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No.10 行動の毒薬「無気力の歴史」 1

「学習性無力感」とは、長い期間にわたって回避できないストレスを経験することで、その不快な状況から逃れようとする努力すら行わなくなってしまう現象です。 

なぜ話す必要があるのか。

それは放っておくと「死」に至る、恐ろしい話です。なんとしても元気がないと言われている現代日本にとって「切っても切り離せないテーマ」だと思ったのです。

人間を生かすのも○すのもこの「学習性無力感」が鍵なのです。そんな「学習性無気力感」に陥ったことのある過去の自分のためにも話をさせてください。


始まりは偶然に

1960年代にセリグマンという大学院生が犬の条件づけの実験を行っていました。セリグマンはいつものように「嫌悪条件づけ」とい条件づけの実験を行いました。

当時の心理学は条件づけ(○○したら○○するといったようなもの)という考え方が流行していました。そのためセリグマンもその条件づけに関する実験を行っていたのです。

そしてとある実験を彼と他の実験メンバーは行っていました。

それは
「犬が電気ショックを回避するために音が鳴ったら、衝立を飛び越えて隣の部屋に逃げることを学習させたら、犬は隣の部屋に逃げるか」を見る実験でした。

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そのためにはまず電気ショックが来る前に「音を聞いたら逃げる」という訓練をする必要があったためその訓練をしておりました。

単純に音を聞いたら隣の部屋に逃げるだけのことです。しかし、犬たちはどんな行動をとったのか。


なんと、その犬たちは鼻をクンクンとしながらうずくまったままで動かずに同じ場所に縮こまっただけだったのです。音が鳴ったら柵を越えるという単純なことをなぜしようしなかったのか....

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衝撃な事実

それは犬たちが能力的にできなかったのではなかったからではありません。なぜなら柵を越えるということは普通の犬ならできます。

ということは「自分には無理だ」ということを学習したのです。それを決定づけたのがセリグマンらが行った無気力実験でした。

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