rit. craft chocolate and coffee リタルダンド-ベトナム ダクラク68%-
広島市中区の江波にあるクラフトチョコレートメーカー、リタルダンドチョコレートで買い求めた最後の1枚を、昨年11月初旬に食べました。年越し投稿というわけです。
「rit.」(ritardando)は、音楽における速度をあらわす語のひとつ、テンポを次第に落としてゆくという意味を持っています。
こちらのショップで有名なのは7インチレコード、カセットテープ、ピアノの鍵盤といった、音楽的なモチーフを用いた、ユニークなモールドです。ブランドを特徴づけるそれらのモールドのものを選びたかったのですが、持ち運びのためミニバーをまとめて購入して、これまではミニバーを食べて記事にしてきました。
最後の1枚にとっておいたのは、ミニバーにラインナップされていなかったシングルオリジン、モールドはピアノです。
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ベトナム ダクラク 68%
酸味を強く感じる、ベトナム産カカオらしい香りです。ピクルス、ぬか漬け、それから人間の皮膚表面みたいなニオイがしました。
口に含むと、渋みと深み、苦みがいっぺんにやってきます。それが過ぎ去って、次は焼きアゴっぽい塩気と芳ばしさ(塩は使われていません)。しゅわしゅわのラムネ飲料と、ヨーグルトのあっさりとした酸味をおもう味わいのなか、一瞬レバー的な鉄分の風味が感じられました。他にグレープフルーツ、スモークチーズの風味など。
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このチョコレートを買った旅では、厳島(宮島)へも行きました。また行きたい土地ではあるんですが、いま読んでいる本に思いがけずこの土地のことも出てきたんですよね。『王の挽歌』という遠藤周作氏による上下巻の本で、大友宗麟を主人公にこの時代のことが書かれています。
厳島は戦場になっていました。そういうのをまったく知らず訪問したので、おさらいのためにもまた行きたいと、本を読みながらおもっています。
戦場といえば、この本には宮崎県児湯郡木城町も出てきます。木城町にはほんの数ヶ月だけれど住んだことがあるんですよ。もちろん、そのころも歴史には疎く、このあたりの知識は全くなかったし、記憶の中の地理もぼんやりしてしまいました。戦は豊後大友と薩摩島津、大友軍は大敗を喫して多くの戦死者が出て、のちに島津方は供養をしたほどだそうです(耳川の戦い、高城川原の戦いなどと言われる)。
木城町は、宮崎市から北上し、佐土原のさらに向こうに位置しています。周囲の川南町や高鍋町といった町と合わせ、同じ九州の長崎出身の私でさえすごい田舎だとおもうような土地です。町全体に糠床や堆肥のにおいの染みついたような(失礼)のんびりしたところだったんだけど、そんな大きな戦があったんだ、と驚いています。
チョコレートには関係のないことを書いてしまいましたね。
さて、サロン・デュ・ショコラのシーズンがやってきたようですが(早いな)、今年は公式サイトのチェックすらしていません。食べるペースがずいぶん落ちちゃっているので、まあゆっくりとこの祭典の尻尾くらいを楽しめたらいいかな、という気もちです。
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今日の「ルーク」:ドラマ『ギルモア・ガールズ』のルークが好きです。ふと思い出したんだけれど、「ルークの暗黒日」というエピソードがあるんですよね。私も今日はその日のルークのように1日を過ごしたかった。