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「誰にも代えられない自分でいたい」お店に立つことへの並々ならぬプライド

「カレーとごまどうふの店 石本商店」。
これがわたしたち夫婦のお店であり、仕事場です。

お店の、接客と広報は主にわたしが担当し、
製造と経営は夫が、という役割分担をしてます。

ここ最近、ふみやくん(夫)と
「今後のこと」を話す機会が多いです。
そこで、今後わたしは
「ずっと石本商店をやりたい?」
「他にやりたいことはない?」と、
自分への"問い"を立てていました。

そこで気づいたんですが、
わたし「いまのわたしの代わりはいない」って、
自分でめっちゃ思っちゃっているんです。

だから、やりたいこととかそれ以前に、
「石本商店は私がいなきゃダメだから、
まだまだずっとやるに決まってる」という
思考停止マインドがあるようです。
ほんと、自意識過剰が甚だしいんですが、、、
自分には確固たる「プライド」があるみたいです

「石本商店の接客は私じゃなきゃダメだ」という、凄まじいプライド。

わたしが、私以外の誰かに
代わってもらう気持ちなんて毛頭なく、
そもそも、代わりの誰かで
まかなえるようなわたしですらいたくない。
という、強い強い強い気持ちがあるんです。

そんなことに最近気付きました。
きっかけは夫の言葉。

「こずさんがいまのポジションに飽きたり、
嫌になったら、代わりの誰かを雇っていいですよ」
と言われた時のこと。

その時「え??代わりの誰か???」
「わたしがいないなら、それって石本商店なの?」
率直にそう思って、そう言っちゃいました。
「そこまでプライド持ってやってくれて、
ありがとうございます」と、夫は言ってくれたけど
(石本商店はそもそも夫のお店です、というか、
夫のおじいちゃんとおばあちゃんのお店です)
その瞬間、
「わたしって猛烈にプライドが高いんだな」と、
恥ずかしくも強烈な自分の感情を
見つけちゃいました。

では、なぜこんなに
「自分が石本商店の看板」であることに、
プライドがあるのだろうか?を考えてみました。

たぶんまずは、これまで
SNS発信に力を入れてきて"今"があること、
という状況が大きいかもしれません。
石本商店の接客は「お店」だけじゃなくて、
「SNS」だって接客の場なんだ、
という意識が強くあります。

お客さんがお店のことやカレーのことを
シェアしてくれた投稿やストーリーズには
ちゃんとリアクションするとか、
メッセージはなるべく返事をするとか、
「ありがとうございます!」ってありきたりな
一言よりも、なるべくその人にしか言えない
言葉でお礼を言うとか。

あとはもちろん、相手の顔を覚える、
やりとりも覚える、それをきてくれた時に
直接伝える、もちろん感謝の気持ちも伝える。

ネット上とお店の接客がリンクして、
それが日々のライフワークになってるから、
たぶん「お客さんと関わること」や
「石本商店のファン作りをすること」に、
情熱やプライドがたくさんあるんだと思います。

そんな自負があるから(まあほぼ趣味なんですけど)、
「ここまでやれるのは自分くらいだ」とも思うし、
「誰かに代わられてたまるかよ」という
強気な気持ちがあります。
それくらい、プライドを持ってやっているんです。

だって、私の夢は「自分にしかできない仕事をすること」だから。

私以外の人が、
石本商店の「顔」になれるようならば、
わたしは、そんなわたしを、ぶん殴ってやりたい。
そんな気持ちでお店に立つな、と。

接客業。店員さん。一括りに言えば
そんな立場であることに変わりはないです。

挨拶をする、お会計をする、カレーを運ぶ、
それくらいなら誰だってできる。

でも、誰だってできる接客じゃ、
誰かにとっての「特別なお店」になんてなれない。

「また来たい」「またこの人に会いたい」
なんて思ってもらえない。
真心を込めて、ひとりひとりに、真摯に、優しく、
丁寧に、自分にしか紡げない言葉で感謝を伝える。

「誰にも変えられない自分になる」という
確固たるテーマは、お客さんのため、というよりは
目指すべき自分の姿であり、
自分自身に課してることなのかもしれません。

そう、だからわたしは、
ずっとお店に立っていたいんです。

「人で売ってるお店は長くは続かない」とは、
よく言われるし、
商品だけで稼げるに越したことないとも思います。

でも、でもでも、
誰かがくれるあたたかい言葉とか、
優しさ、笑顔とか、そういう些細かもしれないけど
「温度を感じるやりとり」って、
めちゃくちゃ価値があると思うんです。

少なからずわたしはこれまでの人生で、
誰かの言葉や存在に励まされたり、
勇気や元気をもらって、ここまできました。

だから、
単なるカレー屋かもしれないけど、
単なる店員さんかもしれないけど、
「あたたかい何か」を届けられるような、
そんな存在でいたいって、いつも、いつも、
本気で思いながら接客してます。

書き出してみたら、
わたしの中のパッションと同時に、
涙まで出てきて、いま自分で自分に引いてます。笑

でもこうして涙してみて気づいたけど、
わたしたぶん、
石本商店で接客することが何より好きで、楽しくて、
心から頑張れる仕事なんだと、
本気でそう思いました。

もちろん、一からお店を立ち上げて、
一からカレー作りをしたわたしたちだからこそ、
感謝の気持ちが尽きない、というのもあります。

当たり前のようにお客さんが来てくれて、
おいしいと言ってくれること、
来れて嬉しいと言ってくれること、
まじで、当たり前のことじゃないです。
こんな奇跡ない、、すごい、、
お客さんって尊い、、、って本気で思います。

そんな経緯があるからこそ、心から
「ありがとうございます」と思えていて、
だから、石本商店に来てくれた人には、
なるべく嫌な気持ちになってほしくないし、
少しでも、素敵な思い出とか、
ほんわかした気持ちを抱えて帰って欲しい。
そんな気持ちでいっぱいなんです。
暑苦しいやつでごめんなさい、でも本当です。

ということで、わたしは、
「石本商店」という大切で大好きな場所で、
誰にも代えられない存在になりたいんです。

そして「こんなお店は他にはない!」
と思ってもらえるくらい、
誰かに元気を届けられるお店に、
そしてそんなわたしに、なりたいです!

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新潟でカレーとごまどうふの店を営む夫婦が、日々の気づきや、表じゃ書けない裏話などの「赤裸々エッセイ」を綴ります。

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