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無かった事になんてできない


優しく話しかけてくれる声に
楽しそうに笑ってくれる声に

私は目を離せない

細くて柔らかい手
その手で包み込んでくれた


ぎゅっと抱きしめてくれた
ぎゅっと抱きしめ返すと思ったより細い身体だった
でも、それでも安心できる

肩幅があるから
後ろから抱きつくの

手を後ろに回してトントンってしてくれる
「どうしたの?」って言うあなたの声もすき


優しく抱きしめてくれた
優しくキスをしてくれた
優しく見つめてくれた

"愛おしい"とはまさにこれだと感じた


「好き」

そう言われると心拍が高鳴る

(…)

「大好きだよ」

(…)

「俺だけの彼女だもんね」

(…)


笑って誤魔化す私を許してね

私も同じ気持ちかもしれない
いや、気持ちは同じ

でも、私はあなたに恋をしたらダメなの

本当の事を言ってないから


でも言いたくないの

この関係が終わってしまうのがイヤ


でもね、本当はね、分かってる

終わらせないといけない事
真実を伝える事

真実を伝えないならすぐにあなたから離れないといけない事


私は伝えたくないの
だから急にあなたの前からいなくなろうと思うんだ


自分勝手でごめんね
騙してごめんね

本気にさせちゃってごめんね
本気になりかけてごめんね

いや、やっぱり
本気だったかも

私はあなたがすき

気の迷いと言われるかもしれない
でも私は、この気持ちは、嘘じゃないよ



あなたと出会ったこと、無かったことになんてできないよ

あなたへのこの気持ち、無かったことになんてできないよ


私はあなたの記憶に残ればいい


本当に好きだった人

俺を騙した最低な人

何でもいいの

ただあなたの記憶に少しでも残れるなら


私はそれでいい



なかった事になんてできないから



本当にごめんね
大好きだよ
さようなら。

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