チョコレート嚢胞との8年間の話
名前はチョコレートといえど、甘くほろ苦いなんてものじゃない。
子宮内膜症の一種であるチョコレート嚢胞についてのお話です。
気がつけば、初めて「貴方にはチョコレート嚢胞があります」と医者に言われてから8年が経っている。
なんとなくうまくお付き合いしてきたつもりだったけれど、不妊治療に奮闘している今、本当に厄介で頭を悩ませる存在だ。
チョコレート嚢胞との出会い〜現在まで、そしてこれからのことを綴りたいと思います。
自分語りにはなってしまうが、生理がつらい方はもしかしたらチョコレート嚢胞かもしれない。と思ってぜひ読んでいっていただければ幸いです。
チョコレート嚢胞とは
まず、チョコレート嚢胞ってなに?というところから。
卵巣内にできる嚢胞のことで、症状は「痛み」。
代表的なのは生理痛だが、月経時以外にも下腹部痛、腰痛、排便痛、性交痛などが出ることも。
チョコレート嚢胞が破裂してしまうと、急激に非常に強い痛みが発生し、まれに悪性腫瘍となることもあったり、不妊の原因にもなったり、だからと言って手術しても生理がある限り再発の可能性が高く、まあ厄介なものです。
初めて診断された日
私が初めてチョコレート嚢胞を診断されたのは23歳のとき。
(親友にLINEをしていたので鮮明に記録が残っていたw)
生理不順で不正出血しており、交際相手もいたのでもしかして妊娠??なんて思い、初めて婦人科を受診。
医師からは「そもそも排卵していないから、妊娠もしませんよ。」と、衝撃の言葉が。
「排卵しないのは恐らくチョコレート嚢胞が原因でしょう」
そこから子宮内膜症や、チョコレート嚢胞について説明を受けた。
20代~30代女性に多く、珍しい病気ではないと言われてもショックだった。
今すぐの妊娠を希望していないのなら、たいした大きさでもないのでと、(当時は2cmくらいだったと思う)薬物療法で対処することに。
定量用ピルとの長いお付き合いが始まった。
10代~20代前半までの生理痛
思えば高校生の頃から生理痛は激しく、重かった。
家でのたうち回っていた記憶がある。
しかし痛すぎて起き上がれない時、こんなに痛いなんて流石におかしいのでは?と考えた私は、意を決して母に婦人科に行きたいと申し出た。
母は、「若い娘が婦人科なんて行くもんじゃないわよ!生理は痛いものなの、みんな我慢しているの!」と拒否した。
敵は男ではない。生理が重くない女だ。
10代の私は、自分の生理が重いことも、経血量が多いこともわからなかった。
母もそう言うし、友だちと生理について「痛いよね」「ドバっと出るときあるよね」という話をしているうちに、みんなそうなんだと思うようになった。
今思うと、痛みも経血量も見せ合いっこできるものじゃないんだから、人と比べることなんてできないのになぁ…
結局婦人科デビューできたのは社会人になってからだった。
だから今、言いたい。
生理で我慢できないほど痛いなんて、おかしい。
何歳でも、病院に行ってください。
婦人科に行くことは全く恥ずかしいことじゃありません。
低用量ピルとの日々
話は戻り、23歳でチョコレート嚢胞と診断されてから、低用量ピルを服用し始めた。
妊活を始めるまで5年か6年くらい服用していたと思う。
ピルを飲んでいる日々は、穏やかで平和だった。
人によって合う、合わないがあるみたいだけど私にはそのピルが合っていたんだと思う。
生理痛やPMSがかなり抑えられていた。
特に精神面。
毎月生理前は、人生つらい。死にたい。と病みまくり、その時付き合っている人に毎月のように別れ話をしてたと思う。今考えるとヤバイ女だな…。
そんなわけで私にとっては低容量ピルは精神安定剤みたいなものでした。
ピルとの別れ・妊活開始
心の相棒でもあったピルとも、結婚してそろそろ妊活を…ということでお別れとなった。
飲まなくなったら自然と生理が来るようになったため妊活開始。
とりあえず自己流で、基礎体温を測ったり、排卵日検査薬を使ったりしてタイミングをとりはじめた。
でも基礎体温はガタガタだし、排卵日検査薬も線の濃さがイマイチよくわからない。
あやふやなままなんとなくタイミングをとっていたが、案の定結果は実らず。
不妊治療開始・その時チョコは
自己流タイミングでは埒があかず、クリニックで不妊治療を始めることになった。
医師からは次の計画を提案してもらった。
・チョコは小さくはない大きさだけど、チョコがあっても妊娠する人はたくさんいるし、このままで妊娠を急ぐ。
・貴方の年齢だと普通はタイミング6回→人工授精6回→体外受精と進む。
・でもチョコが大きくならないうちに、各治療3回ずつを目安に次のステップに進んでいく。
この時点ではチョコは3.5センチくらいだったと思う。
チョコのせいで(?)自然には排卵しにくいものの、排卵誘発剤を服用すれば排卵することができている。
少し生理痛が重いくらいで、特に気にならなかったので焦ることもなく、すぐ妊娠できるだろうと考えていた。
さっさと手術しない理由
チョコレート嚢胞と診断されてから、ずっと思っていたことがある。
それ、手術でとっちゃダメなの?
余計なものがあるならさっさと取ってしまえばいいのでは??
が、そんなに単純な問題でもないらしい。
そして、医師によっても、ネット上でも色々な意見があってデリケートな問題のようだ。
ここからはあくまで私が私の担当医から聞いた話として聞いてください。
結論、チョコレート嚢胞は手術でとることができる。
放っておくと生理のたびに大きくなっていき、破裂の危険性もあるし、場合によっては癌化することもあるし、一般的には4㎝を超えたら手術が視野に入ってくる。
だが、不妊治療ではあまり積極的に手術を勧められない。
まず、再発率の高さ。
手術でとっても、卵巣が機能する限りまた嚢胞になっていくことが多いので堂々めぐりという見方がある。
次に、手術による卵巣機能低下の懸念。
チョコが卵巣に癒着していたりすると、手術の際に卵巣にダメージが加わり機能が低下する可能性がある。
そうすると妊娠から遠ざかるため、できることなら手術せずに妊娠するのが一番というわけだ。
そうは問屋が卸さない
治療計画がたち、チョコの現状と問題点も事前勉強は完璧です!急がなきゃなんですね、いざ本番へ!!
なんて思ったってそう簡単にはいかないもので、あっという間に当初の計画が過ぎていき、クリニックでは計画練り直しのタームとなった。
医師からは、もう数回人工授精をしてみて、ダメだったら体外受精へ進みませんかと提案してもらった。
計画自体に意見はないが、やっぱり気になるのがアイツの存在。
意を決して先生に質問した。
先生、チョコレート嚢胞はこのままでよろしいのでしょうか…
というのもこの時チョコは、5.5㎝となっていた。
私の問いに対し、頭を抱え始めた先生。
うーーーん…手術するのも有りかもしれないけど……。これはねぇ、患者さん次第ですよ。
まさかの判断を委ねられるという状態に。
手術をするメリット、デメリットはしっかり説明してくださった。
だが素人の私にはなかなか判断ができず、決めきれていないのが現状。
その時チョコは 2nd season
ちなみにこの時チョコは5.5cmへと元気に成長していた。
以前は、生理のときに辛いくらいで、それも10代の頃からだし、あまり気にしていなかった。
しかし今5.5cmのチョコは見過ごせなくなってきた。
日常生活に支障をきたすようになってきたからだ。
まず、排卵期。
排卵誘発剤を服用しているので副作用もあるかもしれないが、排卵期は卵巣がキリキリと痛むようになった。
そして生理のとき。
生理痛に加えて、チョコがある右卵巣が腫れて痛い。
卵巣のあたりをおなかの上から触れると腫れているのがわかるし、痛い。
そしてだんだん、触らなくても座ったり横になったりするときに腫れに響いて痛いのだ。
これらが恐らくチョコが大きくなってきているから?と個人的に推察している。
いったん落ち着こ
ここまで個人的なチョコとの歴史をつらつらと綴ってきたけれど、これからどうすべきか、何が正解なのかはわからない。
チョコの手術をして不妊治療を進めるか。
チョコはそのままで不妊治療を進めるか。
どうしたらいいのかわからなすぎてパニックな日もあるけれど、とりあえず一旦落ち着こ。と言い聞かせて今に至る。
医師によって、色々な意見がある。
もっと気軽に色々な医師の意見を聞くことができればいいのになー。
セカンドオピニオンも気になるけど、保険適用外だし、主治医に色々書類とか用意してもらわないといけないから、小心者な私にはハードルが高い…
転院も視野に入れつつ、とりあえず手術はすぐにはしないつもり。というのが現時点での考えです。
今後、チョコがさらに大きくなって医師からもはっきり手術を勧められたらそれも考えるとして、とりあえずの方針は夫婦で話し合って決めた。
生理がつらい人へ
長々と、私のチョコ疾患歴を読んでくださってありがとうございました。
なんでこんな超長文を投稿したかというと、個人的な頭の整理をしたかったのもあるけど、私と同じように生理がつらい人に、放っておかないで病院に行ってみてほしいと伝えたかった。
先に書いたように、私は高校生の頃から生理痛が酷く、病院に行きたかったけれど親の理解が得られなかった。
もし、生理がつらいというお子さんの親御さんは、「大袈裟だな」と思わずに一度病院に連れて行ってあげてほしい。
何もなきゃないで、いいじゃありませんか。
自立している年齢の方は、忙しさにかまけず自分を労ってあげてください。
20代の頃の私は正直、生理とか妊娠とか甘く考えていた。
生理不順だったけど、仕事で忙しかったから生理が来なくてもラッキーくらいに思ってた。
今すぐに子どもが欲しいわけじゃないし、そのうち子どもが欲しくなってから医療に頼ればいいでしょと思ってた。
書くのは省いたけれどチョコがわかってからも病院サボったりしていました。
子どもが欲しいと思う今、不妊治療したって簡単にどうにかなることじゃない。
若いうちから自分を大切にすることの重要性を、僭越ながらお伝えしたい。
最後まで読んでくださりありがとうございました。