「叱れない」ことのワナ
ハラスメントを恐れ、ミスが多い部下を
「叱れない」というお声を耳にします。
管理職の方々は、「下手に叱ると、
ややこしくなるから黙っている」などとおっしゃいます。
そもそも「叱らない」と「叱れない」は大きく違いますよね~
▶️「叱らない」→自らの意志で選択。
▶️「叱れない」→自らの意思に反して、できない状況。
今回は「叱れない」ことのデメリットについて考えます。
「叱れない」上司のもとで起きやすい悲劇
1)部下がいつまでも成長できない
失敗時に適切に叱ってもらえたら、ほとんどの人は足りない部分に気づくことができます。でも叱られなければ、失敗を教訓にするチャンスさえつかめません。
また、叱ることを避け、さりげなく部下のミスをフォローしてしまうと、部下は仕事を身につける機会すら失い、いつまでたっても成長できません。
2)管理職として自分も成長できない
嫌な顔をされたくないからと「叱る」ことを避けていると、上司のマネジメント能力も疑われてしまいます。
さらに、部下育成における自分の成長の機会も逃していることになります。
振り返れば、かつての私も、学生に対し耳の痛いことを言えませんでした。そのことを先輩に言うと「冷たい人ねぇ」と苦笑され、ハッとしました。
適切に叱る=相手に「本気で向き合う」ことだと気づかされた瞬間でした。
それから10数年。
当たり障りのない関係では、信頼の芽は育ちにくい、ということも理解できるようになりました。
3)心を抑圧が続くと、そのしわ寄せが心身に及ぶ
複雑な感情を抑え、見て見ぬふりを続けていると、自分自身の心身に不調をきたしてしまいます。アサーティブを教わった森田汐生先生の著書で学びました。
「叱り方」のポイント
1)「なぜ(過去)」ではなく「何(未来)」で
➊「なぜ」→人の行動にフォーカス
「なぜ遅刻したんだ‼」と言われると、責められているような気分になりませんか。
その後、次のどちらかの感情を抱きます。
●既に済んでいることだし「理由をいって、どうなるんですか」と反感を抱く
●「あぁ、取り返しのつかないことをした」と落ち込む
どちらにしろ追い詰められ、思考が停止してしまいます。
❷「何」→ 事象にフォーカス
一方、「何があったの?」と聞かれると、ふしぎと責められている気はしません。あったこと(事実)を伝えてもいいかな、という気になりませんか。
その後、「何を変えていきましょうか、次は」などと聞いてもらえると、「次があるんだ」と思考が未来に向き、顔を上げることができるかもしれません。
★「なぜ」と「なに」
たった1文字の違いで、過去→未来、「もうダメだ」→「次こそ」と思考が変わる。10数年前に教わり、目から鱗が落ちた瞬間でした。
2)本人ができることにフォーカスする
「性格を変えなさい」
「今すぐ取引先からOKをもらいなさい」
など、本人の努力だけでは難しいことは要求しないことも大切ですね。
人格に触れないことも然り。
同時に幾つも要求するのではなく1つに絞って伝えることも重要なポイント!言うほど簡単に、人は複数のことはできませんものね。
3)改善策は本人から出させる
同じミスを犯さないための改善策は、本人に考えてもらいましょう。なぜなら私たちは、人から言われたことより、自分で考えたことのほうが行動に移しやすいからです。
その際、部下の発言に違和感を持ったとしても、否定したり説得したりせず、まずは実行させましょう。そのうえで上手くいかなければ、作戦2を考えてもらう。
ミスの内容にもよりますが、安全に関わったり、誰かに迷惑がかからない範囲でなら、トライ&エラーを繰り返す部下を見守り、成長をサポートしていきたいものです。
4)普段との落差を利用して叱る
日頃から温厚ならば、叱るときは大きな声で熱く!
普段、声が大きく情熱的なら、叱るときは、落ち着いて淡々と。
いつもの自分との落差を利用することで、叱られた側は、いつもと違う様子に危機感を抱くかもしれません。
5)タイミング、場所、トリガーを十分に検討する
・ミスの直後に叱るのか、時間をおいて叱るのか。
・1対1で叱るのか、フロアで叱るのか。
・相手が絶対に触れてほしくないことは何か。
ミスの状況や、相手の性格などを考慮し、タイミング・場所・言葉を選びたいものです。日頃から十分なコミュニケーションをとっていないと、その選択を誤り、関係性がこじれてしまう種を蒔くことに……。気を付けたいです。
6)引きずらない=フォローする
毅然と叱ったあとは、「お疲れさま」「お先に」など、いつも通り挨拶をしましょう。叱られた側から、自然に挨拶をするのって、なかなかハードル高いと思います。
叱った側から切り替える。そして、その後、部下の言動に変化が見られれば「ずいぶん早くなりましたね」など、言葉にして承認する。
叱る→経過観察→承認で1セットだと思っています。
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以上、思うままに言語化してみました。
アンガーマネジメント、ハラスメントにも関するキーワードが多いですね。そして私は、本文でもご紹介したアサーティブジャパンの森田先生の影響を大きく受けているのだなぁと、改めて感じています。
それにしても、文章が稚拙……(反省)
一旦公開しますが、後日、推敲を重ねてまいります。
お読みくださり、ありがとうございました。