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【映画感想文/ネタバレなし】『HELLO WORLD』は青春・恋愛・SF・冒険・映像美の五冠王だ!【2019年9月公開】

世界よりも愛を選び
世界よりも愛を選んだ己よりも愛を選んだ
そういう男(たち)の物語だ

HELLO WORLDを観たよ。
ジャンプ+でコミカライズやってたから気になってたんだよね。こう…なかなか純な…だけどねじ曲がった……少年漫画的だけどセカイ系の……って感じでね。いい感じだな~ってぼんやり読んでたんだ。

通常コミカライズもはろー(らぶこめ)わーるどもいいよ…

で、今日。ザンギョでちょっと遅くなったな~なんか寄り道して帰るかな~って思ってたら、HELLO WORLDがちょうどいい時間にあるじゃん!しかもドルビーアトモス環境!観るっきゃないね!!

そんな軽い気持ちだった。

泣かされた帰りの電車とコンビニでずっと泣いてた。半分以上残ったポップコーンからコンソメ臭を漂わせて泣くってもう、すごい絵面。

いや素晴らしかった。本当に素晴らしかった。敢えて厳しく採点したいところもあるけど、そんな減点を蹴り飛ばす素晴らしポイントの山!!洪水!!落雷!!!!そう……落雷なんだ。そして新世界なんだ。

というわけでホメホメするよ!!!なんと今回は前後編!!
まだ見てないみんなはネタバレなしの前半、この記事だけ読んで映画見に行ってくれよな!

じゃあ、HELLO WORLDご紹介、やってやりましょう

公式サイトはこちら!
(コミカライズを公式サイトより先に置くのもどうなんだろうな)
最寄りの劇場はこちら!劇場でみて激情になって!

ざっくりとしたあらすじ

高校生・堅書直美はある日、真っ赤なオーロラの向こうから現れた八咫烏に誘われ訪れた伏見稲荷で「10年後の堅書直美」=カタガキナオミと出会う。

彼曰く「ここは『過去の記録の世界』で、俺はこの記録の中の『一行瑠璃の死亡』を改竄するために来た」とのこと。

過去の記録、仮想空間で恋人を救ったとて、ナオミの世界に変化はない。それでも、ナオミは「世界の片隅に、作り物でも、俺のものでなくても、一行瑠璃が笑顔でいられる世界を創りたい」と直美に協力を要請したのだった

直美とナオミ、そして一行瑠璃の、セカイを揺るがす3ヵ月が始まる。

いいところ1 映像の羽ばたき、3DCGに振り切る勇気!

3DCGをフルに使ったアニメーション。だからこそ出せる映像美。

舞台が「データ記録された2027年の京都」主人公たちの固有スキルが「ハッキング/世界の改変」という点を遺憾なく描くビビットで先鋭的な映像の衝撃!
一方で柔らかな日差しは美しく、月は静かに。古い倉庫はしっとりと重く、草木はみずみずしい。自然物のやさしさが奇麗なのだなぁ。

はっきり言って、これほどまでに映像演出上の挑戦をした……言い換えれば跳躍をかましてくれた作品は滅多にないと思う。心理がどうとか、比喩がどうとか、勿論拾ったり考えるところもあるんだけど、そういう「思考」を一足飛びに超えて語り掛けてくる「思念」を感じた映像だね

前半の穏やかで綺麗な恋愛パートと後半の怒涛、そしてそれを繋ぐ「決断の先」、哲学、神話……下手をすれば空中分解しかねない別方向のエッセンスを抱えた作品なのに、一つの作品として画的にまとまっていた。好き嫌いは出ると思うし、正直とっつきにくいところはあるが、この映像フルコースは観てよかったよ

いいところ2 恋愛の輝き、一行さんが可愛い可愛い可愛い。

ラブストーリー側面!ヒロインが可愛いのは絶対条件。

自分の中で筋が通っているけれど、上手くそれを表に出せない。つんと美人系だけど、ふと幼い可愛さもある。不義理不道徳は許せない、自分の未熟も許せない。「大人になりかけの子供」の可愛さのすべてが詰まってる感じ。

物語構造上の「守られるヒロイン」として、守りたいと思わせるだけの魅力があるって大事で、当然で、とても難しい。それを見事にやってくれたんですよ。一行瑠璃というヒロインは!

「自分が何が好きか」をはっきりわかってる姿と、部屋着と、古本バザーと、本を捲る姿と……あぁスキが止まらない!スマホを変な持ち方しちゃうところ!!本懐を語るところ!あぁ!!

最初はとっつきにくい、けどだんだん彼女に惹かれていく…主人公・直美の感情とリンクしていく。彼女を護りたい!直美!!守れ!!幸せになってくれ!ナオミ……そりゃお前もこんな無茶するよな……という気持ちにどんどんなる!ヒロインの魅力を引き出せるのは、問答無用でポイント十倍点!

どのくらい可愛いかって言うと「一行さん役の浜辺美波さんが出演するなら実写版約束のネバーランドも期待してやってもいいかな……」って手のひらを返すくらい一行さんが好き

もちろん他のみんなも魅力的だ。 勘解由小路さんかわいい、千古ドクターかわいい、副司令ちゃんかわいい……。

いいところ3 青春の煌めき、僕と俺のバディが熱い。

チームだから出来ることがある!
俺とお前だから、僕と先生だから出来る!

子供・直美と大人・ナオミがバディで一行さんを護るのが本作の大筋だ。(直美もナオミも「一行さん」呼びなの、プラトニックで良いよね……)

この「師匠と弟子」だけど「依頼者と協力者」で「俺と僕」な関係性、最高。本質的には同一人物だけど、経験や立場の違いで別人で、屈折した関係になっちゃう。

要するに衛宮士郎と英霊エミヤみたいな関係だよ。士郎とエミヤで(※任意のヒロイン)の死亡事故を防いで、世界の隅っこに幸せな思い出を一ページだけ残すのさ。

未来を知ってるナオミが直美に感情や情報を押し付けて、教えるけど、直美は直美で考えて無茶して頑張って……背中を預けて…離反し……再び協力する!!バディっていいよな!!

いわゆるセカイ系に「決定権利者」にパートナーをつけて、さらにパートナーとは目的の大枠が一致するが微妙に噛み合わない、デリケートな力配分を描く。師弟でもあり、兄弟でもあり、友人でもあり、自分自身。そういう絶妙さだよ。

いいところ4 SFの閃き、新しい「世界」を見せてくれた

HELLO WORLD ”ENTER" 新しい世界を見せてくれ。

SFとは未来の車ではなく、未来の渋滞を描くものである」みたいなことを高名などなたかが言ったそうだが、HELLO WORLDはまさにそうだった。まさしく世界を描いた物語であり「HELLO WORLD」なのだ。

「ドローンとカメラによる社会記録」「データ機器の驚異的な発達」「被・監視社会」「人間の聖域<こころ>のデータ的解剖」そういった現代社会の技術の延長線上で、ひとつの限界点を超えた世界。この技術の延長線上で社会はどう変化するか?を丁寧に描き、推測し、破滅させた。
SFの浪漫を、「超・近未来ではこんなことが起きるかもしれないよ」を、丁寧に描いてくれてぞくぞくしてしまった。

この映画の恐ろしいところは、「GoogleMapってあるじゃん?あれのすごいやつ」って言って「世界」をお出ししてくるところだ。否応なく、俺たちは俺たちの世界と重ね合わせてしまう。そして、ワクワクさせられるのだ。あぁまさに!まさにSFの光が僕らを包む!!

僕らの未来は明るいか、正しいか、暗いか、狂っているか。解らないけれど、僕らの延長線上にそれはあるのだ。

いいところ5 冒険の疼き、少年は止まらない。

「険しきに挑み、決して諦めない」
HELLO WORLDはまさに冒険映画と言うにふさわしい。

降りかかる困難!迫りくる混沌!謀略、暴力、暴走する世界!そんな中でも、彼らは挑むのだ。「やると決めたからには」「お前ならできる」「やってやりましょう!」そう言って彼らは進んでいく!傷つきながら、間違えながら、折れながら砕けながら、前へ、前へ!!熱い!!

冒険とは未開の地へ赴くことではない。危険に身を晒すことではない。
大いなる問題に立ち向かうこと。その気骨をこそ言うのだなぁ。

ちょっとあれなところ(フェアにいこうぜ)

はいじゃあちょっとダメ出ししまーす。減点ゼロでは流石にないんだ。

・台詞が浮き気味。
なんか、演技過剰。プレスコ(先に声を取る)だから、抑えるイメージよりも感情を迸らせるイメージの方が優先されたのかなぁ。叫び声が浮きがちなんだよなー。
一方子安武人&釘宮理恵&寿美菜子!あと松坂桃李!!見事だったなぁ

・演出過剰。
「てさぐれ!部活もの」みたいなあからさまなエフェクトが勘解由小路さんの周りを踊ったり、一行さんの目元を覆ったりする。ちょいと過剰だ。気をつけろ。

・敵さんがこわい。
こわい。いや、怖くてこそ正しいんだけどね。

・勘解由小路さんがつらい
勘解由小路さんIF小説があるらしいってことは…逆に言えば本編ではあの後…うっうっ。

・ちょっと考える時間をくれ
考察の間も与えず映像とストーリーのラッシュ&ラッシュ!それってどういうことなの?と考える暇がない。いや本当に考える時間がない。それらしい説明はあるが、それらしい止まりなんだな。
せっかく考察のし甲斐があるSFなんだから、もうすこしパズルのピースをハメる楽しみを味わわさせてほしかったというところはある…。

一旦お終い。

HELLO WORLD、ほんといい作品だった!!「青春」と「恋愛」と「SF」と「冒険」と「ミステリ」と「ファンタジー」を綺麗に纏めて美しく描き切った名作、快作、大傑作でした!!

ネタバレあり感想を観る前に、映画館で観ようぜ!!

感想語りは、一人では出来ません。一緒にやっていきましょう。


映画、観たか?
本番の準備はいいか?

>>Y
  N


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