坂上 敦志

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坂上 敦志

株式会社gif [ http://gif.ac/ ] / 建築家 / 福島で建築設計事務所に勤めています。出身は群馬でそちらでも活動していきたいと思っています。デザイン全般興味があります。

最近の記事

デザインのお話。

建築を学び始めたころに、アートとデザインの違いについて触れた記憶があります。 ざっくり言うと、アートは主張や批判、自己表出などの表現のためという側面が強いことに対して、デザインは単に見てくれをよくするということではなく、使いやすさや機能を向上させるなど、実用性を伴うということだと思います。 特に建築は強・用・美と言われるように、機能などに即した美しさを求められるデザインの領域かと思います。 今回は建築の話ではありませんが、機能や実用性について考慮された”デザイン”をご紹介

    • 椅子のお話。

      建築設計を行っていると当然、家具などのインテリアについても興味がでます。大学でもインテリアデザインという講義で、名作椅子などについて触れた記憶があります。家具やインテリアに興味があって、そこから建築設計の道に入っていく人も多いと思います。 有名建築家が家具デザインをすることも多く、特に椅子をデザインすることが多いように感じます。空間に留まるためのものであることや休息を目的としたもので、最も身体的スケールが求められる家具だからでしょうか、、、 名作椅子のオリジナルは、高価な

      • 線を消す。

        光や陰、開口部などの設計の話が続いたので、ついでにもう一つ、、、空間全体の印象や雰囲気を決めるディティールのお話しをしようと思います。 建築の本などで「ディティールが、、、」という言葉がよく出てくるのですが、建築の勉強を始めた学生時代なんとなくわかったような気でいて、今思えば、しっかりと理解していたわけではありませんでした。ディティールという概念は、実際ある程度の実務をこなさないと理解をするのは少し難しいものかなと思います。 建築で言うディティールとは細部の納まりという意

        • 窓のお話。

          前回の記事の中で、陰をつくるために、窓(開口部)の高さを変えるというお話しをしました。 今回は光や陰の取り方以外の視点で、窓を設計するときに、こんなことを考えています。というのをお話しできればと思います。 窓は、内部と外部の境界に設けるもので設計をする人の間では開口部という言葉を使います。 開口部という言葉は、窓以外にもう少し広い意味があり、内部や外部といった括りに関係なく、ある空間と空間をつなぐ境界にある開口のことを指します。つまり開口部には、窓だけではなく部屋と部屋

        デザインのお話。

          陰のお話。

          『陰影礼賛』を読みました。 建築の世界でも、必読書としてあげられることもあるくらいの本。お恥ずかしながら、読もう読もうと後回しにしてきて、最近やっと読みました。 この本は1939(昭和14年)に刊行されたもので、西洋化していく日本の中で、西洋人と日本人の美意識の違いに触れながら、陰の中の美について描かれたエッセイです。 西洋人と日本人の明かりに対する違いについて、本の中では・・・ 西洋人は常により良い状態を願ってやまず、蝋燭からランプに、ランプからガス灯に、ガス灯から

          陰のお話。

          ふつうのお話。

          最近読んだ本、プロダクトデザイナー深澤直人さんの ふつう のお話です。 この本は、デザイナーのナガオカケンメイさんが発行している「d long life design」「d design travel」の連載記事をまとめたもので、深澤直人さんがいろいろな場面をふつうという切り口で、デザインのことをお話ししている本です。 このふつうというのは深澤直人さんの作風というべきデザインのキーワードなのですが、デザインを言い表す言葉なのに”ふつう”というワードはわかりにくいものかもし

          ふつうのお話。

          丸いデザインのお話。

          キッチンツールや生活用品を見るのが好きなんですが、あれこれ見ている中でいいなと思うモノのデザイナーが一緒だったことがあります。 そのデザイナーさんが柴田文江さんでした。 柴田文江さんがデザインしたものの中で、特によく知られているものはこれじゃないでしょうか? 無印良品の体にフィットするソファ クッションをそのまま大きくしただけのようなシンプルなアイデアだけど、シンプルだからこそ強く印象に残るプロダクトです。誰もが思わず倒れ込みたくなるソファですよね。 柴田文江さんは

          丸いデザインのお話。

          初代iMacのお話。

          Appleの創業者といえばスティーブ・ジョブスですが、デザイナーのジョナサン・アイブはご存知でしょうか? 昔読んだAppleのプロダクトデザイナー、ジョナサン・アイブについての本に書かれていて印象的だった初代iMacのお話をしたいと思います。 ジョナサン・アイブは、初代のiMacのあたりから、ipod、iPad、iPhoneなどをデザインしてきたAppleの主要なデザイナーです。 僕は、大学院生の頃にiphone4を使い始めてから今までAppleの製品を使い続けてきまし

          初代iMacのお話。

          太陽の鐘のお話。

          太陽の鐘というのはご存知でしょうか? 太陽の塔は聞いたことあるかと思います。岡本太郎が大阪万博のときに作った作品ですね。あの顔がついた塔です。 今回は太陽の鐘のお話。 1999年まで、静岡県のレジャー施設に設置されていたそうで、閉園後はどこに行ったかというと・・・ 2018年に、僕の地元の群馬県前橋市に移設されてました! ということで、群馬に帰ったついでに、ちょっと立ち寄ってみました。 え・・・なんだか、わかりませんね。 あ!あの顔が見れました! 裏は、こんな

          太陽の鐘のお話。

          スプーンとフォークのお話。

          コップの話をしてきたので、その流れで家で使っている食器についてのお話をしようと思います。 3年前に一人暮らしを始めたとき、生活に必要なものをいろいろと買い揃えたのですが、学生の時とは違って少しお金を持っていたので、ただ安いものではなくてなるべく好きなもの買うことにしました。 一から全て揃えたので食器も買ったわけですが、その中のスプーンとフォークのお話です。 僕が買ったのは、柳宗理さんのカトラリーです。 柳宗理さんは日本を代表するプロダクトデザイナー。カトラリーの他にも

          スプーンとフォークのお話。

          続・コップのお話。

          前回は、普段使いによいコップのお話しをしました。 今回は、ちょっと違う視点で作られたコップのお話しをします。 『ANDO’SGLASS』 ジャスパーモリソンさんのデザインしたコップです。 ジャスパーモリソンさんは、2006年に深澤直人さんとスーパーノーマルという展示を行っています。 「普通を超える普通」というのがテーマで、デザインに斬新さを求めずに「なんか普通だね」というときのふつうをポジティブにデザインするんだそうです。 かなりざっくり書きましたが・・・ 僕は

          続・コップのお話。

          最近買ったコップのお話。

          群馬から福島に来て3年ほど、一人暮らしを始めたわけですが、おっちょこちょいの僕は、この3年でいくつもの食器を割ってしまいました。 その中でもコップを3つも割ってしまい、お気に入りのコップもいくつか・・・ ということで以前から、気になっていたプロダクトデザイナーが作った、コップをいくつか購入してみたのでお話したいと思います。 『THE GLASS』 こちらは最もグラスらしいグラスとは何かということを考えたグラスだそう。 鈴木啓太さんがデザインしたコップ。 確かに、T

          最近買ったコップのお話。