Slint の『Spiderland』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

今回は、Slint の『Spiderland』を聴いてみた編をお届けします。

複雑に組合わさる変拍子、奇妙な詩世界、低く静かな呟きと絶叫に滲み出る狂気。

一体感のある演奏によって、恐怖と緊張感に包まれる一枚。

ぜひ読んでみて、聴いてみてください!

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1.Breadcrumb Trail

“目覚め”みたいなギターの音色。ボソボソと喋っているボーカル。そのさりげなさに最初は日本語喋ってるのかと思った。1:26〜静寂からの爆発。ボーカルも開放。ギターの「ピギィーーー」って音良い。大声出すとこんな感じの声になるんだ…!2:30〜様子のおかしさがだんだんと漏れ始めている。ボソボソと何を語っているのか気になり、歌詞を日本語翻訳したら、超淡々と状況説明してた。自分の書く日記と似てる。


2.Nosferatu Man

ボソボソと語るスタイルは変わらず。不可思議で怪しげなメロディが絡み合う。1:07〜ハードコアだ。爆発の仕方が普段怒り慣れてない人みたいで、底知れぬ怖さがある。ギターの格好良さとその怖さでゾクゾクする。3:30〜ギターがゴリゴリ。激しいに振り切れるとハードコアみが出てくるの素敵。歌詞は映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』の世界観がモチーフになっているらしい。


3.Don, Aman

最初の「Don stepped outside」という呟きに肩がブルッてなった。声が耳元に近い。ずっと近い。目隠しされて、殺人鬼に監禁されているみたいな気持ちになる。2:19〜ギターも不安を掻き立てるような刻み方してくる。みんなグルになって、怖がらせにきてる。息遣いも全部聞こえる。4:29〜激動。この曲驚くほど色彩がなくて凄い…モノクロの世界。

4.Washer

左耳から不気味で忍び足でギターが迫ってくる。すぐに他の楽器たちも合流し絡み合っていく。心地良さそうでちょっと不協和音な感じが絶妙。歌声が…甘い…?突然の甘さが一周回って怖い。悲壮感漂っているけど美しい。3:20〜盛り上がりそうで、盛り上がりきらない、こちら側の緊張だけが高まっていくゾーン。弱々しく囁いてくる歌声が……怖い。6:05〜完全に周りも協力して、恐怖のドン底突き落とそうとしている…みんなでそうやって…ビビらせようとして!7:00〜次の瞬間にはめっちゃ格好良かったりする。情緒。

5.For Dinner...

「For Dinner...」って感じの始まりではない。シガー・ロスの「Takk...」でも気になったけど「...」にどんな意味があるんだろう、「niko and...」的なやつなのか…?ずっと静かに静かに進行。ベースのささやかな低音。3:22〜高圧的になる。強弱のコントロールとその強弱を表現できる演奏の一体感が凄い。

6.Good Morning, Captain

リズムがどうなってるんだ。シンプルに聴こえるけどどうやって噛み合っているのかよくわからない。明るいかも…!と思ったらその瞬間に、やっぱ暗いかも…!になっている。どちらの要素もあって面白い。1:58〜ギターノイズが空間を切り裂いていく。語るボーカルは低音が効いてる。3:20〜繰り返される不思議なメロディ。歌詞はサミュエル・テイラー・コールリッジの詩、『老水夫行』がモチーフになっているらしい。6:00〜ダークヒーローみたいでもあり、教祖様みたいでもある。6:45〜!?!?!最後の最後に過去一の絶叫を、過去一の激しい演奏をぶつけてくる大サービス。

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Slintは、1986年にアメリカ合衆国で結成されたロックバンド。本作をリリースした翌年に解散。本作は後にMogwaiやGY!BEをはじめとするポストロックバンドやマスロックバンドに大きな影響を与えた。


怖くて、緊張感あって、どこか悲しくも美しくて…でもやっぱり怖くて、格好良かったです。

淡々とフレーズを繰り返しているはずなのに、繰り返されるたび違う印象を抱いたり、新しい発見が湧き出てきたりする不思議な音楽でした。

ボソボソと呟くスタイルのボーカル、オーラが凄すぎ。

あと、静と動…というか静と爆発みたいな、対比がある楽曲、爆発の箇所でちゃんと高まってしまうから好きです。

Slintの爆発はパンクで狂気じみてて、高まるけど怖くないか…!?みたいな感じで面白かったな〜


そしてギターのDavid Pajoは、Tortoiseのメンバーだった時期もあったり、今はGang of Fourとして活躍していると知り、色々なことが繋がって勝手に感動しました。色々な場所で活躍していて凄い…!


次回は、Don Caballero の『American Don』を聴いてみた編をお届けする予定です。お楽しみに…!


最後まで読んでくださり、有難う御座いました。

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