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バワの建築を求めて②

約7時間の飛行を終え、スリランカの地に降り立った。
かくして滞在一日目を迎えるのだが、到着したのが夕方だったので、あたりはもう薄暗くなりつつあった。夕食はホテルでも食べられるけど、外に食べに行ってもいいよ、という現地ガイドの案内があったので私は外へ行くことにした。

しかし、歩けども歩けどもお店というお店は見当たらない。
それもそのはず、私たちが初日に滞在するホテルは郊外にあって、周りは住宅地ばかり。外で食事をするには30分ほど歩いたところにある食堂までいかなければならない。
仕方なく足を進めるも、夕暮れは進み辺りはどんどん暗くなる。そのうち現地の青年に声を掛けられナンパされ始める。
いくら生活水準は高くても、まだここは発展途上国なのだ。それに何より、英語もまともに喋れない日本人女性が交通量の多い夜道をフラフラ歩くのは危険すぎた。

足早に目的地を目指すこと10分。ようやく食堂にたどり着くことが出来た。
ガラス扉を開けて中に入ると、現地に住んでいるであろう家族連れが多かった。
食堂と併設してパン屋さんと総菜屋さんがあったので、いくつか注文してホテルに帰ることにした。
が、しかし、また30分も歩いて帰るのは正直不安だったので、今度は食堂の前に停まっていたトゥクトゥクに乗ることにした。
けれど、英語が喋れない私にとっては、値段交渉や行先の提示から既に難関である。

けれど、今は便利な時代になったもので、スマホのマップを見せてなんとか行先を告げ、金額も紙幣を無理矢理渡し、連れてってくれと頼むことが出来た。
初めて乗ったトゥクトゥクはドライバーの運転が荒いのか、これが普通なのかわからなかったけど、ものすごいスピードで歩いてきた大通りを駆け抜けていった。行きで30分も時間がかかったのに、帰ってくるときはものの5分ほどでホテルに到着。何とか夕食を済ませ、私は深い眠りに落ちていったのだった。


滞在二日目。この日は朝から忙しかった。優雅に朝食を食べている時間もあまりなく、気づけばバスに揺られ、一日のスケジュールの確認をしていた。
午前中はキャンディという街にある仏歯寺に。言葉の通り、仏陀の犬歯が納められているいるらしかったが、今となってはその歯を見た記憶すらもなくなっている。

そしてそのままお昼を食べて午後にはジープに乗ってサファリを巡った。ジープサファリは、当初参加する予定は全くなかったのだが、同じツアーに参加していた「ミドリさん」という女性にお勧めされて参加した。
ミドリさんは外向的な性格で、一人で海外に来るのは初めてと言っていたが、全然そんな風には、見えなかった。
銀座の高級ジュエリーショップで時計屋を売る仕事をしているらしく、よく話を聞いてみると、住んでいる場所もとても近かった。
「ジープサファリ一緒に行きましょうよ~絶対楽しいって!」と、言われ、何も考えないまま参加を決めてしまった。

ちなみに午後のツアーはジープサファリに行くか、アーユルヴェーダの体験をするかの2択で、それ以外の人は自由行動も出来るようだったが、いかんせん連れてこられたのは郊外で、とても一人でタクシーを捕まえて街中を巡ることも出来なかったのでせっかくなら、と、ジープサファリに参加することにしたのだった。

いざジープに乗り込み自然公園の中に入っていくと、まず見えたのは象だった。象が3頭、水浴びをしているのだ。野生の生の大きな象。日本の動物園にいるような象とは、迫力が違うような気がした。近くに寄りすぎると、象を刺激してしまうというので、私たちは遠くから眺めていた。一通り写真を撮り終えたところで、またジープは走り出す。次はどんな動物が見れるのだろうと、社内のツアー参加者たちはみな盛り上がっていた。ドライバーに「見えたぞ!」と声を掛けられ、目線を映すと、今度は象の群れだった。
20頭ほどの象が、またもや水浴びをしていた。よく見ると、草を食べて食事をしている象もいて、それでも、なかなかみられる光景ではないのでこぞって写真を撮りまくる。
そしてまた移動。次はキリンでも出てくるのかとワクワクしたが、次に見えたのも、また象だった。ここには象しかいないのか、と疑問を感じつつまた移動、そして象。また移動、さらに象。

5週目を回るころには社内の全員が飽き始めていた。「象はもういいから、別の動物を見せてくれ」と。

続く

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