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【本】ハイヒールを履いた僧侶・西村宏堂著『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』

自分らしく生きることを、あり方とテクニック両面から指南してくれる一冊と出会った。

西村宏堂著
『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』
である。

西村さんは浄土宗の僧侶であり、一流のメイクアップアーティストであり、そしてLGBTQでもある独自の視点で「性別も人種も関係なく皆平等」というメッセージを発信している。

私は西村さんについて取り上げた動画でこの方と出会い、「もっと西村さんのことが知りたい」という気持ちで本書を手に取った。

以下、いくつか「刺さった」部分を紹介する。

自分の気持ちに嘘をつくのは罪である

修行中に「自分の気持ちに嘘をつくのは罪である」という戒を見つけて、ハッとしました。
だって、私は今まで自分の心に嘘をついていたから。これからは、できるだけ自分に正直に。

本書第3章より

西村さんは20年以上、自分の性指向を押し殺して生きてきた。
本書では、西村さんが自分の心に正直に生きていくまでの過程が語られている。
それだけではなく、自分に正直に生きるためのヒント、自分らしく夢を叶えていくためのヒントがあちこちにちりばめられているのだ。

私達はどうだろう。LGBTQに限らず、自分の気持ちに嘘をつかずに生きている人がどれくらいいるだろうか。

自信って、何かができることじゃない

「自信をもつ」というと、長所や能力とひもづけて考えがちである。
しかし、西村さんはこう言う。

自信を文字通りに解釈すれば、自分を信じる、ということ。
では、自分を信じるために必要なことって何?
「自分がどんな人間なのかを知っていること」というのが、私の考え。
自分を知っているというのは、自分の”できること、できないこと”をしっかり理解して、それを信じている状態。それが自信だと思うんです。

本書p.54より

自分という人間の”できること、できないこと”を理解し、それをポジティブに受け止めることが大事だというのだ。

それが自分の人生のハンドルを握ることにつながるという。

「自分がどんな人間であるか」を迷いなく認識できることは、自分の人生をちゃんと支配下に置き、自分らしく生きる上においてもっとも大切な根っこの部分のようなもの。

本書p.27より

まとめ 個性のかけ合わせで唯一無二の存在に

僧侶は日本にゴマンといるが、その中でLGBTQを公言している人はほんのわずかだろう。
さらにその中で、ミス・ユニバース世界大会で活躍するような一流のメイクアップアーティストといったら、西村さんしかいない。

僧侶 ✕ LGBTQ ✕ メイクアップアーティスト 
という個性のかけ合わせが、西村さんは唯一無二の存在にしている。

ここまで突き抜けることは難しいにしても、我々の誰もがユニークな存在である。
そして、そのユニークさを誰よりも自分が愛し、信じていきたいと思う。

生きづらさや自信のなさを感じているすべての人に、ぜひ読んでほしい一冊である。

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