Tom Waits の『Closing Time』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

今回はTom Waits の『Closing Time』を聴いてみた編をお届けします。

優しく響くジャジーなピアノ、歌うトランペット、心の隙間をそっと埋めるしゃがれた歌声。

甘く切ない、哀愁漂うメロディーがお酒に合う一枚。


ぜひ、読んでみて聴いてみてください!

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1.Ol' 55

ピアノのメロディの美しさに早速泣きそうになる。「ワン・トゥー・スリー・フォー」の気怠げで色気のあるカウントと、しゃがれた歌声のギャップ…!!夜、裏道の地下とかにある隠れ的ジャズバーに一人グラスを傾けてる感じ。始まって数秒で、グッとこの世界観に引き込まれてしまうの凄い。ドラムの優しさが沁みる。ピアノ、危険すぎる美しさ。ギターも良い…

Eaglesがカバーをした曲としても知られている(Tom Waitsはそれを聴いて「退屈だ。」と言ったらしい…)。

2.I Hope That I Don't Fall In Love With You

自然につながって再びカウントで始まる。音数の少なさで歌声の切なさがより際立つ。「恋なんて憂鬱だ」とか「君に恋したくない」と歌う声が23歳の哀愁ではない。数え切れないほど恋を経験していないと表現できない渋さがある。最後「君に恋してしまった」と終わるのずるいな…恋や愛を歌わないで…苦しい…

3.Virginia Avenue

本当にジャズバー(行ったことない)…というかピアノバー(行ったことない)に居るみたい。ウイスキー(全然飲んだことない)片手に、頬杖つきながら聴きたい。ちょっとルーズな、くだけた歌い方も素敵。女の人を駄目にしそうな声をしている。1:45〜トランペットの盛り上げ方好き。

4.Old Shoes (And Picture Postcards)

ギターの温かさ…。心の隙間をさりげなく埋めてくれる。カントリーでフォーキーな雰囲気。バーから牧場へ。穏やかな時間の流れ。歌声の低さとしゃがれっぷりに安心感を覚え始める。

5.Midnight Lullaby

夜のジャズバーに戻ってきた。トランペットが歌うイントロ素敵。メロディーも、ゆったりとした歌声も相まって、とろっとろに溶けてしまいそうになる。1:40〜間奏も大熱唱するトランペットの圧倒的存在感。2:52〜アァ……ピアノが星空になる。美しすぎる。綺麗すぎて笑ちゃう、意味のわからない情緒になる。

6.Martha

一音一音が混ざり合って、優しく響くピアノの音。歌声がより一層しゃがれている。「酔いどれ詩人」という異名を持つくらいだから、お酒の飲みすぎてこんな歌声になったのなら心配だ…。お互いに年老いて、数十年ぶりに電話で昔の恋人の声を聴いているというドラマチックな場面。歌詞で映画作って欲しい。シンプルなピアノでよりストーリーがスッと入ってくる。ストリングスで追い討ちをかけられる。目を閉じて、寝る前に聴きたい。

7.Rosie

なんでこんなにも夜が似合うの…。夜に聴きたいけど、夜に聴いたら色々考えて泣いてしまう。まん丸で大きな月が見える。1:06〜しゃがれた声から想像できないくらい裏声が綺麗でドキドキした。メロディーが本当に美しい。止まらないメロメロ…終始メロい…

8.Lonely

「Lonely」って言葉も似合う。ひたすら孤独を歌っている。ピアノのメロディも冷たくて、悲しそう。ただでさえ哀愁漂う歌声がさらに効いてくる。暗めの雰囲気で、考え込んでしまう。

9.Ice Cream Man

タイトルは楽しそうなのに、思いの外シリアスなメロディのイントロ…と思ったら、1番跳ねたリズムでノリノリに突き進んでいく。ピアノが生き生きとしていて、抑揚のある歌声も楽しい。歌詞を深読みすると、ただのアイスクリーム屋ではない感じがする…怪しい。2:33〜突然寂しげなオルゴールのような音が、耳鳴りのように響き出す。Ice Cream Manってなんだったんだ…

10.Little Trip To Heaven (On The Wings Of Your Love)

甘………。この曲始まって数秒でとろけ始めた。「貴方の愛の翼に乗って天国へ小さな旅をする」なんて歌うもんだから、体の半分くらいが液体になってしまった。トランペットの歌唱力(?)が凄い。「shoo-be-doo, ba-da-da.」じゃないのよ…

11.Grapefruit Moon

ピアノ、泣いちゃう。ピーターパンとか出てくるような世界観の夜空。歌詞もロマンチック。三軒茶屋に「グレープフルーツムーン」ってライブハウスがあることを思い出した。3:13〜壮大。11曲も聴いて、涙腺がガバガバになってる。綺麗なストリングスを聴いたらプリンセスの気持ちになってきた。…?Closing Timeが…閉店時間が迫って来ている…寂しい…

12.Closing Time

閉店時間が来てしまった。貫禄のあるピアノ。インスト。だけど、表現力豊かなトランペットが大熱唱しているから、インストじゃない気がしてくる。言葉が無くとも、こんなにも雄弁に、伝わってくるものがあるんだ。夜明けが来るような、希望に満ちた透き通った空気。店を出る前に、スタンディングオベーションしたくなるラスト。

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(↑今回のCDの持ち方、ピアノにもたれかかるこのTom Waitsをイメージしました)

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Tom Waits は、1971年にデビューした、アメリカ合衆国のシンガーソングライター。俳優としても活躍している。「酔いどれ詩人」という異名を持つ。本作はデビュー・アルバム。


当時まだ23歳くらいだったと知って、こんな酸いも甘いも経験し尽くしたような歌声、ロマンチックでユーモアのある歌詞を書けてしまうのか…と驚きました。

「得意楽器はボキャブラリー」と本人が言っているのも最高!

「このアルバムは、まだTom Waitsの声はそこまで潰れていないので初心者にオススメ!」みたいな感想を多く見たので、試しに『Bone Machine』というアルバムを聴いてみたら衝撃受けました。

衝撃というか、言葉が出ない!声が…ほぼ声では無くなっていました(?)

さっきまで聞いていたTom Waitsが居なかったな…まんまと混乱したけど面白かったです。色んなアルバムチェックしたい…!

そして、ピアノやギターの音にも哀愁や切なさ、弱さがこもっていて本当に美しかったです。夜に聴きたい。

この音楽をより心に浸透させるために、経験としてジャズバー…いや、バーにすら行ったことないのでバーにまずは行ってみたいです!


次回は John Coltrane の『Love Supreme』聴いてみた編をお届けする予定です。お楽しみに…!

最後まで読んでくださり、有難う御座いました。

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