも逃げ様にでこピンまでかまして、雑誌の元へと帰ってしまった。

実に気に食わないと頬を膨らませた僕は、更に実力行使に出た。彼女の座るソファの後ろへとさっと移動したなら、そこからガバッと彼女の両腕を取り、上へとあげる。彼女はそう、万歳のかたちになった。
僕の手により万歳なんていう、阿呆な格好でありながらも、彼女は口は開かず、僕を上目に睨みつけて責め立てる。クールビューティ、そんな言葉がよく似合う彼女の視線は今、ことさら冷たくて、それでも僕を見つめていた。

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たけなわアヤコ

猫カフェ代、もしくはカラオケ代となり、私に癒しが提供されるボタンです。

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フリーライター兼、編集/ライター歴7年/札幌在住のバツイチアラサー/ブログやTwitterもやっていますが、ツイート以上ブログ未満のつらつらとしたつぶやきはこちらへ投稿しています。その場の香りや体温が匂い立つような文章を書きたい。