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じっとり濃厚なショコラテリーヌにラズベリーソースを添えて堪能するようなお話。


───愛することが、生きることだった。

昨年8月21日に映画化のニュースを見たわたし
狂喜乱舞と言っても過言じゃなかった気が。笑

最初にRedを読んだのは一昨年で、
娘が1歳のとき。わたしも母親1歳。

島本理生さんの綴る重いお話が好きだったし
装丁に惹かれて内容もよく見ずに借りたけど
タイミング的にもどうしようもなく心奪われて
「これわたしが書いたんだっけ?」
「わたしの前世は島本理生か?」(土下座)
と本気で思った衝撃のお話。

ちなみにその装丁こちら。

いかにも危うげで、それでいて
下劣でなくてどこか綺麗なお話が好き。

余談だけど、
読書フリークだった小学生の頃から
*フェアリーレルム
*若おかみは小学生
*こまったさんシリーズ
*あんびるやすこさん
*はやみねかおるさん
*ナルニア国物語
あたりのファンタジーものが好きだったので
今でも大人のファンタジーを求めてるのかも。

初めてRedを読んだ2年前から
もう目眩がするほどに鞍田さんが好きすぎた。

ずるいです。
あなたがひどい人だってこと
忘れそうになる。

ずるいけど。よくないことだけど。
昔も今も、だめだと分かってるけど。
それを超える魅力が彼にはあるの。ほんとに!


この本の帯が

三年間もセックスレス
じゃなかったら

というコピーなんだけど、
わたしはずっとこのコピーに疑問を抱いていて
それはレスじゃなくても塔子は
鞍田さんとの再会で心奪われてたと
確信を持てるから。

もちろん不倫の話なので
塔子は夫とレスで鞍田さんとセックスするけど
Redの真髄はそこではなくて。

乾いていく心を埋めるように染みわたる
鞍田さんの塔子への気づきだったり、
家庭という最小の社会組織の中の一人ではなく
一人の大人としての塔子への評価だったり、

そういう夫の真くんにはない一つひとつが
塔子自身も見失ってた自分を呼び起こして
心の空白が充たされていく末の
そういう行為だと思うんだよねえ。

島本さん史上例を見ないくらいに
R18表現の多いお話なので
島本さんファンの中でも賛否両論分かれる
作品なんだけども、
これをいいと思える人と思えない人の違いは
セックスを
性欲を充たすためのものと考えるか
承認欲を充たすためのものと考えるか
ではないかなあというのが持論。

「君に怪我は?」って尋ねる
大人の余裕溢れる鞍田さん
「いいよ、困っても」って惑わす
いざというときに押しの強い鞍田さん
「あちらの子育て経験者の人数は?」って聞く
元既婚者感ありありの鞍田さん
…控えめにいって最高すぎるんだ、これが。


真くんはわたしがこの世で最も嫌いとする
🚮専業主婦強要男🚮 なので、
序盤からもれなくしっかり嫌いだったのですが
終盤の 唯一愛した人 のくだりは泣く。

塔子が 楽しいときも、あったな。 って
懐古するシーンもわりと泣く。
映画では無かったけど。

涙腺ゆるゆる女なのですぐ泣くけど
でも!だからって!
なにもしなくても愛されると思うなんて!
ありえないからな!!!
一度愛された女が永遠に自分を好きでいると
思い込むなんて!甘いのよ!!!
と、思っています。

釣った魚にも餌は必要だし
男とか女の前にどちらも一人の大人なので
お互いの家と仕事は尊重するべきだと
思っている、わたしは。
真くんについては以上!!!

そして小鷹さん!!!!!
小鷹さんは唯一映像化してよかった。

もちろん妻夫木氏も想像通りの
鞍田さんを演じてくれて視線の一つや
醸し出す雰囲気、表に出さない嫉妬まで
例外なく最の高だったけど
小鷹さんは柄本佑が演じてくれたことで
原作読んでたときよりも評価が上がった!

なによりバッティングセンターからのくだり!
ああいう大人の夏休みみたいなのが
個人的に好きすぎるので!一生青春最高!!!


というわけで、
原作と映画のラストが違うことを
なんと見るまで知らなかったわたしは
別荘のくだりがないことが衝撃だったけど
これはこれ、それはそれとして納得する。笑

鞍田さん一択のわたしとしては
全国の映画館の出口に立って原作を配布して
Redと鞍田さんの魅力を布教する活動を
したい気持ちでいっぱいだけど、

島本さんの上記のコメントと
このツイートを見ていたら
映画と原作どちらのハッピーじゃないエンドも
ありかなと思えるくらいに落ち着きました。

どうがんばってもスマホからの
埋め込みができなかった…笑
元ツイこちらです。

今まで散々Redよすぎると言うくせに
おすすめはしない と言ってきたわたしですが
映画を見た人には原作をおすすめしたい!

無駄に批判されると熱弁したくなるので
映画も原作も別に惹かれない人には
絶対におすすめしない(笑)

万人ウケしないものほど
刺さる人には刺さるっていうのは
歌でも本でもコスメでも広告でも本当にそう🙄

最後にネタバレにならない程度に、
この言葉に共感する人には読んでほしい
と思う言葉たちをいくつか。

翠が生まれてから、こうやって
一人で夜道を歩くことなんてほとんどなくて、
コンビニの明かりに照らされるだけで、
いけないことをしている気分になる。
母親として妻として社会人として女として
何十構造にもなった役割を負って、
それでも外に出たいのだ。
そして実際に産んでみたら、
愛すること、きちんと世話ができること、
さらに母親として生きることは
すべて違うのだと知った。

そして最後は、
すべての女の人に知って欲しいと思った言葉。

だけど、低くかまえれば、
その分、低く扱われるのだ。

では!
鞍田さんの魅力が1/85しか伝わらない!
と見終わったあとは憤慨したわたしですが
少し落ち着いた今となっては、
今月29日に2回目を見るのが
やっぱりそれなりに楽しみです!!!


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