不確実性高いスタートアップのブランディングデザイン
この note は Ubie Corporate Advent Calendar 2022 5日目の記事です。
この記事は、Ubie に BX（Brand Experience）デザイナーとしてジョインしてから、激変していくスタートアップでブランディング関連業務を行いながら私が感じたことや悩んでいたこと、やってきたことやこれから行おうとしていることをご紹介します。
私は Ubie のプロダクト & 事業開発を行う組織である Ubie Discovery に入社したのですが、各組織・事業を横断し管理する Ubie Corporate にて PR / Branding チームの一員も兼務し、ブランディング関連業務を行っています。Discovery と Corporate は組織カルチャーが異なるため、この記事は Corporate の人格として書いています。
改めてブランディングとは
早速ですが、皆さんも企業やサービスにとってブランディングの大切さはいうまでもなくよくご存知だと思いますが、私たちが普段使っているブランディングとは一体なんでしょうか？そして、よく耳にするマーケティングとの違いはなんでしょうか？
色々な解釈や定義があるのでここでは正確な意味を決めようとするのではなく、私がどう捉えているのかをご紹介します。
Ubie の PR / Branding チームの一人である 林の記事 にも書いてありますが、私も強く同感しています。
マーケティングは市場に対して自社（自分/自サービス）が価値を生み出し届け続ける働き・仕組みのこと
ブランディングは市場に対して自社（自分/自サービス）が持つ価値の唯一無二性を認識・記憶してもらう働き・仕組みのこと
https://note.com/hayashi_bf/n/n1f07492f0516
似てるようで、異なるのがよくお分かりになるのではないでしょうか？ 振り返りになりますが、他が真似できない唯一無二の価値を「認識」「記憶」してもらうための動き・仕組みなのです。
スタートアップだけでなく、企業・サービスのブランディングは「事業（ビジネス）」「組織（Inner Branding）」「ユーザー・ステークホルダー（Outer Branding）」を上手く繋ぎ、持続可能な関係を作り続けることだと私は考えています。
認知・記憶してもらうということは、「選ばれる」という意味としても置き換えられます。
ユーザーに選ばれ事業を成長させるには、従業員・チームメンバー一人ひとりが同じゴールに向け・同じ思いを持ち、私たちだけの価値を各事業を通じて届け続ける組織がとても重要です。
同じく事業を成長し続けるためには、優秀な人材が必須不可欠です。その優秀な人材に選ばれるためには私たちが目指しているゴールや思い、私たちだけの価値を形にし、ユーザーに届け続けている組織であることを伝え続けるのがとても重要です。
さらに、選ばれる企業・サービスになるためには、私たちが信頼できる会社・組織であることかつ社会の一員として提供する価値が社会にどのように貢献できるのかを伝え続けることがとても重要です。
ROI & WHY NOW
みんなが大切だと感じているブランディングですが、急速に事業を成長させることがとても大事なスタートアップに置いて、ブランディング施策を行うには色々な壁があると私は感じています。
その中で、限られているリソースを使い事業を急成長させるためには、会社・組織が優先順位が高いものに力を集中していく必要があります。その際には ROI（Return On Investment）も考慮しないといけません。
Ubie は毎 Q ことに OKR を活用し事業にフォーカスすべきことを決めて全力で走っていますが、その OKR の Object が途中変わることも普通にありますし、事業の方向性が変わっていくことは皆さんもご存知通り十分にあり得ることです。
その場合には私たちの提供できる VP（Value Propositoin）も変わっていくはずです。全てが急速に変わり続けているスタートアップにとって、一度足を少し止めて俯瞰して全部をまとめる作業も必要なのですが、それをするリターンがすぐ見えないブランディング施策を行うのは場合によってはリスクとしても感じることも十分あり得るのではないでしょうか？
ROI とも繋がりますが、スタートアップによってただブランディング施策だけでなく全ての動きについて、「今それを行う必要は本当にあるのか？ 今が適切なタイミングなのか？もっと優先度高いものはないのか？」と WHY NOW？ を自問自答し続けなければならないのです。言うまでもなく選択と集中がとても大事なためです。
そのため、事業が成長しないと会社の存続にも影響が発生しうるスタートアップにとってブランディング施策より、まずはユーザーに知って・使ってもらうために ROI 高いマーケティング施策が優先されるのもよくある話です。
一旦は目の前の結果に集中する。達成できたら、次の結果に向けてまた全力で走る。それがスタートアップだと思います。
ブランディングの重要性を知らないからではなく、限られたリソースを活用し「今とても重要で ROI の高いもの」に力を集中し続ける必要はスタートアップにとって重要な動きだからです。
選択し集中するブランディング
だからといって、Ubie がブランディング施策を全く行っていなかったわけではありません。一般的に言われるブランディング施策とは大分違う形ではありますが、こちらにも選択と集中をしてきました。
特に Ubie は事業の成長に直ちに繋がるブランディング施策に非常に意識を高め力を入れてきたのです。
事業を成長するためには、強い組織
それは、同じゴールに向け同じ思いを持ち事業の成長に繋がるための「会社・サービス⇔組織」を強くするためのインナーブランディングです。
BXデザイナーとして私が Ubie にジョインする前から共同代表の阿部・久保を初め既存のメンバーたちで、ビジョン・ミッション・バリューがきちんと設計されていて、組織への浸透も強い意志で進めてくれていました。各組織事のカルチャーも存在してますが、Ubie のミッションである「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」にもちゃんと Sync できていたのです。
そのため、Ubie の従業員なら誰もがビジョンやミッションにコミットできているのを見て驚いた記憶があります。ここまで強くビジョン・ミッション・バリューにコミットできている組織はあんまり見ていなかったためです。
強い組織がもっとスピーディーに前に進むための採用
もう一つは事業を成長させる優秀な人材を獲得するために「組織⇔採用候補者」を強くする採用ブランディングです。こちらも私が Ubie にジョインする前から採用チームメンバーたちが積極的に力を入れ、ブログ記事や SNSを通じて、Ubie のことや各組織のことを採用候補者が少しでも理解度や解像度を上げれるように積極的に発信していました。そのおかけで Ubie のことやカルチャーに合う優秀な人材が次々とジョインする結果にも繋がりました。
特に、スピード落とさず効率よく事業の成長に強くコミットさせるために組織を分け各組織が違うカルチャーを持っている Ubie にとって採用ブランディングは必須不可欠なことでした。
この二つにブランディング施策として集中しながら、もう一つの柱である「会社・サービス⇔ユーザー」を強くする方法としてはマーケティング施策で主に行ってきました。まだまだ多くのユーザーに知られてないスタートアップのサービスにとって、提供できる本質的な価値を伝え会社・サービスを認知・記憶してもらうことより、まずは知って・使ってもらうことがとても重要だったためです。
一般的にトップダウン式で行うブランディング施策とは少し異なる、Ubie ならではの動きではないでしょうか？
この急変し続ける環境で 私が行っていたこと
今まで私がクライアントワークとしてブランディング関連業務をする際とは色々と異なる環境や状況の中でブランドを整理し、施策を行うには色々な壁がありました。
先ほども申し上げたように、Ubie のブランディングとしてまだまだ整理されていなかった、「会社・サービス⇔ユーザー」をより強くつなぐブランディングの構築を改善すべきと感じていました。しかし、ROI の判断や今が本当に必要なタイミングなのか悩む日々を過ごしていました。
ブランディングを行うことで今すぐ数字が伸びる確証がなかったのと、スピーディに前に進むプロダクト開発チームのリソースもサービスのコア価値を改めて定義しようと集めるのにもどういうメリットがあるのかも保証できないためです。
そして、色々と私がジョインする前から手厚くブランディング施策も行っていた環境でしたし、多少課題があったとしても事業の成長に大きな影響が出る問題でもなかったので、課題が特にないことに私が Ubie にジョインしたからやらないといけないと手をつけることも変な話です。
そのため、私が Ubie にジョインしてから行っていたのは下の3つです。
・採用ブランディングに関わる
・事業やサービスのマーケティングに関わる
・同じ課題感を感じる仲間を集めながら時期を待つ
採用ブランディングに関わる
採用候補者たちが Ubie やUbie の事業や組織のことをどう思っている・感じているのかを把握しながら、どうすれば正しい Ubie や Ubie の事業や組織を理解してもらえるか PR / マーケティングチームと協力しながら、会社案内や組織紹介資料、会社サイトや採用サイトの改善やアップデートに関わりました。そうすることで、ブランディングの観点も含めた一貫した表現（見た目を含めたメッセージ）を採用候補者に届けるように集中していました。
事業やサービスのマーケティングに関わる
Ubie では様々な目的による、マーケティング施策を行っています。採用ブランディングも同じでしたが、少しでも今すぐ事業に貢献できながらもサービスとして提供できる価値を ブランディング観点も含め Ubie らしい表現（見た目を含めたメッセージ）でお届けできるように心掛け動いていました。
仲間を集めながら時期を待つ
多少の課題はあったとしても、大きな問題にはならない・事業に大きな影響がならないのであれば一旦爆速かつ全力で前に進もうとするスタートアップでは、一度ゆっくりと自分たちのことを俯瞰して見直そうとすることへの課題感を強く感じるメンバーは少ないです。課題を感じていたとしても今改善すべきとまでは思いませんしスタートアップではそのような余裕もないのが分かりました。
そのため、上でも申し上げたように自分じゃなくても上手く機能している「事業⇔組織」といった社内向けのブランディング施策に関しては仲間に任せて、私と同じく社外へのブランディングに課題感を感じているかつ改善するのが良さそうと同じ思いを持つ仲間を集めながら、どういうところに課題を感じているのか・どう改善するのが良いのかについてお互い話合っていました。
更に、Ubie も少しずつ組織の拡大や体制の変更、事業の拡大を通じ少しずつ私たちが実現したい世界に向けて徐々に一歩一歩進めるようになり、社内外から期待される内容も少しずつ変わってきました。まだまだ遠い道ですが成長した Ubie のことを改めてアップデートし届ける必要性が全社的にまってきたのです。
Ubie のブランドを再構築する
事業や組織の不確実性の高さや変化が激しいスタートアップにとって、ビジョン・ミッション・バリューを作り、ロゴデザインを変え、ブランドサイトを作ったからブランディング施策が行えたとは言えません。間違えた動きではないのですが、それがすべてではないとのことです。
ブランドは生き物と同じなので育て行く上で柔軟に対応していく必要がありますが、最も大事にしないと行けないいけないことは、私たちのビジョン・ミッションを達成するために提供できるコア価値が事業・サービスとして形になり始め、マーケットでも少しずつ受け入れられ選ばれるようになり、更にビジネス的な結果まで出るようになる。この一連の流れが持続可能になり、期待されることがどんどん大きくなり始まるフェーズにならないと、真の意味でのスタートアップのブランディングは始まらないのではと私は思います。その時期を作る・待つ、その前までは事業の成長に繋がる役割をこなすこともとても大事だと感じました。
スタートアップのブランディング施策あるあるとも考えられる、今提供できる価値を届け知ってもらう・使ってもらうためにマーケティング施策に精一杯だった時期もまだ続いている Ubie ですが、組織や事業の拡大により期待されていることの変化と提供できる唯一無二の価値が形になろうとしている今頃になったからこそ、社外向けのブランディングの再構築に手をつけることへのニーズも社内に上がったのです。
そのため、Ubie Discovery に属していた私やマーケターの林と、Ubie Corporate に属していた PR メンバーたちとともに Ubie Corporate に PR / Branding チームが作られ、組織を横断した全社的な観点で Ubie の事業やサービスのことを認知・記憶してもらうためのブランディング施策を行う準備をし始めました。
中長期の全社としての Ubie ブランドの計画も考えるようになり、ブランドとしての理想の状態や構造の議論やその理想像につくためのロードマップなどを考えています。
（毎年そうですが、、、）2023年は Ubie にとって事業的にも組織的にもとても大事な年になります。BX デザイナーとしてかつ PR / Branding チームとして Ubie の事業や組織の唯一無二な提供価値が社外にもちゃんと届けられるようにしてまいります。さらなる事業や組織の拡大に少しでも貢献できる Ubie のブランド力を作り上げていきますのでこれからも宜しくお願い致します。
最後に
まだまだ、変化の激しい社会の中でさらなる飛躍をするため、Ubie は絶賛採用中です。
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