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本よみ日記20

4.8土

教えてもらいながら、咲き終わった水仙の葉を丸める。なかなか難しい。息子はぬいた草をまた植えていた。

歩いて図書館と期日前選挙。自分ひとりのペースで黙々と歩くのが楽しい。

帰ってきて、齋藤陽道さん『声めぐり』の続き。補聴器をつけることをやめ、少ししてから冬の北海道への旅。

目に映るすべてがスローモーションのようだった。降りしきる雪のひとつずつが、発光しているかのようにくっきりと見えていた。
そのとき、雪は、降って積もるだけの自然現象ではなかった。
雪のひとつずつが、それぞれ一個人として存在していた。そう見えたとき、眼前に広がっているものは無限の語りだった。

『声めぐり』


見えているもの、聴こえているものが違うのだった。視覚や聴覚などが機能しづらい場合、他の感覚器が補うように冴えわたると聞いたことがある。どうなのだろう。

昔読んだ小説に、恋人たちが私たちはもうずっと一緒なのだからと、手や足を切り落とし、最後は目もなくしてしまった話があったような気がするが、タイトルが全く思い出せない。

若い頃、ある現代美術展で無音の部屋に入り、しばらくすると高い音が聴こえてきた覚えがある。窓から見える眩しいだけの新緑も、耳栓をつけてから見ると、また違うふうに見えるのかもしれない。

4.9日

たけのこ掘りに連れていってもらう。鍬を振り上げやすいところにはなかなか生えてなく、掘るのは容易ではないが楽しい。山の中は歩くことだけに集中できてよい。

たけのこのアク抜きをしながら、図書館で借りた『暮らしのおへそ 35』。夏葉社の島田潤一郎さんのところをじっくり読む。島田さんの著書『父と子の絆』の引用されている文にとても惹かれたので、近いうちに読みたいと思う。



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