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"外国語副作用" の正体(2)

"外国語副作用" の正体(1)では外国語副作用の概要について書きました。
今回はその続きです。 (1)の記事は下をクリック。


では、「知的能力の全般的な低下」とは何が起こることなのか。

今回は大きな3つを紹介します。
1.        思考を論理的に組み立てられなくなる
2.        計算力
の低下
3.        認知機能
の低下
4.   記憶力の低下
です。



思考を論理的に組み立てられなくなる


論理的な思考が難しくなります。
言語能力のレベルとは区別して、第二言語使用時に①情報を受け取り、②解析し、③理解する、④答えを出す、この言語処理の流れで第一言語ほど頭が回らなくなる状態になります。「⑤答える」が、いわば副作用とは区別される外国語の難しさが問われる最終ステップでしょう。
論理的に話すためには難しい単語が必要とか、多くの単語や長く話す能力が必要であるわけではありません。
外国語が難しいために答えはまとまっているのに言いたいことの単語や言い回しがわからないのではなく、その間情報処理過程中で、何を答えるか決まってないのが外国語副作用です。
このままでは漠然としているので、体験例を一つ挙げてみます。

◆For example;


英語での会話です。
私があるプロジェクトに参加していた時、
同じチームの先輩に教わったやり方で文章を分析したところ、隣チームの先輩にその分析のやり方じゃダメだよと言われました。
隣チームの先輩のいう正しい方法を聞いたら、うちの先輩に教わったやり方で確信できない部分がいくつか。二つのチームは同じ分析方法のはず。
このとき、すぐ同チームの先輩に確認してくださいとか確認しますとか答えればよかったのですが、
私の頭の中はというと、無意識の情報処理中。
①    英語で先輩チームの分析方法を聞いて
②    二つのチームの差がどこかを解析
③    二つのチームは同じ分析方法のはずという前提や背景データも引っ張ってきて、私チームのやり方に間違いがないか疑い、正しいかどうか確信を持てないと判断
④    この状況の解決方法(同チーム先輩に確認)を導く
結局このとき情報処理途中で「いや、でも合ってるんですが…」と返したんですね。
③くらいの思考途中にもう口を開いたわけです。
また別の状況で、質問に対して急いで答えを出そうとしたとき、答える内容が思いついていないので、故意にでも過失でもなく、突発的に言いたいこととは違うことが口から出てくることもしばしばありました。

◇Imagine!!


脳の情報処理の機能を感じられるクイズです。
10秒以内に、次のAさんの質問を読み終え英語で答えを言ってください。どのように答えても構いませんが、文章で説明できると◎。(第一言語英語の方には機能しない問題です)
You used an automatic calculation formula, but it appears to be an outdated template that you should have modified before working on the accounting.
A:
Friday last counting on mistake a made you that heard I.
Team accounting our with it on work should you that you tell to me asked Joseph.
Said he suggestion the about think you do what?


計算力の低下

第二言語使用時には計算力も落ちます。
記憶力に絡み、連続した数字の記憶は第一言語に比べ難しくなります。
よって第二言語下(会話中の流れで/相手に問題を振られて)では暗算を拒絶したくなります。

しかしこのセクションで説明すべきは、記憶力に関係なくとも、事実上計算力そのものさえも落ちるということです。理由は同じように情報処理資源が第二言語に割かれ、その他の情報処理に割く資源がないことです。

暗算でなく数字を目にしていたとしても、第二言語で数字を捉えていれば、計算力が落ちるのです。
よって、例えば、その言語で会話中に流れで暗算をしなければならないときには、母語で数字を捉えるよう、頭や口に出す言語を切り替えて計算すると比較的早いです。とはいってもバイリンガルの人ほどは脳の言語切り替えスイッチが柔軟で高速ではないのが第二言語学習者。

◆For example;

中国語での会話中に暗算でご飯の会計をしなければならないとき。計算oh…。

Story:『80元のお会計』
80元のお会計の場面。
(台湾元の通貨種類:10元硬貨、50元硬貨、100元札)

丁度80元がなかったので、多めに出してお釣りをもらわなければならない。
財布を見たら硬貨部分は、10元硬貨はないが一枚の50元はある。
10元硬貨何枚でお釣りをもらうよりも、財布を軽くするため出来ればでいいから一枚の50元硬貨でスッキリお釣りをもらいたい。
そこまで考えて、ギリギリな計算の結果、100元札と50元硬貨の計150元を出したことがあります。

さて・・・笑
いろいろ間違ってる。
第一の目的80元のお会計に、100元あればお釣りは10元たったの2枚にし
かならないことが分かっていなかったんですね。さらに、

店員さんがどう頑張ってお釣りを出そうと自分が出した50元はそのまま自分に返ってくるのに、「スッキリ50元案」のもと、130以上出せばおっけい、という考えになったんですね。なんだと…?
財布に10元がないという情報はどこへいった。
不憫。

つぎ!!!

◇Imagine!!


step1.第一言語が同じ友達にその言語で暗算を振ってみて!
(例:400*8.6:よんひゃくかけるはってんご)
step2.次に、同じ友達に英語で暗算を振って、答えが出るまでの反応速度をstep1と比べてください。
(例:900*2.3:nine hundreds multiplied by 2 point 3)


認識力の低下


第二言語の処理に処理資源が割かれるため、外界からの他の情報を処理しきれない現象です。周りの状況を理解して状況を十分に確認できなくなります。他者から見たら天然っぽい、そそっかしいように見えます。
認識力の低下により、主に3つの結果が見られます。注意力の低下、予想力の低下、第二言語で書かれた図解図式解析力の低下です。

・注意力の低下:第二言語処理に処理資源が割かれ周りのことに注意がいかない

・予想力の低下:第二言語処理に処理資源が割かれ、少し先に予想されることを予想できない

ただ、第二言語学習者にとって外国語副作用以外に他にも予想力の低下典型的な原因がもう一つあります。単に地理や風習、習慣やシステムといった知識範囲がその言語を第一言語とする人と異なる場合です。そのために異なる知識を必要とする予想に至らないのです。
外国語副作用の予想力の低下は、第一言語ならば脳がほぼ自動的に外界からの情報を取り込んで処理し、次に考えられる事象が浮かぶが、第二言語では浮かばないことを指します。
外国語副作用の予想力低下とは注意力の低下と似ています。情報処理し、次を想像することができないために、学習者に悪影響を及ぼす場合もあります。

・図解図式解析力の低下: 第二言語処理に処理資源が割かれ図解図式の適切な見方や答えの導き方が予想できない

◆For example;


初級者のとき中国語を集中して話していると比較的高頻度に躓いたり周囲の物にぶつかったりする。

足元にあるもの、周囲にある物の情報が認識されていない、認識力低下の例です。
他にも認識力が落ちる理由で代表的なのは、加齢があります。例えばお年寄りが歩行中、すぐ後ろの別の歩行者になかなか気づかず歩道中央を歩くのも、認識力低下の影響があります。
ただし原因は同じではありません。どちらも脳機能が及ぼす結果ですが、外国語副作用は第二言語処理に処理資源が割かれその他の情報処理に割く資源がないことが原因です。
 

◇Imagine!!

この実証方法だけずっと思い浮かばないので、一回集中して英語話しながら後ろ歩きして物にぶつかって来てみてください笑。日本で同じことやってあまり英語の時より安定して歩けたら実証(?)
自己責任ですよ。
 
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類似項目:ストループ・テスト

記憶力の低下


聞いた情報を短期記憶できない現象です。
覚えられない記憶力の問題というよりは、情報を解釈して自分の経験や判断力によって理解可能なものに変換したり、説明したりすることができなかった内容の、印象が薄いのです。

数字や名前の印象は特に薄いです。これは経験がある方も多いのではないでしょうか。さっき聞いたもしくは見た、数字の羅列が何だったか、思い出せないのです。よって第二言語で電話番号を覚え素早く言うのが第一言語より難しかったり、計算は暗算の能力が低下したりします。
違う地域の人の名前や地名は、聞き慣れているか、親しみがあるかの違いが原因であることもプラスされて、一回聞いただけでは短時間でも記憶が難しい。
ただし、第二言語習得中は、第一言語ではなくその言語を使って第二言語を覚えるのが近道です。特に言語間の距離が遠い言語同士では、単語の意味範囲や表現方法が第一言語とは大きく違うからです。
ちなみに第一言語と距離が近い言語ほど外国語副作用は軽いという実験結果も。
私がリアルに実践する単語の意味検索方法や単語の覚え方はまた別の記事にします。

◆For example;


料理をしていて肉料理に肉を入れ忘れる。添え物野菜ができた状態で肉を投入していなかったことに気づく。

第一言語下ではあり得ないもの忘れをする。それは第一言語下であり得るうっかり忘れとは異なる状況下である。

◇Imagine!!


一問目のクイズであなたに提案をした男性の名前は?
(参照)
A:Friday last counting on mistake a made you that heard I.
Team accounting our with it on work should you that you tell to me asked ~~~.
Said he suggestion the about think you do what?

今回のConclusion


 
今回は外国語副作用の3つの現象を書きました。
 
○思考を論理的に組み立てられなくなる
○計算力の低下
○認識力の低下
○記憶力の低下
 
どれも一見深刻に聞こえます。
第二言語学習者にとっては外国語副作用が及ばす影響は、初めは実際に大きいです。しかし、学習者にとっても、その周囲の人にとっても、大したことではないと認識するのが正解です。
言語能力が上がるとともに軽減されること、第一言語下では外国語副作用の影響を受けず通常通りであること、そして第二言語使用時でもその人の本質的な態度や習慣は変わらないからです。
外国語副作用を受ける期間は年齢や言語能力の進捗状況、求められる第二言語のレベルによって、数か月から1年~3年くらいでしょうか?(個人差あり)
 
第二言語習得は若いうちの方がいいといわれるのには外国語副作用も理由の一つです。
学習効率の話を除いても、一般的には加齢とともに脳機能が落ちるので、落ちないうちに。
そして副作用による思考力の低下や認識力の低下によって起こされる無意図なミスに対してプライドを捨てられるか、人前で話す自信を持てるか、さらに自主的に周りに助けを求め、助けを得られるか。若い人の方がやりやすそうなのはわかりやすいですね。

しかし、ここまで読んでみて、気づいた方はいらっしゃるでしょうか。
語学は老化防止に良い、という研究結果があります。
その理由はまさに認知機能の柔軟性を高め、記憶の低下注意力の減少を抑制する助けになるから。また、認知機能の損失を緩和して、脳の損傷や疾患に対する耐性を高めるとも考えられています。これにより老化による脳の変化に対する脳の柔軟性が維持されるのです。
よって、最近英語やってないな~と思ったらいつやってもいい。

次回(3)で外国語副作用編、完結です。
次回もMeglogでお会いしましょう:)

 
~PS~
学習者は、協力や理解を得ようとすることが大切です。迷惑が掛かってないかとか気にせず。周囲の人にとってそれが第一言語ならあなたが思うより片言スピーカー相手に疲れないのです。あなたのほうが疲れているはず。
私はいつもルームメイトに新単語教えてもらっています。毎日のことなので疲れさせています。
周囲の人も疲れるかもしれませんが、学習者から学ぶ新しく刺激的な体験を得られるはず。いつもありがとう。
 
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