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淡路島移住日記⑥:恐るべき淡路島さぬきうどん「さか笑」

近所の五色付近に、げに恐ろしきうどん店があるという伝説が耳に入ったので、噂の真偽を確かめるべく早速探索に乗り出すことに。近所だからナビも入れず適当に走っていたら行ったり来たりすること一度といわず二度三度(あー、はよカラオケ行きたいね)。なにしろ道路に看板が出ておらず、それらしいオーラのある建物も全く見当たらないのである。危うく家の近所で迷子になるところであった。

参考文献:恐るべきさぬきうどん

恐るべきさぬきうどんの名店を思わせる立地

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恐るべきさぬきうどんの第一法則は、すっとんきょうな立地である。住宅地の真ん中や農地の真ん中、はたまたパチンコ屋の駐車場など思いがけないところに唐突に「うどん」ののぼりが立っている。「ん?洗濯して干しとるんかな?」と思ったら、だいたいそれが目的地である。完全にオーパーツなのだが、それが名店のただならぬオーラを醸し出すのである。

今回目指す恐ろしきうどん店、その名も「さか笑(さかえと読む)」の周辺も、うどん県香川の綾上町や琴南町を思わせるのどかな風景が広がっている。店の裏には小川が流れており、伝説のうどん店「谷川米穀店」を彷彿とさせるその立地に名店オーラがプンプンと匂いたつように出ている。

こ、これは中北うどんの「シビアな角」!しかもシビア具合に磨きがかかっている

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高松市内の狭い住宅地の「シビアな角」を曲がったところに突如現れるという名店・中北うどんの角のシビアさはそのままに、さらに高低差でミスったら真っさかさまに墜落するという設定まで追加されており、ほぼムリゲー状態。中北うどんの角はなんとかクリアした私も、さすがにこの角の前にはゲームオーバーであった。

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路肩はこんな感じ。ご覧の通り、歴然とした断崖絶壁である。ガードレール替わりのバーが「おっとっと」状態になっており、我々をガードする気持ちの余裕は全くなさそうである。

やむなく私は一度リセットボタンを押し、再チャレンジの間にそそくさとさくせんを「いのちだいじに」に切り替えて、のしのしと牛歩的に下りていったのである。安全運転を超えた完全運転である。

伝説の中村うどんを思わせる畑。そして広大な庭

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なんとか無事に駐車場に「着地」すると、シビアな入り口とは打って変わって広々とした庭兼パーキングスペースが広がる。客が勝手に畑のネギを収穫してうどんにかけるという伝説の「中村うどん」を彷彿とさせる畑もある。あ、井戸もある。なんか色々ある!

最後の関門。その扉を開ける勇気はあるか

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恐るべきさぬきうどんの恐ろしさの本質は、入り口がさりげなさすぎて本当に入っていいかわからないところだが、まさにそれ。究極の「池内うどん」に至っては、勇気を出して開けてもその先に土間が広がっているだけという。

さか笑の扉にも間違いなく「一見さん濾過フィルター」がついている。この扉を開ける時の正しいセリフは「回覧板でーす」一択だろう。ドラクエの勇者時代にバラモスやハーゴンを倒して養った勇気がなかったら、ここで引き返していただろう。やはりTポイントと経験値はためておいて損はない。勇気を出してドアを開けると、思いのほか愛想のいいおばちゃんが出迎えてくれたのであった。

出てきたのは、正真正銘の「恐るべきさぬきうどん」

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数々の難関を突破し、すっかりHPが尽きかけていた元勇者(38)はぶっかけ冷大500円に、半熟卵天・ちくわ天各80円と玉ねぎかき揚げ100円を注文。値段もうどん県価格で嬉しい。出てきたうどんは、元勇者(38)も腰を抜かすほどの強烈な「コシ」。在りし日の「あたりや」を思い出す。いや、それ以上だ。噛む度においしいたのしい。また噛んでさらにおいしいたのしい。レベルアップのジングルが鳴りやまない。毎晩歯磨きを続けてきてよかった。努力はいつか報われる。

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揚げ物は注文してから揚げてくれるので、熱々で色つやも最高。特にこの玉ネギのかき揚げはあまりに美味しいので、塩を振って単品で食べてしまった。

勇者のための「さか笑攻略法」を公開笑

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店名につられて笑ってしまったが、私は至ってマジメである。断言するが、シビアな角は、そのままの右折ではたぶん曲がれない設定になっている。知らんけど。

そこで、裏ワザの登場だ。店を軽く通り過ぎてから一旦バックでこちら(写真)の道に切り返してから直進気味(少し右折が必要)に入っていくのである。後続の車が来ている場合でも、車寄せのスペースがあるので問題ない。

幸い開店以来シビアな角から落ちたお客さんはいないそうだが、よく聞くとまだ開店2年目だという。常連のおっちゃんも「毎度達成感あるのぉ~」と言って入ってくるそうな。そのうち落ちるわ。

名著「恐るべきさぬきうどん」の粋を集めたようなこのお店、まさに『恐るべきさぬきうどん プチテーマパーク』と言いたくなる集大成ぶり。それもそのはず、元々は私の地元近く兵庫県の大久保から淡路島に転勤になったことを契機に、毎週家族で高松に通ってうどんを食べまくった末にご主人の定年を機に開いた店だという。それだけに「恐るべき要素」がこれでもかと盛り込まれており、「究極の恐るべきさぬきうどん」と言える。スティーブン・キングも半泣きである。願わくば、畑にネギを植えていただき、勝手に収穫するかつての中村うどん設定を復活させてほしい。まあ贅沢は言うまい。ここで私は断言する。さか笑があれば、淡路島の住人はわざわざ高松まで行く必要はたぶんない。知らんけど。

さか笑うどん
営業時間:金・土・日の11:30-13:30 ←入口同様超タイトなのでご注意を。

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