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読書感想文『そして、バトンは渡された』

映画の予告をチラ見したことがあって、『設定は強烈だけど楽しい空気の作品』だと思っていた。軽く見ていた。すげぇふっかい作品だった。
超息切れしたので、これは再度読みたい。結構面白い掛け合いは多いのだけれど、全然楽しむ余裕がなかったwww

家族、親子関係に悩む人にぶっ刺さるのかもしれない。母上は私が「つれぇつれぇ」と言っている横で「全然軽く読んだけどな」と首を傾げていた。

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#読書記録

『そしてバトンは渡された』瀬尾まいこ

《雑記》
私にとってはつらい本で、幸せな本で、ぐちゃぐちゃになった。バトンを辛うじて受け取った気がする。

読みながらお父さんのことを考えた。父ってなんだろう、家族ってなんだろう、母って、?私にとって、分からないものだらけだった。これまで答えを出せずにもがき苦しんできたものが多かった。だからこの作品の主人公は私でもあり、家族そのものでもあった。

自分にはいじけた、卑屈な性格をしているところがある。
環境のせいにしたこと、人のせいにしたことが今でもたくさんある。『自分がこんな性格になったのはお父さんのせいだ、これは家族のせいだ、○○のせいだ。だからこれでいい。』長らくそう思ってきた。でも、

『どんな環境にいても自分はこうだ。』

これが実際だと思う。自分の弱さ。突きつけられて見つかった悔しさ。物語を読み進めながら、時々クスクス笑いながらも真剣に心を巡らせていた。

都合につけて環境や誰かを理由に持ち出す、それは誰かの幸せや慰めになるのだろうか。誰かの心をあたたるのだろうか。
どんな環境でもその人の持ち前の種は育つと思う。その人の心持ち次第で。

私は大事なものを見つけた。家族、私。そしてこれから見つけていくものたち。
ぎゅっと離さない。大事にしたいって、これが私って、見つけた時や守りたい時に言いたい。そうやって胸を張って言える私でありたい。

"万が一、森宮さんが私の父親でなくなるようなことが起きれば、暴れてでも泣いてでも阻止するだろう。醜くなって自分のどこかが壊れたってかまわない。いつも流れに従うわけにはいかない。この暮らしをこの家を、私はどうしたって守りたい。"

ここでバトンをもらったなと思った。そしたら一章のちょうど終わりで、続きには彼女の幸せな日々が綴られていた。
彼女なりの人生と、私のこれからの人生。どうなるか分からないけれど、楽しみだ。

「すぐ失うのなら大切なもの、なくていいじゃない。どうせ失う。」いつかの私の冷たい声。私がふりかざした正義。私を大事にしてくれた人をも傷つけた言葉。

優子ちゃんの声に始終ハッとした。森宮さんの言葉に愛情をもらい、なんと言っても救われた。これを引き出したのは優子ちゃんの存在であり、バトンを繋いだみんなの存在である。

中島みゆきの『糸』が染み渡る本だった。

私はグレ度レベル強なので、これらが染み込むにはまだ時間がかかる。少しずつまだらにでも、染み込んでくれたらいいなと思う。少しでも正直になってみたい。

幸せな人には幸せがやってくる。どんな境遇でも関係なく。

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