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ELIZZA-エリッツァチョコレート アヒチャラピータ-

 今日のタイトルは、タイトルだけを見ると、なんのことだかさっぱりわからないですね。
 ELIZZAエリッツァは、2014年に創業されたペルーのアマゾンエリア、サンマルティン・タラポトのビーントゥーバーブランド。3日かけて1バッチ(*)を作るという、丁寧なチョコレートづくりをしているメーカーです。約3000軒の農家を束ねるカカオ協同組合と取引してカカオ豆を仕入れており、ペルー原産のさまざまな食材と組合せたラインナップが特徴です。2018年には、地元タラポトにショップを開業。
*Batchバッチとは一度に作るひとまとまりを指すのですが、メーカーによってまちまちです。例えば出雲のLa Chocolaterie Nanairoラショコラトリナナイロなんかだと1バッチ30kgというソースが見つかりましたが、エリッツァのその単位は不明です。まあつまり、少量ずつの生産ということですね。

 アヒチャラピータとはペルー原産の唐辛子。カカオ73%のダークチョコレートを合わせたフレーバータブレットです。

アヒチャラピータ
タブレットは浅茶色、黒糖っぽいコクのある甘味を含んだ香りがして、それからホットなチリペッパーの、香ばしい香り。
味わいには食パンなど小麦特有の酸味と甘みを感じます。かとおもうとぴりぴりと舌の上で弾けるような刺激感に見舞われます。一味よりも軽く、刺すような辛味。
小麦の甘みと唐辛子の刺激の組合せから、ペペロンチーノをイメージしました。おいしいからと食べ進めていると、辛みに支配されてカカオの風味を見失ってしまう。

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 唐辛子とチョコレートの組合せは、私はわりと好きなほうです。以前THEO&PHILOの唐辛子チョコを食べて、記事にしています。
 エリッツァのアヒチャラピータのパッケージには、黄色い実が描かれています。ということはこれは、黄色い唐辛子なのかな。

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 チョコレートのテイスティングって、人によって随分とその表現方法が違っているというのも、おもしろ味のひとつのようにおもいます。その中でも表現と描写がとびぬけて素晴らしい方がいます。主にInstagramでチョコレートテイスティング(その他アルコール類やファッションについての色々)を発信しておられるue_monさんという方です。
 ue_monさんはご自身のInstagramの他に、株式会社風讃社が運営する、ufu.ウフ。というスイーツの情報サイト内で、チョコレートに関する連載を持っていて、これがまたInstagramとは方向性が違っていて興味深いのです。今回、noteで紹介させてもらってもよろしいかとお尋ねしてみたら、ご承諾いただいたのでちょっと書いてみますね。
 先日アップされた記事は、ポルトガルのFeitoria do Cacaoフェイトリア・ド・カカオというビーントゥバーメーカーの作り手である、ふたりの女性を相手にインタビューがおこなわれています。
 日本人とポルトガル人の女性ふたり組によって作られたこのブランドは、気もちの中の「いつか食べるリスト」には入っているものの、未体験です。

 今回、この連載を読んで興味をひかれたのは、クラフトチョコレートの輸出入にまつわる話題についてでした。私のように地方に住んでいても、インターネットを介して海外の色んなチョコレートを購入することができていて、それってすごくありがたいことなんだけど、仕組みなんかまでしっかり考えたことはありませんでした。ちょっとくらいは、自分の暮らす町で世界と国内の色んなチョコレートを取り揃えた店をできたらいいな、などと考えたこともないではないですが、輸入業というのに(他の色んな物事にも)怖気づいてしまったところがあります。
 このように、すぐに心が折れてしまうあたりがダメな私ですが、それはそれとして(?)例えばこのインタビュー記事にあるように、日本国内のクラフトチョコレートはそのほとんどが国内で消費されている、ということなんかもぜんぜん知りませんでした。輸出をしているメーカーは少ないんだそうです。
 今回ピックアップされているFeitoria do Cacaoは需要でいうと圧倒的に海外、その中でも特に中国からの注文の割合というのはものすごいのだそう。
 日本とポルトガルにおける市場に関して、単純に数量で比較することは場合によっては意味をなさないかもしれないけれど、何かしら考えさせられるものがあります。それに加え、輸出した場合の卸値や小売価格までを勘案した場合のそれぞれの利益率とかね。ちょっと私みたいなのには、ぱっと判断理解がむずかしいところがあります。

 こういうことって、知る機会が少ないからとても興味深かったです。チョコレート、ビーントゥバーというとカカオ農園における労働に関する社会的な問題点だったり、取引の公正さや環境といったあたりはずいぶんと認知されてきているとおもうのですが(コーヒーなんかも似たような立ち位置にありますね)製品が市場に出たあとに辿っていくルートみたいなのにも、触れられた気がしました。
 それから、インタビューの中で作り手の方が仰っているように、作りたいものを作ることに専念することと、売れる商品を作らないといけない方向に傾くことに対する疑問とか、そのような実感のこもった意見にも何かしら響くところがありました。

 ポルトガルという土地にも、惹かれますね。私の暮らす長崎はポルトガルとはなかなかの縁があるし、インタビューを読んでいるうちに、ぐいぐいと行ってみたい気もちになってきちゃいました。
 今回のFeitoria do Cacaoの回もよかったですし、第一回目なんかはue_monさんのご出身、鹿児島県鹿屋市のクラフトチョコレートメーカ、kiitosキートスの工房が選ばれていたりと、読み応えのあるインタビューがたくさんあります。

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↑ Feitoria do Cacaoのインタビュー記事第一回目

↑ ue_monさんの記事一覧

↑ ue_monさんのInstagram

 私のnote、特にチョコレートマガジン記事を訪れてくれる方はたくさんとは言い難いですが(それでも毎回読んでくださる方もいてうれしい限り)、なんだかこういうのって、色んな方に読んでもらえたらいいな、と柄にもなくおもったわけです。
 ご承諾くださったue_monさん、どうもありがとうございます。

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