地方が嫌なら、都会に移ればいいじゃない。どうして地方に住み続けるの?
なぜ地方の人は地方から出ない・出れないのか?
そもそもの問いを発してくれた方は、こう言われていました。
「地方が住みづらいなら、都会に移動すればいいじゃない。どうして都会に移動せずに、地方に居続けるの? 自分には理解できないから、もっと教えて」
地方に住む人のパターン
地方に住んでいる人は、何パターンかあると思います。
①その地方に生まれ育ち、その地域から一生出ない人(出たとしても大学時代だけとか)
②その地域に就職や転勤や結婚などで住まわざるを得ない人
③2拠点居住、多拠点居住などで一時的に住んでいる人(旅人)
④その地域が気に入り、移住してきた人
他にもいらっしゃるでしょうが、主にこのようなかんじでしょうか。
それぞれに、さまざまな悩みや葛藤を抱えていらっしゃいます。
ここで話しますと5万文字くらいになりそうですが、まずはひとつひとつ、紐解いてまいりましょう。
悩みや葛藤①『その地方に生まれ育ち、その地域から一生出ない人(出たとしても大学時代だけとか)』
『その地方に生まれ育ち、その地域から一生出ない人(出たとしても大学時代だけとか)』
おそらく、地方に一番多いのはこのタイプではないでしょうか?
この方たちの中にも、いくつか種類があります。
ひとつひとつ、見て参りましょう。
『ジモト大好き!』タイプ
このタイプの特徴
高校卒業と同時に働き始める人にこのタイプが多い気がします。
『仲間最高!』『絆!』などの言葉を大事にするタイプです。
生まれ育ったジモトでの結束力・横のつながりが強く、地域密着型の事業で成功していたりします。
けっこう縦社会・体育会系だったりして、先輩・後輩の絆も強いです。
中学・高校時代に『いかにヤンチャだったか』が武勇伝として語られ続けられます。
早いうちに家庭を持って、『家族一番!』を掲げたりしますが、実情はDVや離婚が多かったりするようです。
シングルマザーになった人の多くは、『ジモトの仲間』に支えられながら、強くお子様を育てていくようです。
すべてが『ジモト』中心にまわっていて、『ジモトの外』に出るという選択肢は、あたまからありません。
むしろジモトから出る人(都道府県内だとしても)は「あいつはジモトを裏切った」などと言いがちです。
ただし、ジモトから出た人が成功すると「あいつとは中学時代からの親友」などと言ったりします。
このタイプの抱える悩みや葛藤
このタイプに所属していた人が、ある日突然「ジモトから出たい」と思ったとします。
そうすると、『ジモトの仲間』は全力で引き留めにかかってきます。
いわゆる『ドリーム・クラッシャー』ですね。
仲間が旅立とう・成長しようとすることに反射的に嫌悪感を示し、「今のままでいて」と言ってきます。
自分と住む世界が変わること・自分の理解/価値観の範疇から超えることに対する恐怖とでもいいましょうか、
とにかく、あらゆる手を使って引き留めにきます。
おどし、すかし、泣き落とし・・
この『引き留める力』は思いのほか強く、粘着質で、持続的です。
その中から抜け出るには、『親や友達ともう一生会わない』と覚悟するくらいの、かなりの気合と根性と胆力はじめ精神的・金銭的・仕事能力的な問題が発生してきます。
そしてどうにかこの圧力から飛び出せても、「ジモトを裏切ったのだから、ぜったい成功するまでは帰れない・・」という別の問題を抱えることになります。
つまり、失敗してもジモトには戻れないのですね。
これは、『失敗を許さない社会』の一助を担っていると考えます。
『金銭的・仕事能力的な理由で、地方で暮らさざるを得ないならジモトにいる』
このタイプは、都会に出たかったり、都会にでたもののジモトに戻ってきた・・というパターンが多いです。
都会に出たかったのに、地方にいざるを得ないタイプ
都会に出たいのに、なぜ都会に出なかったのか・・というところは、日本の『新卒一括採用』にあります。
この新卒の時期に、都会でばかり開かれる『会社説明会』『面接』などに、地方の可処分所得の少ない学生は行くことが出来ないのです。
つまり、就職活動を『その時いる地域』の周辺でしか出来ないという事です。
仕送りがなかったり、バイトをする暇もないほど学業や研究が忙しすぎたりすると、このような状態になりがちです。
また、せっかく就職しても、地方の企業ではそんなに高いスキルを求められることは無く
(それどろか、大卒の履歴書をもっていくと「どうしてあなたのような大卒の人が、ウチのような会社に就職したいのですか?(理解できないし、なんかあやしい・・)」ということが頻発しているようです。大卒でこれですから、留学歴ありや海外の大学卒や大学院卒だと、丁寧に門前払いです・・謎)
いくら本人が転職したくても、都会に思うような転職先を見つけられない・・というジレンマが起きます。
そして、いつまでたっても地方から出られません。
ですが、基本的に『公務員・会社員として働く』というイメージしかないため、起業したり・・ということもありません。
そしていつのまにか30代になり40代になり、いつのまにか結婚して、さらに地方から出られなくなる・・ということになりがちです。
このタイプの抱える悩みや葛藤
このタイプは自己肯定感が低くなりがちです。
「自分の人生は、一体なんだったのだろう・・何のために働いているのか、生きているのか・・?」という人生に対する虚無感を抱えがちです。
『ジモト最高!』というタイプでもないので、ジモトにいても友達もたいしていません。
平和な家庭をつくって、おだやかなあきらめとともに、惰性で生きるようになります。
ただ、子どもが出来ると大学などで都会に出したがります。
子どもに、自分の出来なかった『夢』を叶えてもらおうとしたりします。
しかし、いくら親子と言えども他人ですので、結局自分の中の根源にある虚無感とは離れられません。
自分の夢は、自分で叶えなければ・・せめて挑戦しなければ、自己肯定感はいつまでも低いままなのです。
『実家が厳しくて、大学も就職も実家の外に出してくれない』
このタイプは女性に多いですね。
親(特に父親)が娘を愛しすぎていて、親元から放したくない・・というタイプです。
門限なども厳しいことが多く、友人関係も制限が掛かることもあるようです。
大学も就職も「実家から通える範囲でなければダメ。一人暮らしは許さない」と、非常に強硬な態度に出ます。
この強硬さを突破するのは並大抵のことではありません。
たとえ家出したとしても、友人知人関係に全問い合わせをかけ、捜索願をはじめあらゆる手段をとって娘を実家に連れ戻します。
せっかく他府県の大学に合格したとしても、子どもに無断で取り消ししたりします。
子どもが一人暮らしをしようとしても、当然保証人にはなりませんし、たとえ子どもがいろいろ工夫して家の契約が出来たとしても子どもに無断で大家さんや不動産屋さんに掛け合って、実家に連れ戻します。
親の愛情が大きいのは良いのですが、結局子どもは実家から出ることは叶いません。
実家が地方であれば、地方から出ることは出来なくなってしまうのです。
このタイプの抱える悩みや葛藤
結局、地方で就職することになるのですが、そうすると転職に難が出るのは上記で書いたとおりです。
実家から一度も出ることもなく、社会人になっても門限があったりするので、一体だれのための人生なのかが謎に包まれます。
自分と気の合う友達はどんどんジモトから出て行ったりしますので、結局は仕事場と実家との往復の毎日となり、むなしさに襲われ始めるようです。
『実家の家業等を手伝う・継がなければならない』
このタイプは、実家が自営業や中小企業・ジモトの有力企業・病院等の経営家、政治家等だったりします。
大学時代や社会人数年は都会に『武者修行』に出しますが、20代後半~30代前半にかけてジモトに呼び戻します。
この強硬さは、『親が実家から手放したくない』のタイプでも書いたとおりです。
一旦は『外に出ても良い』が『時期が来たら、必ず実家に戻り、実家を継ぐこと』と約束させます。
この約束は恐ろしいもので、実行しなくては、どのような不利益を子どもが被るかはわかりません。
親や実家の力を使い、現在の子どもの職場に働きかけて子どもを辞めさせたりしてくるようです。
このタイプは2つに分かれ、実家と決別するか、親が勝つか・・のどちらかです。
ちなみにこのタイプも失敗すればジモトには戻れませんので、失敗を許さない社会の一助となっています。
このタイプの抱える悩みや葛藤
親に負けて、地方に戻ることを選んだ人の場合の話をします。
いちど自由の身を味わっているので、かごの中の鳥に戻ることは非常につらいようです。
もちろん、他人にはそのような素振りは見せませんが、親しい友人には愚痴をこぼすようです。
しかし、地方に住んでいるとはいえ、お金をつかえる人である可能性が高いので、頻繁に出張や旅行をして気を紛らわせます。
そして、地方に住まざるを得ないことで起こる、チャンスの少なさや仕事の幅の少なさ、
『話の合う・気の合う友人が見つからない』つらさ、気軽に別地域の友人・知人に会えないこと、
地方から出れない・自分の好きな場所に住めないことの苦しみを知っているので、
地方を盛り上げて魅力的にしようと頑張ります。
おわりに
おっと、ここですでに4500文字となってしまいましたので、今日はいったん筆を置くことにいたしましょう。
地方の闇・・まだまだ暴いてまいります。
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