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小さなライブハウスで宿る願いを

サークルの新入生ライブが行われた。

15:30
ライブが始まった。

久しぶりに音楽を浴びた。
自分の視界の少し上から降り注ぐ音楽
ひとバンドめの曲は知らない曲だったけれど、盛り上がっていく感覚に興奮した。

あっという間に自分たちの出番がやってきた。
楽屋に入るといよいよなんだと緊張した。
小さなライブハウス
それも半分ちょっとしか埋まらない
それでもドキドキした。

久しぶりに人前で歌った。
MCの内容は見事に飛んだ。
歌詞も間違えた。
それでも楽しかった。
自分の伸びていく声が
後ろから私を包み込む演奏が
会場の一体となった手拍子が
全部が
心地よかった。

本番終わり、声をかけられた。
初めて見た先輩だった。
「サークル内にはいない歌声だからぜひ続けてほしい」
そう言われた。
パート会長には
「よく通る声だね」
と言われた。
バンドメンバーは
「よく聞こえるからやりやすかった」
そう言ってくれた。
素直に嬉しかった。

高校生の時は声を褒められても卑屈になってしまっていた。
悪口をひっくり返してるのだと信じて疑わなかった。
それは辞めた一因でもあった。

でも今は違う。
いや、違うとは言いきれない。
それでも疑うことを辞めたいと思えている。
褒め言葉を素直に受け入れることが悪ではないと信じたい
そう思っている。

ボーカルをしていて言うのもなんだが、私は自分の歌声が嫌いなのだ。
変に甘ったるい声が嫌いなのだ。
だから卑屈になってしまう。

でも、もう、やめよう。
そういうのは無しにしよう。
誰かの優しい言葉まで疑ってかかるのは、
それぐらい辞めたって許されると思うのだ。

私はこれからも自分の声は好きになれないと思う。
それはもう仕方ないことだと思う。
けれど、誰かの優しい価値観まで否定するのはもう辞めよう。
何もプロになるわけじゃないんだから、別に万人受けしないといけないわけじゃない。

音楽をしたい。
歌が歌いたい。
歌うことが好きだ。

そんな気持ちにまで蓋をしないでいたい。

そして良いと言う誰かの声にまで耳を塞がずにいたい。

いつかの私はきっとまた自分の声の嫌いさ故に逃げたくなってしまうから
そんな私のために、今の私の気持ちを残しておこうと思う。




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