Roll.3 期間限定の空間と一生の記憶
noteの皆さん、またお会いできて何より。
気がつけば1月も終わり。
大学卒業までのカウントダウンを感じながら、学生時代の総括としてフィルム写真をロール毎に載せていく。
前回の記事ではモノクロの中判フィルムを扱ったが、写真に引っ張られてか文章も、多少ばかり無機質だった。
そんな中でもたくさんの方に読んでいただき、嬉しい限りだ。
インスタグラムの方ではデジタルで撮影したポートレート写真を投稿している。卒業までにお気に入りの大半は載せ終わりそうだ。
*展示会の担当部員。
フィルム文化のおくり人
今回は大学の写真部で展示会を開催した際に、搬入と呼ばれる準備の段階を撮影したロールだ。
使用カメラはMinolta Hi-Matic Fというレンズ一体型のフィルムカメラ。非常にコンパクトだが、チープすぎないこってりとした色のりだ。
フィルムは、Agfa vista 200。
現在は廃盤のフィルムで、最初で最後の使用になった。フィルム文化が衰退する過渡期において、その最後を見届けるおくり人としての経験ができたのは、光栄なことだ。
真っ赤なパッケージと少し古めかしいフォントで包まれていて、パッケージがそうだったように赤みの強いコントラストの高めの写りだった。
カメラに申し訳程度に付いている薄いレンズは、38ミリ。中途半端な焦点距離は、視界の全体を漠然と捉えるには狭く、撮りたいものと背景を、分別してクロップする。それに加えフィルムの持つ高いコントラストが、ドラマチックな印象にさせる。
*目の前のなんでも は写らないからこそ、
自分の選択が必要。
*就職活動や、コロナなど以前のようには会えない。
写真展が当たり前にできた幸せ
毎日のように部員とあっていたが、今までが会いすぎていただけで、本来は全く違うタイプの部員が集まっていた。
今は、適正な距離感に戻っただけかもしれない。それでも当時は、ただみんなに会うために頑張っていた。
展示会やイベントなど1つのことを一緒に成し遂げることで、そのバラバラの個性が自然と合致して行く感覚があった。
*尊敬する先輩
*作品に光を当てるライティングは、
展示会の最後のピースを埋める作業。
この先輩は、直感で良いと思うものを表現する自分とは対照的に、先に論理がくる人だった。提案すると「なぜそうなの?」と質問してくる。
すると、自分の考えがより洗練され、ストンと腑に落ちることがよくあった。
尊敬ももちろんだが、相性の良さを強く感じていた。
*ライティングの電球を落として、
みんなでガラス片を這いつくばって拾った。
*撮影者の個性が写真に投影されて、
印刷されるとより強い感情のようになる。
ライティングも終わる頃には、夕方ごろになっている。何十人で作業してもこのスピードなのだから、個展などを開催するとなったら、それだけで骨が折れる。
仲間と息を合わせて作る。写真展もセルフタイマーも。
*1番右が僕だ。シャッター押して画角に入り込む
タイムアタックに無事成功。
*ライティングで使用した脚立が、
ちょうどいい場所に。
セルフタイマーの撮影ができれば、自分も写り込める。
自分の写真がないのは、カメラマンの全世界共通の悩みだが、こうして自分が、部活のTシャツを中に着てたことも思い出すことができる。
*完成した空間は期間限定だけど、一生の思い出。
*数年に1人、1人でカートを押せる力持ちが現れる。
大学内の展示スペースを借りたので、部室から荷物をカートで運ぶ。
一方でキャンパス内はディズニーランド並に広いので、往復するだけで体力を削られる。
展示会の近くでは、白い手袋したネズミのキャラクターの代わりに大学のマスコット「リッキーくん」がお出迎えしてくれていた。
今年はコロナの影響で写真展を1度もできずに卒業迎える。
インスタやnoteに写真を載せるのとは違う、
リアルの空間で骨組み(パネル)と感情(写真)を準備できた写真展。
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