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時々命音
2024年8月22日 20:28
夕暮れ時の校舎は静まり返り、蝉の声が遠くからかすかに聞こえるだけだった。生徒たちは、ほとんどが部活動や自宅へと帰り、校舎にはわずかな人影しか残っていなかった。「この街の地図、なにかおかしいと思わないか?」俺、不来方―潤(こずかた―じゅん)は、廊下に貼ってある高校周辺の地図を見てそうつぶやいた。「どうおかしいんだい?」俺と同じクラスの四条―真(しじょう―まこと)が、少し先を歩いていたところを
2024年8月19日 08:05
プロローグ六問室――それは6つの問題を一度も間違えずに解かなければ、一生出られなくなる部屋だ。この部屋が存在する街は、長らく呪われていた。だが、呪いは次第に薄れていった。その噂はかつてこの街を蝕んでいたが、年月が途方もなく過ぎ去り、人々の記憶からも消えかけていた。では、今、その部屋はどうなっているのだろうか。現在も残っているのだろうか?ああ、そうとも。今なお、その呪いは生き続けている。