廃校舎が奏でるセカンドステージ
高知県の室戸市には「むろと廃校水族館」という、その名の通り廃校舎がそのまま水族館になった面白い施設があります。
教室やプール、廊下に至るまで、学校の設備を工夫した展示が魅力の水族館です。飼育されている魚は地元である室戸の海で見られる生物が中心で、他の水族館にはいない珍しい魚も数多く飼育しています。
又の名を「室戸海洋生物飼育展示施設 むろと海の学校」といいます。
特に目玉となる生物がいないにも関わらず入場者数は年々増加し、室戸市の新たな観光スポットして注目されています。
そんな廃校舎の第二の人生を覗いてみました。
展示する魚は地元漁師から譲り受けたり、地元の方の話を元に職員自ら捕獲した魚を飼育するなど、地元の方々の協力によって支えられています。
水族館の至るところで「漁師」という言葉やそれに関する展示が多数あります。
この標本展示、「この辺りによくいる」「美味しい」「魚」といったように説明がだんだん適当になっていきます。これと言った特徴がないので、きっとそれしか言うことがなかったのでしょう。そこも見ていて面白いです。
少子化や過疎化によって全国的に廃校が増加傾向にあります。
廃校になった校舎は廃墟になるか、そのまま解体されてしまいます。校舎の中には貴重な建て方をしているものも多く含まれ、文化財の指定を受けている建物もあります。
そして何より、子供の頃の思い出がたくさん詰まった特別な場所なのです。
校舎を無くすのは寂しいし、もったいない。
そんな思いから残された校舎を活用しようとカフェや集会所、宿泊施設など様々な形で転用が進んでいます。しかし、築造年数が経過している、いわゆるレトロな校舎は腐食や耐震などの設備修繕に莫大な費用がかかるケースも多く、地元の方の理解や行政の協力などの問題があります。
そうした諸問題をクリアできず、結局解体されてしまう所も少なくありません。一筋縄には行かないのが、廃校舎存続の難しいところです。
廃校舎特有の諸問題を考えた時、今回のむろと廃校水族館は廃校舎の存続、維持に成功した貴重な事例ということを改めて実感します。
閉校になり、子どもたちの声が途絶えてしまった小学校。
水族館に生まれ変わった校舎には、再び子どもたちの声が響きわたっていました。
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