今回とりあげる本は以下の5冊です。
「木」を題材にした5冊の本から、「木」の本質を改めて考えてみます。
当然ですが、これらの本の中には、「木」という共通のお題に対して、あらゆる立場の経験や見聞からくる知恵や知識が綴られています。
その中で、敢えて今回は「木」と「人間」という本質的な部分がどのように語られているかということに焦点を当てていきたいと思います。
幸田文氏は、後でとりあげます西岡常一氏との会話の中での見聞を次のように述べています。
この内容は、『木に学べ』や『木の教え』の中にも出てくるのですが、切り倒されたあとの木は、材料として第二のいのちを生きていることが述べられています。つまり立木のときとはまた違った身近な距離で、材料は人間と呼応していると考えられます。
手仕事や技術の知恵についての社会学・歴史学者であるユーグ・ジャケ氏は次のように述べています。
立木から材料になり、さらに道具に変化しながらも、木が人間と同じく生き続けていることを認識させられます。
白洲正子氏は、道具に関して次のように語られています。
愛情を持って(木工による)道具を使っていくことで、道具も人間もともに育っていくことが理解できます。
また、器を作る立場である仁城義勝氏は、次のように述べています。
器(道具)をつくる段階で、その材料(木)に向き合う自身の状態や態度によってその出来が変わってくるほど、人間と木との近い距離を感じる言葉であるように思います。