ゆかりある日記 その28

ゆかりさんと日記
ゆかりある日記の冊子が届いた。小さな段ボールで届いたので、もう少し刷ってもいいかな、と思ったけれど、そのもう少しが売れ残ってしまうのだろう。食べすぎたらお腹が痛くなるのと同じだ。売れ残るのが本当に怖い。文学フリマで売れなかったことがある。ずっと座っている間、背中に冷たい汗をかいてしまっていた。目の前には自分で書いた言葉達の集合体を本にしたものが置かれたまま、動かない。今でも夢を見る。

ゆかりさんと日記
ゆかりある日記の冊子が届き、荷造りをする。文学フリマへ宅配搬入をするための荷造り。その間、ゆかりある日記の冊子をチラチラと触りながら様子をゆかりさんは見ていた。すると読み始める。確認しないといけないからな、と僕に聞こえるようなアピール。
ふんふんふん、と読み始めている。
売れなかったらどうしまう。お金が、と考えてしまうのは貧乏性で宅配搬入でさえお金がかかる。お金お金。
お金がなくて不安。
不安は消えない。

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