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素材と素材の組み合わせ。


伊坂幸太郎さんの『夜の国のクーパー』

「僕はそうは思わない」でおなじみの『逆ソクラテス』。
緑のデミオが主人公となって車目線からの物語を描く『ガソリン生活』。

この2つの作品の観点を組み合わせたような『夜の国のクーパー』という作品。

あまり内容については触れないようにしますが、やはり私たち人間の生活の延長線上に存在しているのではないかというリアリティ感を醸し出すのが本当にすごい。例えば自分の世代で言うと、コビト図鑑なんかは本当に自分の周りにあると思って探した記憶があります笑

また、常識を疑ってみるという視点。『ガソリン生活』だと、車同士が喋るという世界観が描かれてましたが、車同士が喋るわけないという人間が持つ前提を曲げ、なおかつ自分の周囲にもこういうことあるのでは?と想像できるような絶妙な線引き。

ちょっとだけ内容に触れて感想を記すならば、戦争やクーパーの話がうまく噛み合わないなぁと思っていた前半と、全ての伏線を回収していく終盤の追い上げのバランスが非常に良かった。ゆっくり登っていき最後に凄い勢いで物語を完結させるという、まるでジェットコースターの最初のような作品で、読後感が感じられる、また、普段の生活の中でもこういう世界観がもしかしてある?と想像力を掻き立てられる作品でした。

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