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ゆかりある日記

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知り合って14年、結婚しては4年目。ゆかりさんとの日々。
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2019年11月の記事一覧

ゆかりある日記 その30

あと20分でアラーム?

洗濯機が震える音で起きる。昨日ゆかりさんが予約をしてくれていたらしい。文学フリマの次の日は極力休みにしている。洗濯機が振動がイク直前のように激しくなり感覚が短くなって、イッたようで音が鳴る。
僕はその間、昨日の文学フリマのことを検索して余韻に浸っていた。ゆかりさんを見ると洗濯を終えた音で起きたようで、干すよー、と弱々しい声で言う。じゃあそれに甘えようと思って、またスマ

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ゆかりある日記 その29

ゆかりさんと贈り物
ゆかりさんは贈り物が好きだ。宅配便から何かが届けば、自分への贈り物だと思っている。いつも何か届いたよ、と伝えると、わたしへのプレゼントかなあと言っている。大抵僕宛のもの。
今日はギフトカタログが送られてきた。そのことを仕事中のゆかりさんに伝えると、仕事が終わったという報告の前に、わたしへの贈り物かな!と喜んでいた。僕宛の贈り物だった。
ゆかりさんが帰宅してから包みを開けてカタロ

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ゆかりある日記 その28

ゆかりさんと日記
ゆかりある日記の冊子が届いた。小さな段ボールで届いたので、もう少し刷ってもいいかな、と思ったけれど、そのもう少しが売れ残ってしまうのだろう。食べすぎたらお腹が痛くなるのと同じだ。売れ残るのが本当に怖い。文学フリマで売れなかったことがある。ずっと座っている間、背中に冷たい汗をかいてしまっていた。目の前には自分で書いた言葉達の集合体を本にしたものが置かれたまま、動かない。今でも夢を見

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ゆかりある日記 その27

ゆかりさんと自販機
ゆかりさんは自販機をよく見つめている。
二人て歩いているときにゆかりさんは自販機を目で追っている。
今日はゆかりさんお目当があったのか近づき爪で自販機を叩いていた。「これが100円かあ」と値踏みもしている。そんなに自販機や新商品を気にしているだろうか、僕はしていない。「新商品なのに100円なんだなあ」とつぶやいている。僕がいない時でも同じことをしているのだろう、と自販機と語らう

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ゆかりある日記 その26

知りたがるゆかりさん
いまTwitterは恐ろしい。常に銃口を突きつけられているような感覚がある。一言で炎上し、意図とは違う意味にとられてしまうことがある。そんな危ない場所で僕は言葉を発している。だから内輪だけの鍵アカウントでもう一つツイッターのアカウントを持っている。そっちでは思ったことをそのまま垂れ流している。もしかしたら不快に思う人もいるかもしれないと思うが好き勝手つぶやいている。
ゆかりさ

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ゆかりある日記 その25

久々
久々に物語が浮かぶ。なんとなく演劇をやりたい気分なのかもしれないと思ったのは、なぜだろう。もうやらないから浮かぶのかもしれない。
YouTubeで自分の日記を毎日投稿し続ける人の話を思いついてメモに書く。いつか書くかもしれない。たぶん戯曲として書くだけかもしれない。

復讐
ゆかりさんのメガネに手が触れてしまい、レンズに指紋が付いてしまった。
「!!!」と声はならない声を上げて追いかけて

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ゆかりある日記 その24

ゆかりさんの演劇を観に行った。
ここ連日ゆかりさんは稽古や本番でほぼ家にいないので一人暮らしのような生活をしている。孤独を埋めるために、枕元にどんどん本が増えていく。積読ではなく、睡眠学習でもしようと思ったのかもしれない。
ゆかりさんが出る公演は原宿で上演される。日曜日の原宿に行くのか、と電車に乗りつつ乗客が増えていくことで実感していく。自分の中で原宿はTOKYOというイメージがある。トーキョーっ

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ゆかりある日記 その23

あいまいなめまい
ここ最近ずっとめまいが酷く、宇宙船地球号に乗り物酔いかもしれないと思っていたが、ゆかりさんは本番前でピリピリしていて、めまいがとは言えず、会社を早退して病院へ行く。
花粉症の時に行っていた耳鼻科はずっとお休みしていて、前を通るたびにゆかりさんがずっと休みだね、と言っていた。ゆかりさんは街の風景の変化に敏感だ。
どこどこの家は空き家になった。店が変わった。どこどこの部屋に引っ越して

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ゆかりある日記 その22

死んでいたのかもしれないと思うほど、ここ1週間の記憶がない。ゆかりさんの演劇の稽古が本格化してから僕の記憶は薄い。ようやく目が覚めたように脳がぐにゃりと回転をし始める。今まではたぶん僕は人形だったのだろう。
ゆかりさんは台詞を覚えなければいけないため、部屋でうろうろしながら何かを喋り、歯を磨きながら何かを喋っている。覚えるの大変だなあと、僕は実際にあった事件を元にした小説と、実際には存在していない

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