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大好きだった人の話 その1

人生の中で、恋愛がその思考や判断に占める割合はおおよそ高いものだと思います。

○○くんが好き
○○ちゃんのことが気になる
なんて思われてるのかな
どうしたら好きになってもらえるのかな

考え始めたら夜も眠れないし、勉強していても部活動をしていても上の空で、その人と同じ空間にいると全く向こうはこちらを見てもないのに、視線を気にして無駄に大きな声を出したり、逆に行動を控えめにしたりしてしまう。

もともとめちゃくちゃに男性恐怖症だった私は、というか中学生の間、ずっと空気だった私は、男の子を好きになったことは無かったし、好きになられたこともありませんでした。


そんな私が自分史の中で一番本気の恋愛をしたのは高校1年生の時でした。

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4月、中高一貫の高校にそのままエスカレーターで「総合特別科」に進級しました。

3年間よくもまあ最後まで続けられたなというレベルだった部活はもちろん引退し、高校入試を経て入学してきた「経営科」の子が比較的多く入っている傾向にある部活に入部しました。

女子バスケットボール部のマネージャーです。

マネ―ジャーなら選手ではないので1人で居ても不思議はないし、男子部員と話す必要もないし、同じ学科の子もいないので友だちが出来なくても仕方ないし、天国のような場所だと思いました。

女子バスケットボール部(以下、女バス)にマネージャーはいなかったのですが、顧問の先生に頼み込み、私は女バスマネージャーのパイオニアとなったわけです。

バスケ部ですから、当然部活動は体育館で行います。

しかし、体育館を使用する部活は

・男女バレーボール部

・男女バスケットボール部

・卓球部

の5つがあったので、曜日と時間を決めて、分割しながら部活動を行っていました。

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部活動初日、その日は隣がバレー部男子でした。

「よし、この非日常の世界を少しでも長く楽しむために頑張るぞ!」

そう思い、体育館の扉を一気に開けた時、

バン!

ものすごい音とともに、顔面にバレーボール大の衝撃がきました。私の顔にボールがぶち当たる音がしました。あまりにも突然のことで驚きすぎたのと、その日もクラスでは一言も言葉を発していなかったのが相まって、とっさに何を言うことも出来ませんでしたが、私の顔面にバレーボールがお見舞いされたのです。。

跳ね返ったボールをキャッチし、先輩らしき人たちから思いっきり非難されながら、「すみません!本当にすみません!大丈夫ですか!?」と焦った様子で駆け寄ってくる人の気配がしました。

曲がっていないかと心配になるほど痛む鼻を抑えながら顔を上げると、先輩たちと同じジャージではなく、私と同じ体操服を着た男の子が心配そうにこちらを見ていました。

衝撃と痛みにドキドキする心臓を抑え、大丈夫だという意味も込めて軽く会釈すると、駆け寄ってきてくれた子、【1年A組 太田】くんは「本当にすみません、保健室とか行きますか?」と言って、顔を覗き込んできました。

私がもう一度大丈夫だと手を振って答えると、さらにもう一度「すみませんでした」と言い、もとの練習位置に戻っていきました。

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この後、初回の部活動であり、しかもマネージャーであるにも関わらず、しっかり鼻血が出て女バスメンバーに迷惑をかけてしまうのですが、


漫画的展開ながら、

私の顔面にボールを当てた子、太田くんが、

私の初恋の人であり、

私が今までで1番好きになった人です。


つづく

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