自称○○の信憑性
以前書いた、こじらせ女子の生態について書きまくるというカオスな企画が、なんと通ってしまった。
今まで企画というものが通ったことがなかったので(それほど打数がなかったとも言える)、まず、自分が考えた企画が通ったということに、嬉しくもあり、多少の恐怖も感じている。
企画案を出しただけ、サンプル原稿さえも完成していない(どころか書き始めてもいない)頃から、講師の方やスタッフの方がSNS等で本企画「こじらせ女子図鑑」についてアップしてくれていた。そしたら、私の知らないところで結構な盛り上がりになっていたそうだ。有り難い話である。おかげで、本職に押しつぶされて起き上がれない休日が続いても、締切を2回ほどスキップしてしまったが、「やらねば……書かねば……」と意を決してサンプル原稿を書き上げることができた。ケツを叩かれることの大事さを改めて感じた機会であった。
さて、今回の問題はここからなのだ。
私が本職のストレスからベッドから起き上がれず、胃を痛めている間に、先にも書いたように周りの方々が「こじらせ女子図鑑」の話をあらゆるところでしてくださっていた。すると、あれよあれよと芋づる式に出てくるのだ。
そう、「私、こじらせてます!」という人々が……!
スタッフさんのSNS投稿のコメントにもたくさん立候補があったし、講師の方が別の場所で発言した際にも、こじらせ立候補が多かったそうだ。私がベッドに突っ伏している間、何も進めていない間、取材対象となりうるこじらせ女子だけが大量に増えていくという、なんとも不思議な現象が起きていた。
周りの友人や同僚の数人にはこじらせ女子図鑑の話をしていて、もし企画が通ったら取材させて~! とも話していた。しかし、あまり人脈が広くない私はその後の取材対象者をどうやって探そうかという問題を抱えていた。
でも、それだけ多くの立候補者がいるならば、私が想定していたその問題はクリアできそうだ。
……いや、待てよ。本当にそうなのか?
その立候補者全員、本当にこじらせているのか……?
物事を素直に受け取れない私は、こじらせ立候補が増えていると聞くにつれて、そんな考えが頭から離れなくなってしまった。
そもそも私も、最初は自分のことをこじらせているなんて思っていなかった。恋愛経験が少ないが故に、ただ恋愛が下手なのだと思っていた。じゃあなぜ自分をこじらせていると言い出したのかというと、周りから「こじらせてるな~」と言われるようになったからだ。私が自分のことを「こじらせている」と言うようになったのは、周りに「こじらせ女子」認定をしてもらってからなのだ。
他の言葉に置き換えて考えてみた。
例えば、自称天然。
本物の天然は、自分のことを天然だとは、決して認めない。むしろ、本物の天然に「天然だよね~」なんて言おうものなら「いや、違いますけど」と真顔で返されたり、なんなら少し怒ったり不機嫌になったりされることもある。本物天然の言い分としては「自分は決して天然ではない」と言うのだ。
例えば、自称サバサバ系女子。
「私ってサバサバしてるからさ~」という人って、大抵の場合、ただ短気なだけか、周りに配慮せず思ったことをそのまま言うことを「サバサバしている」と勘違いしている人な気がするのだ(そういやここ数年、ネットで「私はサバサバしている」みたいな名前の漫画の広告をよく見る)。サバサバを履き違えているというか、とにかく自称サバサバに限って、本当の性格はネチネチしているものだ。
これに倣って「こじらせ女子」について考えてみる。
果たして、私はこじらせ女子です! と手を挙げてくださった人の中に、本物のこじらせ女子は何人いるのだろうか? 自称こじらせ女子もとい偽こじらせ女子は紛れていないのだろうか? ただ話のネタとか、自分の性格を表すのに自虐的でちょっと面白いからという理由だけで「こじらせ」を名乗っている人はいないだろうか? もっと雑に言ってしまうと、あなたたち、本当に私の仲間なのか!? 信じていいのか!? ということなのである。
素直に、取材対象者が増えた! と喜べばいいのに、こういう考えに至ってしまうところが、こじらせているというか、自分の性格がいかにひねくれているかという現れの気がして、改めて嫌気が差す。
そこで、取材対象となってくださる「こじらせ女子(仮)」の方々が本物かどうかを、取材前に確認しなければならないという工程が必要になった。これについてはどうすればいいのか、数少ない私のリア友(死語?)に実際に私の案を試してもらっている。そこで貰った意見をもとに、取材対象になってくださる本物こじらせ女子を精査しようと思うのだ。
……我ながら、お前、何様だよ、って感じだなぁ。嫌な感じだなぁ。嫌な感じな奴だなぁ、私。めんどくせえ性格だなぁ、本当に。
でもせっかく通った企画だから、ちゃんとやりたいのである。
何を基準に「こじらせ女子である」と言い切るのかという問題はあるし、きっとそれは人それぞれなので賛否両論はあると思う。しかし企画自体は通ったので、見切り発車感は否めないが、今週末の初取材の準備を進めるのである。ああ、楽しみ。不安もあるけど、楽しみ。
企画が連載スタートしたら、noteでも報告させていただきます。
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