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本よみ日記 春を待つ

3月になった。ここ5年くらい買いそびれていたミモザの花を無事に買い、さあ帰ろうと歩いていると、スタイリストの岡尾美代子さんらしき人を見かけた。じんわりと嬉しい。こちらに引っ越してきてからははじめてだった。いちばん初めにお会いしたのはLONG TRACK FOODSがまだレンバイの中ではなく、海に近かった頃のお店にて。



ブルーシートを敷いたり、濡れた本をよけたりしていると、大雨の中、常連さんが来た。テーブルの下に置いていた濡れた本の中から、あっという間に数冊選んで持ってこられた。濡れてるから……と言おうとすると、ちょうど買おうと思っていた本だからと、大きい笑顔でにっこりとされて、何も言えなくなり買って頂いた。その後も、お風呂で読むから気が引けなくていいと言ってくれる人もいた。悪いことの後には、いいことがある。

『みぎわに立って』

田尻久子さん『みぎわに立って』。図書館で借りて読み始めたばかりだが、とても美しい場面にじいんとなり書き留めておく。買うということ、働くということ。働いて得たお金をどう使うかということ。あらためて考えたいと思った。


ひび割れをゆっくり開け あおいあおいあなたのためのみずうみがある

『十階』

もう一冊借りた東直子さん『十階』は1月から12月まで毎日掲載された短歌日記。引用したのは3月2日の短歌で「あおいあおい」の繰り返しやひらがなに開いてあるところにゾワッとした。

しばらく離れていた短歌が最近また気になり始め、新しく出会いなおすような不思議な気持ちだ。私にも小さな春が来たようである。




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