見出し画像

冬眠は拒否して越冬を希望

ここ何日か眠くてしょうがない。うつうつとする。よく考えたら、もう春だしいいかとベタナミンを切ったからだと気づいた。まだ切るには早かったみたいだ。

ベタナミンとはこんな薬。
主にナルコレプシー(居眠り病)の方が処方される。

覚醒効果がつよく、依存性も高いことから「合成覚醒剤」なんて呼ばれたりするらしく、闇で転売されるとかなんとか。初診では絶対に処方されることがない薬だと思う。わたしも今の病院で渋々、処方されている。
でもわたしには、この薬がなければ生活できないと言っていいくらいかけがえのない薬だ。ベタナミンの代用となる薬はない。

わたしは2年間、冬季だけベタナミンを飲んでいる。
わたしは不眠症であるのに、冬季だけ異常に眠気がつよくて布団から出られなくなるからだ。うつも悪化する。
長時間睡眠をしてしまう時には、何となく目覚める区切りの時間がある。12時間、15時間、18時間……ベタナミンがないと大体これくらいは寝てしまう。
睡眠薬からはオサラバができるのはうれしいが、上記の睡眠時間だと日常生活や就労とオサラバしなければいけなくなり、生活がままならない。
わたしが熊ならよかったのだが、残念ながら人間として文化的な生活をするには冬眠は拒否せざるを得ない。

ベタナミンに出会うまで、冬になると悪化するうつと過眠(そして過食)に悩んでいた。前の病院の主治医から「ベタナミン試してみようか?」と言われ、1錠飲んで世界が変わった。ベタナミンは飲んですぐに覚醒効果があらわれる。
薬の効果があまりにてきめんだと、うれしいのと同時にやりきれないような気持ちになる。今まで悩んでいたことはこんなことだったのかと。今まで苦しくて苦しくてどうにもならなかったことが、ただ薬を飲むだけでこんなにも変わるのかと、膝から崩れ落ちそうになった。この薬に大学生の時に出会えてたら……と想像して苦しくなった。

過ぎ去りし日々を思ってもどうにもなるわけでもない。30歳の時点で自分に合う特効薬のような存在の薬に出会えただけで感謝するべきかもしれない。

これまでにいろいろな薬を試したり、辞めたりした。離脱症状に苦しむことだって経験した。
薬の効果を実感するたびに、自分の感情や思考が薬にコントロールされているかのような感覚になって苦しかった。感情や思考の所在は、いったいどこなのか。わたしは何なのか。『ミュウツーの逆襲』のミュウツーばりに思い詰めていた(わたしの子どもの頃からの好きなポケモン映画)。今は自分に合う薬がわかっているので、ゆるゆる生活できているが。

自分の中で折り合いがつかなくてメインの病気については未だに何も書けていないのだけれど、わたしはうつが重めの双極性障害(躁うつ病)だ。冬季がハードなうつで、基本的には軽そうという珍しいタイプ。
うつが11歳の時からで20年、躁うつが19歳の時からで12年。病気とも長い付き合いになった。
また今度きちんと書こうと思う。これまで経験したあれやこれが、だれかの役に立ったらいいなと願いをこめて。


おわり



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?