A. G. Cook の『Apple』を聴いてみた編
こんばんは、内山結愛です。
hyperpopシリーズ!
今回は A. G. Cook の『Apple』を聴いてみた編をお届けします。
アコースティック楽器と電子音の融和、徹底されたボーカル加工やピッチシフト、爆音と静寂、圧倒的メロディセンス。
hyperpopの始祖とも言われるA. G. Cook のアイデア、センスが注ぎ込まれた一枚。
ぜひ、読んでみて聴いてみてください!
1. Oh Yeah
近未来のアコギの音がした。0:10〜こんな澄んだ優しくて温かい歌声が飛び込んでくるとは思ってもいなかった。親しみを感じる。でもふとした瞬間に近未来が近づいている。シンセも温かい。歌詞もめっちゃ聞き上手な友達みたいで良い。1:15〜ちょっとノイジーなビート耳が気持ち良すぎるから一生鳴っていてほしい。1:43〜ここのボーカルのピッチの弄り方好き。グッとくる。全メロディが良い。The Smashing Pumpkinsへのオマージュなの…!?
2. Xxoplex
一気に親しみが消えた。未来。何コレ凄い。0:45〜ダンスフロアにぶち込まれ、半ば強制的に踊ってしまう。準備運動無しに踊るしか選択肢がなくて凄い。暴れまくるビート。飛びそうになるシンセ。鳴っている音がクレイジーすぎて気持ち良い。1:21〜色んな幻覚が見え始める。終わり方可愛い…
3. Beautiful Superstar
音の一つ一つがすぐそこに在るように鮮明で立体的。音が良すぎる。もっと良いイヤホンで聴いたら大変なことになりそう。1:00〜メロディがずっと素敵。後ろの方では不穏な音が渦巻いているのがまた良い。一筋縄ではいかない穏やかさ。歌声が徹底的に加工されている。機械的だけどオーガニック。終始耳が気持ち良い。
4. Animals
Oneohtrix Point Neverのカバー曲らしい。一音目で心を掴んでくる、強烈な引力で興味を惹く曲ばかり。0:38〜ボーカル加工のファン。歓喜。ダークで神々しい。1:11〜ピッチシフトとメロディによって情緒不安定になっていく歌声。広がる宇宙。知っている音がアコギしかないみたいな状況。海外に行った時の気持ち。ピッチがどれだけ機械的に補正されても感情の動きがしっかりと伝わってくる歌声。3:07〜曲の展開の読めなさが半端ではない。一瞬も油断ならない。神秘的。
5. Airhead
爆撃ノイズ…!?!?爆音で聴いてたら耳火傷するとこだった。ノイズミュージック2ヶ月聴き続けたことあるから誤ってノイズアルバム再生し出しちゃったかと思って混乱した。0:28〜A. G. Cookだった。Aphex Twinの作品にインスピレーションを得たらしい。電子音たちが喜んでいる感じする。天使みたいなボーカルでビックリした。眩しい。可愛い。電子音の立体感に耳が喜んでいる。2:50〜踊っちゃう。急に音数増えて、前電子音がダンス。ピコピコピコ………
6. Haunted
温かいアコギの音で抱きしめられた。飴と鞭構成。美しい歌声。声なのかシンセなのかもはやもうよくわからない。幻想的に全てが気持ちよく混ざり合っている。2:02〜隠れノイズ。不穏な空気。2:19〜不穏に多幸感に包まれる。こんな両極端な感情がいっぺんに味わえることあるんだ…
7. The Darkness
天使たちのコーラス。めっちゃオシャレ。ビートが瑞々しくて心が潤っていくのがわかる。2:00〜電子音と声の馴染ませ方が巧み。メロディセンスは神。ビートというビートが良い。3:00〜こんなに気持ちの良い「Look your in the eye」を知らない。言葉、ビート、電子音、間、全ての要素を使ってグルーヴを生み出している。
8. Jumper
泣きたくなるようなギターのフレーズ。どこか様子はおかしい。EMOを感じる。綺麗なものの中に違和感を放り込んでいくセンス。1:02〜ワァーーーー凄い(←こんなことしか言えなくなるくらいのメロディの良さと展開の読めなさ。)。近未来バラード。
9. Stargon
耳の中に虫がうごめいているような電子音で満たされる。ジリジリ。気持ち良いと気持ち悪いが同じくらいある。なんだか祝福されているような気もする。2:10〜ミステリアスなメロディが流れ出したら攻撃の合図。バチボコに電子音でしばかれる。素敵。しばかれてるのに踊りたい。3:03〜ドラム?ドラムと電子音のビートバトルが開幕。4:04〜不気味な天国みたいな音に包まれる。
10. Lifeline
静かな闘志みなぎるようなイントロ。穏やかだけどメラメラ。ボーカルエフェクトもゴリゴリ。Lifeline=貴方、な歌詞素敵。2:10〜美。神々しい。3:32〜高音の電子音が飛び道具。最後の曲にふさわしい終始ドラマチックな展開。
A. G. Cook(1990年8月23日- )は、イギリスの音楽プロデューサー。レーベル「PC Music」を2013年に設立。「PC Music」は2023年で新譜のリリースを終了。本作は2020年にリリースされた2ndアルバム。
本作をリリースする1ヶ月前に、7部構成49曲入り(2時間39分)というとんでもボリュームの1stアルバム『7G』をリリースしてる事実、怖すぎる。天才。
A. G. Cookファンは1stアルバムリリースの1ヶ月後にまたアルバムがリリースされるもんだからひっくり返っただろうな。
A. G. Cookの脳内は一体どうなっているんだ…!?
このアルバムを聴いていて、アコギしか知っている音が無い状況に何回か遭遇したので、「これが天才か」と度肝抜かれました。
この音が出したいと思っても、その音を知らないと出せないはずなのに…!A. G. Cookは知らない音を、知って生み出している…!?
A. G. Cookの持ち味でもあるボーカルの徹底的な加工やピッチシフト(前回レビューしたSophieの音楽に共通している!)、これは「アーティストが二元的な性別の区別を曖昧にし、自分のアイデンティティを匿名化するための手法」という側面もあると知って、ジェンダーとも強い結びつきがあるhyperpopという音楽ならではだなと思いました。
めちゃくちゃ几帳面な性格だと思っていたけど、そういう表現の仕方もあるのかという気づき。
hyperpopは視野を広げてくれるし、耳も気持ち良い、つまり最高。
余談ですが、宇多田ヒカルさんの「君に夢中」 が主題歌のドラマに大ハマりしていて、その時期よく聴いてたのですが、A. G. Cookと共同プロデュースだったと知り、改めて聴いたらめちゃくちゃA. G. Cook味を感じてウホウホ(?)しました…!!
宇多田ヒカルさん、他にもA. G. Cookと共同プロデュースの曲があって、全部気持ち良いのでそちらもよかったぜひ聴いてみてね!
次回もhyperpopシリーズ!
次回は 100 gecs の『1000 Gecs』を聴いてみた編をお届けする予定です。お楽しみに!
最後まで読んでくださり、有難うございました。