ゆかりある日記 その24

ゆかりさんの演劇を観に行った。
ここ連日ゆかりさんは稽古や本番でほぼ家にいないので一人暮らしのような生活をしている。孤独を埋めるために、枕元にどんどん本が増えていく。積読ではなく、睡眠学習でもしようと思ったのかもしれない。
ゆかりさんが出る公演は原宿で上演される。日曜日の原宿に行くのか、と電車に乗りつつ乗客が増えていくことで実感していく。自分の中で原宿はTOKYOというイメージがある。トーキョーって感じでもある。下を見ながら原宿に降り立つ。人が多い。トーキョーだ。すれ違う人たちの言葉は日本ではないけれど。
やはりみんなタピオカかクレープを持っている。持っていない僕は迫害されるかもしれない。渋谷あたりまで歩いて逃げたいと思いつつ会場に着く。
「ひびの、A to Z〜夜汽車のゆくえ!ver.」を観る。観た。
公演は日記のような作品だった。生きている人たちが目の前で語る前のこと。本当にあったことなのか、作られたことなのかはわからない。ただ日々を過ごしていたという言葉や動きがある。生活や日々がわかったからといって出演している人のことはわからない。
人間はわからない。自分のことだってわからない。でも人生は知ることができるし、わかる。
ゆかりさんが出た瞬間、家でいつも寝ているか、スマホのゲームをしているゆかりさんの姿はそこにはなかった。ゆかりさんの形をした誰かのように思えた。
ただそれが面白くて見ながらにやにやしてしまった。
公演はとても面白かった。
見終わって原宿から逃げるように電車に乗って途中、駅で降りて本屋さんに寄って本を買った。最近買う本は聞いたことない出版社から出ているのが多い。

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