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続・コップのお話。

前回は、普段使いによいコップのお話しをしました。

今回は、ちょっと違う視点で作られたコップのお話しをします。

『ANDO’SGLASS』

ジャスパーモリソンさんのデザインしたコップです。

ジャスパーモリソンさんは、2006年に深澤直人さんとスーパーノーマルという展示を行っています。

「普通を超える普通」というのがテーマで、デザインに斬新さを求めずに「なんか普通だね」というときのふつうをポジティブにデザインするんだそうです。

かなりざっくり書きましたが・・・

僕はその当時、建築も始めていないしデザインに興味があったわけでもないので行けてはいないのですが・・・見たかった。

ジャスパーモリソンさんがデザインしたものは、他にもたくさんあって無印良品のアルミ鍋や、少し前にはJINSのメガネもデザインしています。

コップの話に戻りますが、このコップは職人さんが薄吹きの製法で作っているのでガラスの厚みが薄いコップです。

前回のTHEGLASSやボデガの飲み口部分を見てみても、ガラスの薄さがわかると思います。

ボデガは、ガラス自体が厚く飲み口部分もふちがあるので全体が若干野暮ったく見えます。

ANDO’SGLASSは飲み口の部分の薄さだけでも繊細さ軽やかなデザインのシンプルさが感じられるものになっていますね。

ANDO’SGLASSは、SHORTとTALLの2サイズ。

THEGLASSでもスタッキングについて触れましたが、このコップは逆に傾斜が付いていて底の方が大きくなっています。持ちやすさで言えば、普通のコップの方が手から滑り落ちることのないデザインと言えますが、"飲み物を大切に持つ"という意味ではそういったデザインもあるのかもしれません。

また、ガラスが薄いのでコップ自体の重みをあまり感じません。コップの重みをあまり感じないということは、飲み物が入った時に コップ=飲み物の重さ に近づいていくことになり、飲み物(液体)自体を持っているような感覚になります。

また持った瞬間にわかることですが、ガラスが薄いことでコップ自体が華奢で脆く感じます。このことは、飲み物(液体)を持つということと相まって、このコップで飲み物を飲もうとする人はコップをやさしく丁寧に扱うことになります。

ガラスが薄いことで、コップの存在感が消えていくことも"飲み物を大切に持つ"ということに繋がっていくのかなと思います。

人の所作にまで影響を与えるデザインと言えるかもしれません。

ちょっと話が大げさでしたでしょうか・・・

このコップは、お酒などを入れてゆったりとした時間を過ごすのにちょうどいいコップかもしれませんね。

ちなみにパッケージデザインは、葛西薫さんだそうです。

シンプルでかっこいいですね。プロダクトの姿図をパッケージに描いているのは、無印良品の梱包のデザインと一緒ですね。あれは誰がデザインしているんでしょう?

今回は、ジャスパーモリソンさんがデザインしたANDO’SGLASSのお話しでした。

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