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知的障害者支援施設が経営する洋菓子店の販売戦略

2年前に私が勤める社会福祉法人に提出した企画書の一部です。あらゆる点で実行不可能だったのでボツとされましたが、福祉施設の企画書がどのようなものか端的に省略して一部紹介します。


〇はじめに(計画の目的)「洋菓子店を通して福祉の枠を超えて社会と共生し利用者の生活を豊かにする」

今回洋菓子店の従来の販売戦略に加え「おいしい健康食品(栄養機能食品、機能性表示食品)」というテーマで製品し販売促進していく事を提案します。自社のプリンで使用している、〇〇卵は市販の卵に比べコレステロール値は10%、カロリーは12%少なく、卵には細胞を若返らせる。美肌、美髪、美爪になれる。脳の活動を活発にする。食欲を抑えてダイエット効果抜群。目の老化を防ぐなど、「卵」の驚異的なアンチエイジング効果を前面に押し出すことで、健康美容に関心のある顧客をターゲットにした商品にします。企業・大学と連携して新商品を検討、デザイン・わかりやすいネーム変更、店舗でのポップ変更、販売先として美容健康食品を販売している店に自社の商品を置いていただけるよう営業をかけます。


〇健康食品とは

健康食品についての定義を書面にする。簡単に説明すると食品とは「一般食品(機能性の表示ができない)」「健康機能食品(機能性を表示できる)」「医薬品」「医薬部外品」に分けられる。この企画では「健康機能食品」を製品化することが目的である。その中でもさらに3つに分類される。

・「特定保健用食品」消費者庁長官の許可を得て特定の保険の用途に適する旨を表示した食品です。許可を得るときに科学的な根拠に基づいて事務局の規格基準の適否が審査された食品。(審査を通るには相当な研究と時間を要す難関)

・「栄養機能食品」、栄養成分の機能の表示をして販売される食品です。栄養機能食品として販売するためには、一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が定められた上・下限値の範囲内にある必要があるほか、栄養機能表示だけでなく注意喚起表示等も表示する必要がある。

・「機能性表示食品」は安全性確保を前提として、事業所の責任において「本品は、〇〇が含まれるので□□の機能があります。」といったような、科学的根拠に基づいた機能性(健康促進に役立つ機能)表示された食品です。国による審査はありませんが、販売の60日前までに安全性・有効性に関する資料を消費者庁長官に届けることが必要である。

等を調査・分析し、当法人でできるようになるプロセスについてまとめる。結論として制度の手続きの困難さはあるが専門機関と協力する事ができれば実現は可能。

〇健康食品市場について

ある株式会社経済研究所のデータを引用。機能性表示食品を購入意向のアンケート結果、機能性表示食品として関心のある機能のアンケートをデータ化する。また、年度毎の健康食品市場の推移を調べ、緩やかに堅調に上昇している市場であることを証明する。

〇自社の商品の美容健康効果とは

自社の7つの商品の成分内容物を調べてどのような健康効果があるのかを分析した。その中の一つ「ロッシェ」の卵白の効果に栄養機能食品、機能性表示食品として可能性の高さを感じ健康商品化することを提案している。


〇課題解決に向けて必要(課題)なこと

1.管理栄養士との協力(商品の成分分析、栄養機能食品、機能性表示食品向けの新商品内容の再検討)

2.商品デザイン会社との連携(商品のパッケージ、商品名、ロゴ、POPなど顧客ターゲットに向けて変更)

3.企画営業職員の育成(自社の商品の企画作成、企業・大学に対してのプレゼンテーション力向上、販路拡大、販売促進を図る。また行政との交渉)

4.生産性の向上(知的に障害を持つ方のできる工程を増やすこと。ハード面での見直しを行い効率的に生産できる環境を作る。また、自社の生産力でできる範囲の商品供給)

5.商品の納品日・時間を見直す(効率的な納品ができるように場所によって複数の納品ができるように調整する)

6.利用者の接客販売先(社会参加)の確保


〇課題解決の方略

課題解決に向けて①)福岡市の栄養科学部のある大学と共同研究を行う。 商品の成分分析、商品解決、販売戦略などは法人だけでなく大学、企業を巻き込んで行う。可能であれば大学の設備を借りて知的に障害を持った方が製造できないか交渉を行う。その際、大学生と障害を持った方が交流できる場となるようにお願いする。

・具体的な営業(協力交渉)先大学候補を選定する。地域の大学をリストアップ。共同研究実現までの流れ(書面手続き、費用、契約期間)を明示する。

課題解決に向けて②)顧客ターゲットを絞り、自然食品・健康食品を取り扱っている企業の販売先を開拓。

・具体的な営業(販売)先候補を地域のお店(自然食品・健康食品)6店選定する。ほかにも自然食品・健康食品を取り扱っている企業・ドラックストアなどに営業をかける。

課題解決に向けて③)効率的に納品するために洋菓子店を拠点にし、各法人事業所に商品を送り、各事業所の納品エリアを決めて配達する。


〇終わりに

企業、大学との連携、コスト面の不透明さ、人材確保、健康食品を出す責任の重さなどあらゆる面で実現することが難しいように思います。しかし、実現に向けた課題を解決できれば利用者の工賃アップ、社会参加する場が拡大できるのではないかと思います。これまでよりも大学、企業との連携を深め、その中で利用者が活躍できる場面を生み出す。洋菓子店を通して法人全ての利用者と社会が共生できるのではないかと考えます。また、顧客ターゲットを絞り、健康食品としての価値を生み出すことができれば洋菓子店の商品ブランド力を向上できるのではないかと期待しています。



結果、法人上層部の賛同を得られず企画実現できておりません。本文は本物の企画書の一部の為、内容が薄くなり申し訳ございません。福祉が市場の競争に参加し戦えるようになるために自分なりに考えた企画でした。これからも障害を持って生まれた方々が社会とつながりが持てるよう活動、企画していきたいと思います。


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