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チェックインってもっとスマートにならないんだろうか

 前回に続いて利用した宿の回想録をつけていく。

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 佐世保、平戸の県北地域が目的地の行程をこなすため、予定を立てた。最初の目的地は西海国立公園九十九島における最大の島、黒島だった。
 相浦あいのうらという港からフェリーボートを利用して島に渡る。1便めがけて、他の都合などとの兼ね合いでTという町を前泊地に設定しておいた。
 仕事を片付けて出発したころは雨模様だった。翌撮影日の予報は晴れであったけれど、それでもやはりちょっとした不安がよぎる。
 不安を感じていてもおなかはすくわけで、宿に向かう前に夕飯をとることにして、ある有名店に入った。私ははじめて入る店で、違うものを注文するつもりが雨に打たれた寒さからか口から出た注文はちゃんぽんだった。師匠が特製にするといいよと言うから素直に従ったら(わりと従順である)、えらいサイズのどんぶりが目の前に置かれた。つくるところが見えていて、それによると半分以上は野菜とおもわれたけど、それにしてもいささか怯んだ。
 あとで知ったのだけれど、この店を何度も利用している師匠はこのメニューを初めて頼んだとのこと、よく食べきれたねえと感心されたが、おすすめされたときは少なくとも数回は食べたことのあるふうにみえた。
 私は出された食事を残すことにちょっとした抵抗がある。前世で飢え死にとかを経験したのかもしれない。以前に比べ、無理をしてまで食べることはないと、食べきれないときには残すという選択肢も取るようにしているけれど、まあやっぱり気もちよくはない。このときははらぺこだったのと(この日の1食目だった)、野菜ってまあほとんど水分だから入ったのだとおもう。量はともかく、久しぶりのちゃんぽんはおいしかった。
 この日の宿は天然温泉つきビジネスホテル、飲み物を買ってチェックインしたはずが、部屋に入ってみるとどこかに消えていた。あるサイトからとった予約が旅行支援商品だったのに気がついていなくて、チェックインカウンターで時間をとられた。やれやれとおもいながら濡れた身体と荷物を持って部屋に向かったから、そこらへんに置き忘れたんだとおもう。なんとなく、もう取りに行かなかった。
 そういえばせっかくの天然温泉は利用しなかったけれど、清潔でふつうの広さの快適なホテルだったから満足である。素泊り(無料朝食つき)で、たしか5,000円ちょっと、駐車場が利用できるホテルはありがたい。今回は入口から離れた駐車スペースだったから濡れたけど。

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 朝になるまでに雨はあがり、港に向かう道中で次第に空がキレイに澄んできた。よかった。黒島は2度目だけれど、たしかここもコンビニエンスストア的な商店などはあまりないはずだから、船に乗るまでに食料調達を済ませた。港で車両と人間(我々)の乗船手続きを終えてゆっくりと時間まで過ごすことができた。
 島に渡ってからは、戻りの船までの4時間内で撮影を終了させなければならない。実は直前になって、別の撮影取材班が入ることを知り(けっこう強引な手を使ったらしい)、しかも葬儀まで入ってしまい、現場での調整がいくつか必要だった。撮影者の動きに影響するネガティブな要素を極力減らしたい、そうおもってココロを砕いたつもりだけれどうまくできたかはわからない。
 そういう周りの状況や、他の場所よりも撮影対象の規模が大きかったことなどもあって、想定していた以上に時間を使ったとおもう。あっという間に4時間が過ぎて、帰りのフェリー乗船時刻を迎えた。
 港に戻り、また同じフェリーボートで相浦港に到着後は平戸市に向けて車を走らせた。

 この日の宿もまた、ビジネスホテルだった。スケジュールしたときに、日にちに余裕がなかったわけでもなかったような記憶があるけれど、いくつか振られて見つけた場所だった。市内中心部だったし、駐車場があって、建物は古いものの部屋の中はわりにゆったりとしているし、これまでみた中でも上位にくいこむ大きなデスクが設えてあった。
 ここで翌日の撮影までのんびり・・・せず、夕景も撮っておきたかったので荷物の整理をし機材を準備して明日も行く場所に足を運んだ。
 この夕景はとてもよかった。まだ最終の仕上げは見てないけれど、胸の高鳴る写真ばかりだった。

 夕景を撮り終え、やはりはらぺこである。それでもめったに来ない土地なんだし、夜景までカメラにおさめてしまってから店を探す。平日だからか、食事処の並んでいる路地はしーんとしていた。定休日の店もあるようだし、下手なところに入ってげんなりするのは避けたい(冷たい味噌汁のトラウマ)。
 そういうわけで、安心安全のオベントウという案に落ち着いた。
 いなかの弁当屋、時間は21時に近い(過ぎてたかも)。ささっと買ってホテルに戻るつもりが、どうしてだかわからないけれど20分ちょっとかかった。店員の態度がすごく横柄で舌打ちしそうだったところをぐっと抑え、弁当の袋を抱えてホテルに戻り、汗を流してから広いデスクで食事をとった。
 ホテルのフロント氏は、予約時の電話対応も受付の対応もよかったのだけれど、領収書のきり方である依頼をしたところ、意思がかみ合わなかったのかけっこう時間がかかって、それだけがマイナス要素だった。私の日本語がおかしいのだろうか、そんなおもいが少しだけよぎった。
 サービスの朝食がついていてやはり5,000円ほど。広いデスクに五つ星をあげよう。湯沸しは、電気ケトルでなくて昔ふうの電気ポットだった。保温機能つきの電気ポットは家庭では重宝する場合もあるかもしれないけれど、湯の沸く速さや手軽さから電気ケトルのほうが好ましい。
 もうひとつ書いておくと、朝食のご飯がサービスの朝食にあるまじき大盛りであった。たぶん、観光客向けというよりガテン系現場作業員的な人たちが多く利用するホテルっぽかったところに、そのあたりの理由があるのではなかろうか。とても食べきれない量のそのご飯は、ココロやさしい師匠がいくらか引き受けてくれた。

 翌朝もいい空をしていた。
 この日の撮影は3ヶ所でおこなった。海辺の景色だったり、水のたたえられた田畑もあった。
 最後は昨夕の場所で、いくつかの手法で撮影を進める。ここの規模もわりと大きめだったけれど、天候や管理者に恵まれ時間もたっぷりあったことからそれなりにしっかりと撮影を終えられた。

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 前回の記事は自分でもあきれるくらい長くなってしまったのに、読んでくれる方がいたのには驚きつつとてもうれしかった。今日のも長いといえば長いけれど、時間を空けると書かずじまいになりそうなのを恐れてえいと書いた。
 読んでくれてありがとうございます(続くけど)。

▽1回目

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今日の「かりかり」:2週間くらい前からなんだけれど、事務所の外階段のすみっこに干からびたコウモリが仰向けに転がっているんですよ。その間3度ほど雨が降ったから、濡れたり乾いたりしてるのがなんだか気の毒になります。っていうか施設の清掃の人、早く気づいてくれないかな。


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