黒猫

たまに話を書きます。あとはつらつらと

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  • その日は雪が降っていた。

    創作大賞2023応募作品

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その日は雪が降っていた。

あらすじ 中学三年の夏、自分の性嗜好について悩んでいた瀬那のクラスに季節はずれの転校生、吉良アンジュがやってくる。 アンティークドールのように美しい彼女は、何故か瀬那に懐いて、そして瀬那はひょんなことから彼女の秘密を知ってしまう。 青白い肌に浮かんだ蓮の花。冷たいラムネに夜のプール。 変わり者で突拍子のないアンジュの行動に振り回されつつも、悪くないと思っていた穏やかな青い日々。 それは唐突に終わりを告げて、瀬那を置いていく。 特別がほしい年頃の少女たちが周囲や互い、大人の身勝

    • マーシャルの匂い

      久しぶりにここでキスして聴いたらエモすぎて死にそうになったやっほーカジュアルな死にたがりの黒猫です!恥の多い人生を生き抜け! 前回の日常記事で今の職場を辞めて、職業支援施設に移るとお話したんですけど、現状お話すると 全然辞めれませんでした。 誰か嘘と言って。 決まってすぐ店長に話そうとしたんですが、全然捕まらなくて、あらぁ‥と思ってたら、口が軽いことに定評のある先輩にうっかりバレまして。 まあその日は彼女と店長は顔を合わせる予定がなかったのでギリセーフかと思ったら、3

      • その日は雪が降っていた。

        9話 兄の言う通り、母はすぐに来た。 多分もう床に就いていたのだろう、いつも割ときちんとしているのに足元は便所サンダルだし、服は着古たTシャツとズボンだしで、アンジュの祖父を見たあとだと何だかどうも小っ恥ずかしい気持ちになった。 「瀬那!」 駆けつけた警察に事情聴取をされていたあたしはその声を聞いて、引っ込んでいた涙がぽろんと一粒零れ落ちた。 母は飛びつくようにあたしを抱きしめ、すぐにあちこち確認するようにぺたぺたと触ってくる。 水道水でベシャベシャなあたしを抱きしめたせい

        • 何十年前の僕から

          新年開けました! どうもお久しブリーフな黒猫です生きるって大変! まあ特に書くことないんですけど、とりあえず新年の挨拶がわりにあなたにもあなたにも凶のおみくじ!(今年もおみくじ凶でしたさすがあ!) 後厄の年に当たるからですよね?ね?って神様に問いただしたいところ。 まあなんていうか3年連続の凶なので、ここまで来るとどこまで引くのかな?って気にはなります。 来年も引いたら多分その場でめちゃくちゃ笑う自信ある で、最近職場がミニマムだかミディアムだか知りませんけども、人員削減

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        • その日は雪が降っていた。
          9本
        • ショートショート
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        • ショートエッセイ
          1本

        記事

          いつまでもたえることなく

          物書きのくせに何も書かないことで定評のある黒猫ですはろーん\( ´ω` )/ 今年も残すところあと5時間となりました。ガキ使今年も帰ってこなかったね‥‥ どうにかなんか書きたいなーと思って、note開きはするんですがハァ書けねえ、読めねえ、ネタがねぇ!って感じです。 もはやブログすら文章のキレがない。 てここまで書いて寝てた。← もうダメだよお! 来年もちまちまと書こうと思います、よろしくね!

          いつまでもたえることなく

          子供は風の子 元気な子

          人生二度目のインフルでぇす!!!なんでだよ!!! 世界がいつも優しくない。どうも黒猫ですいえーい✌️ 娘ちゃんがインフルなりましてね、高熱出て熱性痙攣が怖かったので元々不眠の民なので初日は徹夜したわけですよ。 そしたらタミフルってすげえのね、2日目からもう超げんき。 3日目の朝にはもうインフルの訪れを感じていた私、昼過ぎにインフル検査に行こうとしたわけですよ そしたら電柱にぶつかってミラー折っちゃったでねーの。 今日お見舞いの電話くれたたっくんに、 『体調の善し悪し関係

          子供は風の子 元気な子

          ドントリメンバー

          きっと、きっと、どこまでも、あなたの面影を見つけては、わたしは何度もこの感情を持て余す。 (あ、好きなマンガ新刊出てる) ふと立ち寄ったレンタルショップで、買い集めてはいないが読み続けている漫画を見つけて手に取った。 表紙は好きなキャラクターと主人公のイラストで、少しだけ気持ちが浮き立った。 パラッとページを幾つかめくると、ふと心がざわめいた。 好きなキャラクターが主人公にそっと触れる、心底お前が欲しいと伝える、けれども絶対に彼女の望まないことはしない。 ふいに、頭の片

          ドントリメンバー

          世界を愛し損ねたひと

           彼女と別れて、三年以上の月日が流れたのに。 「わたしねえ、どうして生きているのか、わからないの」  三月、桜もじきに咲きだすころ、二週間振りに会った元カノはそう言って、一口、メロンソーダを飲んで笑った。  不意だった。  昼下がりのカフェで、僕らはのんびりと談笑をしていたはずだった。  先程まで柔らかい光の中、近くにあったカフェの喧騒が遠くなる。  彼女の仕事が早く終わる水曜は、時折SMSが届く。  その日も特に何をするでもなかった僕は、二つ返事で彼女の誘いに乗ったのだ

          世界を愛し損ねたひと

          さよなら君の声を抱いて

          スピッツは名曲しかない。 どうもどうにか生きてます黒猫ですいや死にそう 我が家は喘息家系なんですが久しぶりに喘息発作を食らって死にそうです。 抗生剤とステロイド剤が友達。吸入はおかん。 案の定続きが滞っているので、随分昔に書いたショート更新しに来ました。 当時、こじれて別れた相手がモデルだったり。 私はその人のことを多分人生の中で身も世もないほどに心底愛していたのですが、それは愛ではなく、私の生い立ちによる依存だったと今は思います。 どうにかこうにかまともになってきて思

          さよなら君の声を抱いて

          その日は雪が降っていた。

          8話 ※暴行シーンがあります。軽いものですが注意 7時半を周り、もうすぐ花火が上がる時刻が近づいてきた。 周囲も賑やかさがピークを迎えており、半ば押し流されるようにして道を進む。 そんな中、なんだかんだと屋台を周り、お面やらヨーヨーやらですっかりThe祭りを楽しんでます!という風貌になった早川が不意に立ち止まった。 「早川? どした?」 「‥‥あら、もしかして靴擦れかしら」 アンジュがあらあら、と言いながら、早川の足元にかがみ込む。 「我慢してたけどもう無理痛い~」 半泣き

          その日は雪が降っていた。

          その日は雪が降っていた。

          7話 アンジュの家は今どき珍しい純和風の古い家だった。 言い出しっぺの早川は浴衣がなかなか着れずに遅れてくるとのことで、あたしはショートパンツにTシャツといった出で立ちでアンジュの家の前に突っ立っていた。 恐る恐る呼び鈴を押す。ビーッというけたたましい音の後に人の気配がして、からから‥‥と玄関の引き戸が開き、先日見かけたお祖父さんがぬっと顔を出した。 「こ‥‥こんにちは、あの、」 「話は聞いてる。上がりなさい」 有無を言わせぬバリトンが頭上から降ってきて、あたしはまごまごし

          その日は雪が降っていた。

          塞がらぬ傷口をぎゅっと抱き締めて

          眠れぬ夜にハローハロー!どうも黒猫です 何とか6話書けた!そろそろ承の部分に移りたい! そんな感じでタイトルはまた好きな曲の歌詞です。 わかった人は私と友達になれる。← まあ絶対締切間に合わんよねーで思いながら書いてるんですけど、久々に自分の好きなことをしてると思うとすごく楽しいです 最近本も読めてないので、構成もだいぶ危うい自覚はあるのですが、スキの通知来るだけで嬉しい そんな感じでまた7話近々書き始めると思います。 ひえーがんばる!

          塞がらぬ傷口をぎゅっと抱き締めて

          その日は雪が降っていた。

          6話 アンジュと一緒に帰った日からあっという間に2週間が過ぎた。 夏休みに入り、あたしは所属している陸上部での部活動に勤しんでいた。 ただし部活動と言っても、ド田舎の弱小部でとっくに大会からは引退していたので、ほぼ惰性に近いルーティンをやるのみだ。 同じ陸上部である早川はもはや何をしに来ているのかと実際に顧問に小言を食らうほど、のんべんだらりとしている。 正午近くになり、部活時間も終了したのであたしはラインカーを片手にのそのそとハードルを片付ける早川に声をかけた。 「‥‥‥

          その日は雪が降っていた。

          あなたのキスを数えましょう

          タイトル思いつかなかったので好きな曲から拝借ぅ! どーもどーもするする詐欺の黒猫ですごめんなさい!(土下座) 誰だよ更新するまでの間、書いたことあるやつ更新しますねとか言ったのわたしだよ!!! そんな感じで5話やっと書けました。これから展開どうしよう笑 昔から行き当たりばったりで書くので、時々話が噛み合わなくなったりするので長編は元々苦手なのですが、もはや書ききることだけを目標に書こうと思います。← ていうかやっと主要キャラ全部出た‥‥おじいのキャライメージがイマイチ定まり

          あなたのキスを数えましょう

          その日は雪が降っていた。

          5話 蝉の声がやたらとうるさい帰り道。 あたしは何を話せばいいのか、何を話したかったのか、解らなくなって思考停止状態だった。 一緒に帰ろうと誘ったアンジュも特に何も喋ろうとはせず、にこにこの笑顔のまま、あたしの隣を歩いている。 繋がっていた手は校門を出ると同時にアンジュがそっと離した。 狭い田舎で今朝のことはとっくに校内中に知れ渡っているとは思ったけれど、アンジュのよく解らない気遣いにあたしは内心ほっとしてしまった。 陽射しが強くて、少し先の道には逃げ水がゆらゆらと揺らめい

          その日は雪が降っていた。

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          4話 5限の終わりを告げるチャイムが鳴り、廊下が俄(にわか)に騒がしくなる。 目を擦らないように持っていたハンカチで覆っていた顔を上げて、あたしはすん、とひとつ鼻を啜って立ち上がる。 誰かに見つかる前にトイレに引っ込んで、人が引いてから職員室に行こう。 そう思ったのに。 「うおっ萩原、何してんの」 サブちゃん先生カチキレてたよ。(苗字が北島のちょっとキツい現国の女の先生である。演歌は好きではないらしい。) そう言って、ひょこっと顔を出したのは早川で、あたしは深々とため息をつ

          その日は雪が降っていた。