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雨の日の新宿御苑で君と桜を見た

最近は天気の良い日が続いてる…と書こうとしたが、昨日は通り雨によって干していたシーツがびしゃびしゃになったことを思い出した。ほんとに一瞬だけ、私のシーツを濡らすためなのか?と思うほど、一瞬だけ雨が降った。ムカついたが、天気に怒ることほど不毛なこともないから現実を受け止めて、再度洗濯機を回した。

前回の記事で、「土砂降りの中で桜を見る乙なイベント」をすると書いていたが、実際にした。大雨警報が出る中、新宿御苑で桜を見た。
なぜわざわざそんな日に?と思うだろう。
これには理由がある。去年の秋に新宿御苑でピクニックをする約束していたにもかかわらず、雨で中止になってしまい、流れ、「春になったら新宿御苑でお花見をしよう」と約束していたからだ。今回も雨で流されたら、もうできないような気がした。だから豪雨であろうと桜を見に行くことにしたのだ。

大雨の新宿御苑は、人が全然いなかった(そりゃそうだ)。予定を変更できない海外観光客が10人いるかいないかで、広大な新宿御苑がわたしたちだけの敷地のような感覚になった。
肝心の桜は雨に濡れてもなお存在感を放っていた。雨に濡れた桜ははてしなく綺麗だった。雨が激しくなるにつれて、空気中の水蒸気が濃くなり、桜が佇む様子はまるで幻のようだった。それは雨の日でなければ見ることができない桜の姿だ。


存分に堪能したい気持ちはあったものの、雨は強くなるばかり。ブーツの中はぐしょぐしょだ。
幻のような桜を、笑ってしまうくらい足早に見た。情緒がないほどに早足だった。

私はこれまでの人生で大事な予定の日が豪雨、台風、大雪になったことが数えきれないくらいある。だから雨になったところで大して気にしない。それでも彼と約束の日は天気が悪すぎる。前に会った時は大雪。大雪の道玄坂なんてこれからの人生でお目にかかることはあるだろうか。大雪の道玄坂、大雨の新宿御苑……ちょっと風流な気がしてきた。とりあえず、記憶に残ったことは間違いない。

彼に会ったら「もう会わない」と言うつもりだったが、全く言っていない。そんなそぶりも見せていない。
私の感情を掻き乱す相手(相手は何もしていない、私が勝手に乱れているだけである)とは、距離を置こうと思っていたが、言えなかった。このままでもいいような気がしてきた。
諸事情で今年は付き合いたくないということだけは伝えている。このまま今のペースで交流を続けて、いつか付き合うんだろうか。来年には彼は遠方に行くらしい。遠距離恋愛をするのか?この私が?という感じである。
人生の中で遠距離恋愛を考えたことが一度もなかったし、そんな状況になったこともない。なぜこんなことになってしまったんだ。そう思いながら人生に予想不可能なイベントが発生するとワクワクもする。
実際、付き合うことも遠距離恋愛をすることも不確定だ。ただ相手の中で遠距離恋愛をする相手になっているようで、いつからそんな展開になったのかついていけなくて面白い。仮定とはいえ、私の知らない人生が他者によって切り拓かれてる。
一喜一憂する恋というのも久しぶりだから、今年いっぱいは遠めの距離感で楽しむことにする。



雨の日から一夜明けると、外は澄み渡るような青空で昨日のことが嘘のような気がした。Twitterでいろいろな方が桜をあげていた。青空にピンクの桜は映えるね。でも、私が見た雨の中の幻のような桜は一等特別だった。


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