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【詩】天回

大宇宙はエーテルに満ち光は振動し
あなたの深層心理に影響を与えている
波に乗った宇宙船が遥か頭上を回頭し
地球から見える景色を限定している
デッドリンク大橋越しに日没を臨む
マフチス休火山麓の中国料理店では
とても可愛いホールスタッフが居て
チャイナドレスでテーブルからテーブルへ
料理店は休火山麓の夜の光の象徴である
上海蟹には赤ワインか白ワインか
科学理論はしばしばアルコールであり
泥酔した常連客たちは千鳥足で帰宅する
今日も明日もマフチス休火山麓は
日没後が最も活気づく時間帯であり
宇宙船は知らぬ間に振動関数を演算し
火星に着陸したことを完全に秘匿して
あなたの光と深層心理を満たしていた
すべてはエーテルと光の振動であった
あとはチャイナドレスのホールスタッフ

私は自作の詩にSF的な要素をしばしば導入していますが、その志向の原点とも言える漫画家、鶴田謙二さん原作の映像作品を久しぶりに観賞した際に得たイメージから今回の詩を着想しました。鶴田謙二さんの作品はSF作品ながら根底に詩情が流れており、私の創作活動全般に於いても最も影響を受けた作家さんです。

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