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そんな誘い文句考えてたよ

夕焼けのオレンジ色を映して雲がぷかぷか浮いている。
カラスが山へと飛ぶのを見て、山に七つの子でもいるのかしらん?と彼が言った。

僕と彼は二人並んで寝そべっている。公園の芝生の上。砂場やブランコで遊んでいた子供たちは帰り支度をしていたと思ったが、気付けばもう皆いなくなっていた。

ざざっと風が吹いて、全てをさらってしまったかのような少しの静寂。
まるでこの世界に二人きりになってしまったみたいだと思う。が、ひょっとすれば今度は彼までもを風が連れ去ってしまうかもしれない。想像して、身震い。瞬間、風が吹いた。僕の短い髪を揺らして、彼の方へ。僕は少しばかり胸をドキつかせながら彼の方へとゆっくり目をやった。

彼はいた――その背景に眩しい夕日を背負って彼はいた。
あからさまにホッとして、僕はついつい顔を弛ませた。それに気付いた彼は、横目にニヤニヤと笑みを浮かべて、何かすけべなことでも考えてましたか?と訊ねてきた。
すけべなことじゃあないのだけれど。本当のことを言うのは気恥ずかしくて、でもこの少しの非現実的な魔法の時間帯なら言ってもいいかも、なんて少しは思うのだけれど。やっぱり内緒。

ふわりゆらり光る夕焼けに、浮かぶ僕らふたりきり。
オレンジの魔法に包まれて、非現実的なドリーム気取りながら、ふたり手を繋いで。ゆらり揺れる空間と時間に身を委ね、ふらり歩き出したり、ぴたり立ち止まったり。きっと今なら思うがままにふたり行けるよ!

そんな素敵な不思議なオレンジの魔法、一緒に体験しませんか?


猫カフェ代、もしくはカラオケ代となり、私に癒しが提供されるボタンです。