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「インフルエンサーのフォロワーがどんな人たちなのか知ってほしい」12万フォロワーのイラストレーター・青春botさんに聞いたPR案件の舞台裏

私たち餅屋は、インフルエンサーとプランナーでタッグを組み、リーチ数だけに捉われない“ファンを作るSNSプロモーション企画”の実践に向けて日々取り組んでいます。

最近では、フォロワー数Instagram:12.7万人、TikTok:14万人、Twitter:7万人を超え、10代、20代前半を中心に多くのファンを持つイラストレーター・青春botさん(@seisyunbot)と、キリンビバレッジ公式Instagramや株式会社ロッテ(以下、ロッテ)の商品プロモーション企画を実施しました。

青春botさんの得意分野であり、若年層に根強い人気を持つ“エモい”コンテンツを作成することにしたこれらの企画は、青春botさんのフォロワーとの積極的なコミュニケーションのおかげもあり、多くのリーチとエンゲージメントを獲得することができました。

・フォロワーが嫌悪することもあるPR案件を、なぜ青春botさんは引き受けたのか?
・インフルエンサーはどのようなモチベーションで企業からのオーダーに応えているのか?
・餅屋はクリエイティブをどのようにプランニングしているのか?

上記のことを明らかにすべく、今回は青春botさん(メディア取材は初めてだそうです!)と、餅屋の担当コンテンツディレクターである高味里帆に登場してもらい、PR案件の舞台裏について話してもらいました。

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高味里帆テテマーチ株式会社 SNSマーケティング事業部 ディレクター。2019年4月テテマーチ株式会社に入社後は、ディレクター部署のセクションリーダーとして組織整備などを担当。現在はプレイヤーとして大手企業のSNS運用における企画・制作ディレクションをしており、その中でも特にコスメ業界の案件を多く担当している。

*青春botさんとは、リモートでインタビューしました。


フォロワーに応援されるPR投稿をつくる

――青春botさんが企業のPR案件に携わったのは、餅屋とのお仕事が初めてだったと伺っています。キリンビバレッジ公式Instagramの案件について、引き受けていただいた理由は何だったのでしょうか?

青春bot:お話をいただいたとき、普段の作風とは少し違うものが作れそうな気がしたんです。クライアントからのオーダーにどうやって応えるか考えるうちに、これまでの作風と違うアプローチが生まれるんじゃないかな、と。PR投稿は通常の投稿よりもリアクションが薄くなりますし、インプレッションなども伸びにくいので、そこの難しさはずっと感じていますけど。

――やはり、リーチ数などの数字は気にされますか?

青春bot:「青春bot」というアカウントは、イラストレーターであるようでいて、イラストレーターじゃないんです。「いいイラストを描く」っていうよりは「いい投稿を作る」ことがフォロワーからもクライアントからも求められている。だからこそ、どういう投稿をすれば数字が出せるのかを考える方が、楽しいのかもしれないです。

――PR投稿が続くとエンゲージメントが落ちる印象もあります。ファンを離れさせないためにはPR案件はやらない選択肢もあったと思うのですが。

青春bot:最初にお声がけいただいた仕事がキリンさんの案件だったので、大企業のネームバリューに惹かれたのもあったと思います。Instagramは内輪向けのSNSの印象があり、ただ投稿するだけでは、なかなか外に広がっていかないので、大きな企業さんとコラボできるのはアカウントとしてもメリットがあるんじゃないかと思いました。実際、大企業とのコラボを喜んでくれたフォロワーも多かったですし、「推しがちょっと有名になった!」みたいな反応ももらえたから、間違ってはいなかったのだと思います。

―企業タイアップで創作するときに、気をつけていることはありますか?

青春bot:フォロワーに共感してもらえるかは、普段の投稿以上に気をつけています。投稿タイミングも大切で、いま世の中に何が起きているのか、とかも気にしています。とくにコロナ禍になってから今まで描いてきた「青春あるあるネタ」とかも反応されにくくなってきましたし。そのときそのときの状況とか、把握するのは難しいですけどね。PR案件だからネガティブな共感は描きたくないですし、試行錯誤しています。


企業とクリエイターの言語を翻訳するのがプランナーの役割

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― 餅屋のプランナーとして活動している高味さんは、どうやって青春botさんの存在を見つけたんですか?

高味:餅屋のメンバーはプライベートにおいてもSNSが好きで、日頃から張り付いている人が多いんです。青春botさんも、メンバーのふくまが以前からファンで、お仕事に繋がりそうな案件を待っていたと聞きました。

青春bot:最初は漫画家の山科ティナさんを経由してご連絡をいただいたんです。「こういう人がいて、繋いでいいですか」って感じで、やりとりが始まりました。

高味:弊社としても絶対に青春botさんにお願いしたかったから、少しでも受けてくださる確率が上がる方法を模索した結果でした。

― それで、キリンさんの案件が始まるわけですね。

青春bot:全く知らない人が突然「キリンの案件です」って言うんですから、最初はだいぶ疑いました。本当に? あのキリンが私に? って(笑)

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ー 実際に案件が始まって、クライアントであるキリンさんからも具体的なオーダーがあったと思います。どういったやり取りを経て、最終的なアウトプットにたどり着いたのでしょうか。

高味:キリンさんに限らずですが、まずはクリエイターさんに対して、クライアントのSNSアカウントの運用目的や背景、現在の運営状況やターゲット層をお伝えします。ただ、企画の余白みたいなものはあえて残した状態でお渡しすることが多いです。

たとえばロッテさんのクーリッシュだったら、「クーリッシュのアカウントを見た人たちにどんな気持ちになってほしいか」という狙いだけお伝えして、あとは青春botさんにお任せしたり、企画を考えるお手伝いをしたりする、といったかたちです。

― クーリッシュの案件では、青春botさんが何度も投稿してくださり、フォロワーと積極的にコミュニケーションをとって盛り上げていた印象がありました。企業のPR案件は「1回ツイートしたら終わり」などが多いと思うのですが、特に強制はないなかで、どうして何度も投稿してくださったのでしょうか?

青春bot:先ほども話したとおり、「青春bot」に求められている役割はイラストだけじゃないというか、「ある程度の数字を引っ張ってこれるクリエイター」って認識で声をかけられていると思うんですよね。だから、こちらもその期待に応えたいし、毎回企業案件をやるときは、前回出した数字と同じか、それ以上は目指したいと考えています。「描いて、渡して、じゃあ後はよろしく」っていうよりは、最後まで責任持って取り組みたい気持ちがあります。

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―餅屋との原稿のやり取りは、イラストラフや清書など、何度くらいのやりとりを経て、完成となるのでしょう?

青春bot:一回か二回、ラフを確認してもらったら、あとは清書でしたね。ただ、条件が複雑な案件のときなどは、何度かやりとりしたこともあります。

ーー複雑な案件の場合、具体的にどういったオーダーがあるのですか?

青春bot:キリンさんの案件はおもしろかったですよね。「キリンの飲料商品の中から好きなものを選んで、それをイラストテーマにしてください」というオーダーだったので、「キリンレモン」を選んだんです。商品イメージ的にも“青春要素“が強いので、制服と一緒に描いたらいいかな、と。そしたら「キリンレモンは広告内で制服を描くのがNGなんです」と言われてしまって。「青春botなのに学校の制服は描いてはいけない」ってハードルが生まれたんです。かなり特殊だったんですけど、なんとか乗り切りましたね。

―初めてのPR案件なうえに、商品ごとのレギュレーションを考慮しなければいけないのは、大変そうですね……。

青春bot:そうですね。でも、そういうときにただの伝言ゲームみたくなってしまう代理店さんとかもいるなかで、餅屋さんは間に入って翻訳みたいな役割をしてくれるので、間違いなくやりやすくなっていたとは思います。


3カ月で5万フォロワー増加! 青春botのつくりかた

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― 「青春bot」というアカウントは、どのようなきっかけで始めたのでしょう?

青春bot:それが、本当に、暇つぶしで……(笑)。始めたのは2年前くらいになりますが、当時、Instagramにイラストを投稿するタイプの人がそんなにいなくて、ああ、フォロワーがいっぱいいたら人生おもしろそうだなあ、と思ったくらいでした。

――描きたいものは決まっていたんですか?

青春bot:海とか雲とか、そういった綺麗な景色の中に制服の女の子がいたら映えるかなって考えていて、それをずっと描いていたんです。でも、絵が上手いイラストレーターさんは他にもたくさんいらっしゃるし、しかも、その人たちのフォロワー数はそんなに伸びていなくて。「絵だけじゃダメなんだろうな」と漠然とは分かっていたので、とにかくいろんな種類の投稿を作りまくっていました。

――たとえばどのようなものがあったんですか?

青春bot:ちょっと笑えるネタに寄ったものとか、今とは全然違うテイストのものも描いていたんです。それである日、恋愛のあるあるネタみたいなものを描いたらそこからリーチもフォロワー数も一気に増え始めて。伸びるコンテンツがわかったので、ひたすら同じテイストのものを続けていたら、3カ月くらいで5万人まで増えていきました。そのタイミングで、本の出版の話などもきて、一気にいろんなことが進んだ感じがありました。

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―きっかけに「フォロワーが増えたら人生がおもしろくなるんじゃないか」って話があったと思うんですけど、実際にフォロワーが5万、10万と増えて、どのように感じましたか?

青春bot:楽しかったですね。生産性のあるルーティンができたというか、毎日ダラダラ過ごすんじゃなくて、目的意識を持って楽しく続けられるルーティンができたっていうのは、すごいよかったと思っています。

― フォロワーとの距離感や関係性って、すごく難しいと思うんです。普段から意識されていることって、ありますか?

青春bot:上から目線にならないようにするというか、初心を忘れないようにはしています。アカウントを始めたての頃は、たった一人から「いいね!」をもらうだけでもすごい大変じゃないですか。でもフォロワーが増えてくると、急に人対人じゃなくて、数字ばかりを求める感じになりやすいと思うんです。そうはなりたくなかったので、昔からフォローしてくれていた子たちは今でも覚えていますし、まだいいね!してくれてるかな、大事にできているかなとかは、今でも気にしています。


インフルエンサーのフォロワーがどんな人たちなのかを考えてもらいたい

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― 今後、青春botとしてやってみたい企業案件などはありますか?

青春bot:これがやりたいっていうのは具体的にはないですけど、お話をいただいたら、それに対して何ができるのかなっていうのは、一回全部考えたいですね。

―どうしたら青春botとしておもしろくなるかを考えながらやりたいってことですよね。企画の幅というか、伸びしろが残っていた方が楽しいですか?

青春bot:そうですね。ガチガチに決まっているよりは、ある程度自由な方がやりやすいかなって思います。

― 企業案件を紹介してくれる代理店や、PRを求める事業会社に対して、求めたいことはありますか?

青春bot:「青春bot」がどういうキャラクターなのかっていうのはわかってもらっていることが多いんですけど、「じゃあ青春botのフォロワーってどういう人が多いんだろう」ってところまで気にしてもらえると、よりフィット感は増していくんじゃないかなと思っています。

― アカウント自体じゃなくて、そのフォロワーがどういう人たちなのかを考えるのが大事、と。

青春bot:結局、商品やプロモーションがその子たちにどう響くかが大事だと思うんです。青春botのフォロワーでいえば、「遊んでます!」って感じのイケイケでリア充な子があんまりいないんです。私のフォロワーはちょっとインドアで、うまく恋愛できないみたいな子がほとんどなので、そこにちょっと興味を持ってくれたら、よりマッチするのかなと。ただ「10代が多い」とか「20代が多い」だけだと、ずれちゃうかなっていう気はしますね。

― もっと細かな属性をみてあげなきゃいけないってことですよね。

青春bot:そうですね。その方がより効果が大きい企画を考えられるんじゃないかなと思っています。

――今後も餅屋として、青春botさんのフォロワーさんたちに喜んでもらえるようなお仕事ができるよう、頑張ろうと思いました。ありがとうございました!

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インフルエンサーと二人三脚でプロモーションに取り組んでいく餅屋のスタンスや、青春botさんのフォロワーを思いやる姿勢、伝わりましたでしょうか。

これからも餅屋はリーチ数だけに捉われないプロモーションにこだわり、さまざまな企画を出していきます。興味を持たれた方は、ぜひ餅屋を覗いていってください!



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