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【サクライ雑記】ファッションと音楽から考える文化の盗用

こんにちは、サクライです。

みなさんは「文化の盗用」という言葉を聞いたことはありますか?
ファッションはもちろんあらゆる製作に関して、ある文化圏の要素を他の文化圏の者が流用することを指すのですが、それは具体的に一体どういうものなのか。

一昨年、そのブランドネームの命名から炎上騒ぎにまで発展したキム・カーダシアンの「KIMONO問題」や、昨年のComme des Garçonsのランウェイにおける「コーンロウ騒動」などなど。

これらに対する反発は、差別的感情や文化の軽視が原因とも言われていますが、それ以上にその文化圏の属する人間たちが、自分たちが蔑ろにされていると感じることが起因しているのかと思われます。

というのも先日、Jorja Smithというイギリスのシンガーが発表した楽曲「All of This」に関して同様の問題が起きていたので、改めてトピックとして面白いのではと思い、今回このnoteにまとめました。

サクライコメント
2017年にUK Garage/2-stepを踏襲した楽曲「On My Mind」で彗星の如くシーンに登場したJorja Smith。
本作はガーナ人プロデューサー・GuiltyBeatzによる跳ね感がありながらも非常に洗練されたサウンドにJorjaの歌声がマッチして、エキゾチックでトリップ感のある楽曲となっています。
発表時のtweetの内容やログドラムの採用など、Amapianoを意識したエッセンスが盛り込まれており、そこが現地シーンからの反感を招くことに...
(プロモーションビデオのローファイでシンプルな感じも、このミニマルな楽曲に非常に好相性。手数が多ければ良いというわけでもないなぁと勉強になりました。)

お聴きいただいていかがだったでしょうか?
まずハッキリさせたいのは、サクライはこの曲はとても素晴らしいと感じました。

しかしこの楽曲は、インスパイア元となったAmapianoの発祥の地・南アフリカを中心に、ソフトなものからハードなものまで様々な否定的な意見が出ているのです。
(8月6日に発表されたばかりにも関わらず、YouTubeのコメント欄やTwitterなどではだいぶ紛糾しています...)

近年、アフリカ大陸のミュージックシーンは多くの世界的アーティストから注目を集め、それぞれの楽曲にもその要素が取り入れられワールドワイドな盛り上がりを見せています。


サクライコメント

Lean Onでのスマッシュヒットも記憶に新しい、Diplo擁するユニット・Major Lazerは2018年に立て続けにリリースしたアフリカンアーティストとのコラボ曲をまとめたEP「Africa Is The Future」を発表。
収録曲Tied Upはナイジェリア発祥のBanku musicのパイオニア・Mr. Eaziと、数多のヒット作を手掛けるイギリス人プロデューサー・Jake Goslingにイギリス人シンガーRayeを客演に招集し、それぞれの魅力を見事に融合させた楽曲に仕上がっています。
(プロモーションビデオの中で、ダシキやキテンゲを身に纏った人々がエネルギッシュに踊っているのがとてもカッコ良い!)
サクライコメント
最早、世界を代表するアーティストの一人となったDrakeが、ナイジェリアのAfrobeatの旗手・Wizkidとイギリス人シンガー・KyleのDo You Mindを曲ごとフィーチャーした楽曲・One Dance。
プロデュースは盟友Nineteen85とNoah "40" Shebib。
(Nineteen85はdvsnというユニットでも活動していて、昨年発表したアルバム「A Muse in Her Feelings」は傑作とも呼べる内容でした。Noah "40" ShebibはDrakeのレーベルOVO Soundの共同設立者の一人であり、グラミーノミネートの常連である敏腕プロデューサー。)
Wizkid名義のOjuelegba RemixではUK Grimeの人気アーティストであるSkeptaと共に参加するなど、二人の相性はまさに抜群。
常に時代の最先端を行き、若手や各地のシーンの取り組みを自分流に昇華させるDrakeの勢いを説明する上でなくてはならない名曲です。

これらの楽曲は、現地の音楽をそのままの形ではなく吸収してブラッシュアップさせることで、世界中の人々が楽しめるような新しいサウンドが生み出されています。
(いわゆるコアとマスと表現されるように、ローカルシーンそのままのサウンドは良くも悪くも粗く、好事家にとってはそれが良いのですが、馴染みの無い人にとっては聴きづらいものが多いです。)

しかし前述のJorjaは厳しい批判にさらされる結果となり、Major LazerやDrakeの楽曲が受け入れられている理由はなんなのでしょうか。
それは非常に単純ですが大事なことで、前者の作品には現地アーティストが参加していなかったのです。

なんだそりゃと思うかもしれませんが、そもそもHIP HOPやHOUSEなどのいわゆるクラブミュージックは、カルチャーと深く密接に結びついており、ある種生活の一部のような側面もあり、インスパイアやサンプリングを重ねることで世界各国の各地域での独自性が産まれ、いちジャンルとして形成されております。

それを踏まえた上で考えると、やはり本来の文化圏に属する当事者たちを置き去りにした引用は不興を買うことになることは当然とも言えるのです。

個人的にはJorja SmithのAll of Thisに関しては、現地アーティストを招いたRemixを発表すれば一発で解決するのでは無いかなぁとも思われます。
(実際に曲そのものの評価自体はすこぶる高く、やはりAmapianoを彷彿とさせながらも所縁のないアーティストだけで作られたことに対する失望が強いように見受けられます。)

しかしこういう話題を見聞きすると、最近はだいぶ世の中が神経過敏になってしまっているなぁとつくづく感じます。

自身の文化に誇りを持つことは大変素晴らしいことで、それが自分たちの魅力を十二分に引き出す原動力になることは間違い無いです。

一方、リスペクトを持って歩み寄って来てくれる相手に対しては寛容な気持ちを持って接することができれば、素晴らしい共生社会へと繋がるものとも考えています。

お互いに敬意を持って1+1が100にも200にもなるような世の中にしていきたいですね。

サクライコメント
KING OF POPことMichael Jacksonの名曲Remember The Time。
ニュージャックスウィングのトッププロデューサー・Teddy Rileyとの共作で生み出されたこの曲は、しっとりとしながらもMichaelらしいダンサブルなナンバー。
エディ・マーフィーも出演しているミュージカル調のプロモーションビデオは、古代エジプトを舞台にした内容で過剰な装飾によるステレオタイプなイメージとなっており、これこそ今のご時世であれば大バッシングになってしまうのではないだろうかという内容ですが。笑
特にそのような問題が当時発生しなかったのも、We Are the WorldBlack Or Whiteなどダイバーシティの権化のようなMichael自身の人徳によるものかもしれません。

私たちが取り組んでいるco:doというブランドも、長野県発の老舗縫製工場のファクトリーブランドとして活動する以上、日本各地の生地産地の方々をはじめ多くの県内の企業様や、工房さんなど地域で活動している方々とコラボレーションをして、魅力的なアイテムをお届けできるよう努めております。

これからも長野県、そして日本中のモノづくりの精神を集めたco:doのアイテムを、是非ともお楽しみいただければと思います。

co:doのアイテムで気になることなどございましたら、こちらのnoteのコメントでも結構ですので、遠慮なくお申し付けくださいませー。

ではでは。


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