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「これが企画書?」 疑わしげな目で見てくる上司に、はいそうです、と彼は自信満々に即答し…
『しょーらいのゆめはねー、お嫁さん!』 屈託のない笑顔。 ありきたりだ。 ……本当に…
山、畑、田んぼ、平屋。見かけたのはお年寄りとトラクター、軽トラくらい。 とにかく緑が…
「俺らも今年で二十四歳。来年は老人ホームか」 身長百センチに満たない者から、二十代の者…
さやかちゃんとケンカしちゃった。 うちの学校の構築空間って、アバターだから顔が見えな…
壁。これほど象徴的なものが、他にあるだろうか。 その向こうが見えることはない。部屋の…
『お待たせぇ~二人とも』 江菜と凜花が覗き込むスマホの画面に、眼鏡の女の子が何かを齧りながら戻ってくる。 新幹線のテーブルは不安定だったので、江菜は立て置くのを諦めた。 「美味しそう! 何食べてんのー!?」 隣の凜花がグイッと顔を押し付けてくる。 「うぉおい、そんな寄らなくても映ってるから!」 『五平餅! 美味しいよ~。この辺だと有名なんだって』 もしゃもしゃと頬張りながらゆるーく話す子は卯月。 半年前に引っ越した幼馴染、卯月の家で一週間お泊りにいくため、夏休みを使
振られた。 「なんで……」 『だから、仕事が忙しくてあまり二人の時間が取れないし、私も親…
帰省って、距離が中途半端な人ほどやらない気がする。 いつでも帰れる、そう思ってしまう…
私は仲谷絵里。ハタチ。大学生。 ここのところ月四回くらい、タワマンパーティに行ってい…
「なぁ、二億か三億くらいあれば人生アガれんだっけ?」 休みの日だからと十四時間ほどダラ…
優子が死んで、一年。明るいムードメーカーで太陽のようだった彼女は、赤ちゃんの時から瀬奈…
「――やっぱセレブやばいわぁ、超憧れる」 「誰これ?」 「エレナ・パーカーだよ! インスタ…
外見の印象が強い人は、損をしやすいと思う。 「はーあ」 昼休み、陽子は一人でいつもの定食屋に来ていた。ほかほかの中華飯セット、味噌汁にまず手を出す。 地方都市も数駅離れれば、寂れ具合は加速度的に増す。駅ビル近くのこの店は老舗で、味も量もちょうどよくて、何よりあまり混まなくて静かだ。昼時なのにサラリーマンが三人と、春休みだからか高校生っぽい二人組がいるくらい。店主が穏やかなのも、居心地よく感じる理由の一つだろう。 そう、穏やか……。 『陽子は物静かな感じだからさ、そうい