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#6 かじられた林檎で見る世界

【前回の内容】↓

慌てふためきながら、
我々はボナムを獣医さんの元へ連れていった。
こんなこともあろうかと
近くに評判の良い獣医さんを調べておいてよかった。

クレートにボナムを入れて車に乗り込む。

育児疲れをしているワンオペママばりの顔をした
運転手(旦那)に

「安全運転で頼むよ」と告げた。
(↑どの口がいう?)


私は動物病院には行ったことがなかった。
病院にはあまり世話になりたくないのだが
人生初めての経験ということで
不謹慎だが、少しワクワクしていた。

病院に着き待合室を見ると
当たり前だが、患者は動物たちだ。
それがとても不思議な光景だった。

「ボナムさん〜」

若くて可愛い看護師さんに呼ばれ
診察台へボナムを降した。

ボナムはとても不安そうな表情をしている。


そこにとても感じの良い先生がやってきた。
私は血便の状態と、
迎え入れてからの一部始終を先生に話し

「一応ボナムの排泄物をもってきました」

とボナムの作品を献上した。

「見せてください」

そういうと先生はいきなり
ボナムの作品の匂いを直に嗅ぎ始めたのだ。
いきなりの出来事に私はびっくりし、
さすがプロは違うなぁと痛感した。

先生はなにやら作業をしていた。
何をしているのだろう。


ふと目の前を見ると
私が喉から手が出るぐらいに欲しい
iMacが壁にかかっていた。

「画面を見てみてください」

言われた通り見ていると
画面には白黒で、丸いものや小さな点が
動いている映像が写し出された。

「これはなんですか??」
「ボナムちゃんの便を顕微鏡で写したものです
「え!?」

驚いたことに
ハイテクなMacが映し出す世界は、
ボナムの便の中身だった。

私たち大の大人3人は、
真面目な顔をして便の中身を見ている。

ボナムの便の中には、
ふわふわと色々な形の丸が
浮いていたり、動いていたりして
とても幻想的だった。
先生が一生懸命に説明してくれるものの
私の頭の中は、こんな高そうな機材で
一生懸命に写すのは便の中身だと思うと
まるでパラレルワールドにいる気持ちになった。

Hello、スティーブ・ジョブズ。
あなたのお陰で現在、
この子のお腹が描く絵画を見ている。
あなたの点と私の点をつなげると
こんな世界が待っていたんだね。

ふと目線をボナムにやると
先ほどの不安顔とは打って変わって
ジョブズばりの自信に満ち溢れている顔をしていた。

サポートしていただきありがとうございます!サポートは全てボナム(愛犬)に還元しようと思います^^