マガジンのカバー画像

雑多なもの

8
運営しているクリエイター

2020年12月の記事一覧

イスラームの寛容さについて

イスラームの寛容さについて

 イスラームと聞くと、その暴力性がしばしば取り沙汰され、危険な宗教だというイメージが付きまとう。それは2001年に起きたアメリカ同時多発テロ以降のハンチントンの「文明の衝突」論に顕著に表れているところだろう。最近でもフランスで表現の自由を謳ってイスラームの使徒たるムハンマドのカリカチュアをツイッターに投稿した男性教諭がムスリムの青年によって刺殺された事件が記憶に新しいだろう。そしてこうしたイスラー

もっとみる
『チッソは私であった』:文明批判の視点と倫理

『チッソは私であった』:文明批判の視点と倫理

 2020年12月、河出文庫から緒方正人『チッソは私であった:水俣病の思想』が刊行された。もともとは2001年にローカルの出版社である葦書房から刊行されたもので、ながらく絶版だったこともありとても手に入りづらく、この度の河出書房新社からの再販はとてもうれしい知らせだった。

 わたしは大学の社会運動に関する講義で緒方さんを知った。いかに上手に資源を動員して、政治的目的を達するかが主眼になる社会運動

もっとみる