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自立って、ひとりで生きるってことじゃない|オルタネートを読んで

加藤シゲアキさんのオルタネートを読みました。

高校生限定のSNSマッチングアプリ「オルタネート」が必須の時代で、それを元にさまざまな事件が巻き起こります。これがめちゃくちゃ青春で、でもキラキラだけではなくて人生において大切なことも詰まっていて最高な作品でした…

遺伝子レベルで相性のいい相手がわかるとしたら?

上述した「オルタネート」というアプリには、遺伝子の情報を入力すれば、遺伝子的に相性のいい相手がわかる機能があります。

とても効率よくて楽な機能ですよね。そんな簡単に、しかも科学的に相性がいいと証明されている相手に出会うことができる、って羨ましいような…

でも、よく考えてみれば恋愛って出会う過程も含めて素敵な思い出じゃありませんか?
学校や職場での出会い、合コンや、最近はマッチングアプリでの出会いも普通ですよね。でもどれも偶然の出会いな気がしていて。
「オルタネート」のように、遺伝子的に相性がいいから親交を深めていく、というのはなんか順序が逆な気がするんです。
どっちが良いとか悪いとかではなくて、私はそういう出会いの方が、いつ離れてしまうかわからない儚さもあって、大切にしたいな、と思います。
みなさんはどう思いますか?

自立って、ひとりで生きるってことじゃない

作中に印象的な場面がありました。
園芸部のダイキがミニトマトとマリーゴールドを一緒に育てていて、なぜかというとマリーゴールドがあることで害虫からミニトマトを守っているとのこと。

「マリーゴールドはさ、別にトマトを助けようなんて思ってないわけ。ただ咲いているだけで、そうなってる。なのにふたつはとてもいい組み合わせなんだ。それって最高じゃない?お互い自分らしく咲いてるけど、助け合って共生してる」

オルタネート

これ、人間関係においてベストだなと思うんです。

以前、菌についての研究をしている友達から話を聞いたことがあります。とあるキノコと菌についての研究をしていて、それらは互いに共生し合って生きていると。お互いが存在しないとどうやらうまくいかないらしくて。
その話を聞いた時に、「ひとりきりで生きるってやっぱり無理だよな」と思いました。よく考えたら当たり前ですが、改めて気付けました。
その頃はちょうど「自立」について考えているときで、ひとりで生きるってどうすればいいんだろう、とひたすら考えていました。でも、自然に存在しているキノコや菌でもひとりきりで生きているわけではないと知ることができてとても安心したのを覚えています。

仏教についての、とある本に書いてありました。
「自己は無であると同時に、関係性の中では有となる。言いかえれば、現在の関係性の中でこそ、自己は有として存在する。であるからこそ、今の関係は大切なものである。今ある自分と周囲との関係は、まさに自分の命なのである。」
周りの人がいるからこそ自分が存在している、という考え方で、私はとても好きです。
人と共に生きることを肯定でき、さらに感謝をし続ける大切さを実感しました。

(小学生のときに厳格な教頭先生が言っていたことが今になって分かります。「人間はみんなひとりでは生きていけません。たとえ食べ物や家や生活に必要なものすべてが揃っていたとしても、ひとりだけで生きるということはできません。」)

おわりに

話は逸れてしまいましたが「オルタネート」、とても読み応えのある青春小説でした。
いろいろなキャラクターがでてくるので、みなさん誰かしらに共感できると思います。
いやー、、青春戻ってきてほしいです…笑


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