ラグビー観戦記🏉1/13・大学選手権決勝・帝京vs明治〜スクラムの背に降る雪よ〜
1.小春日に
寒桜が澄み切った青空に花開いている。
手袋もいらない小春日和の千駄ヶ谷🌸
『本当に、雪なんて降るのかな⁉️』
気象庁は、
【午後3時過ぎから天気は崩れ、気温は急降下、雨のちに雪🥶】と予想していた。
たしかに、北の方向を見ると鈍色の雲がどんよりと空を占めているが、、
東京 千駄ヶ谷 午後1時半。
駅改札からは、続々と赤もしくは紫紺に身を包んだ人々が連れ立って東京体育館脇を歩いていく。おそらく同窓会を兼ねているのか、
『お久しぶり❗️』『変わらないなあ❗️』
という声はさりげなく、また気遣いに満ちていた。
彼らは皆、麗かな日差しが注ぐ『聖地』を目指していた。
国立競技場
大学ラグビーの王者を決する一戦が始まる。
2024年1月13日
早くもあちこちで、ビール片手にこの日の展望が語られている。
とはいえ、
帝京有利、この事実だけは揺らがない。
🔥🔥2連覇中の王者帝京大学🔥🔥
かつてラグビー界の革命児的存在だった帝京も、『無敵王者』の風格を纏う存在となって久しい。
今季のメンバーも、スピード、フィジカル、スキル、いずれも目立った穴はない。リーグ戦無敗、選手権も【横綱相撲】で決勝まで駒を進めた。
🔥🔥対する明治🔥🔥
今季は⭐️創部100周年⭐️、というスペシャルな年だ。
主将廣瀬くん率いるメンバーの背負ったプレッシャーは想像を絶するが、彼らはその期待に見事応え決勝までたどり着いた。
今季の明治は、お家芸の重量FWに加え、スピードに満ちたスマートなラグビーに磨きをかけてきた。
しかし、あくまで『挑戦者』の立場にある。
リーグ戦では43ー11という大差で敗れた【赤い王者】に、この大一番どう戦うのか、、
確かに、青空だった上空は、徐々に雲が増えてきた。
午後3時過ぎ
優勝トロフィーが花道に設置され、いよいよ両大学の選手達が入場する。
観客は、この晴れ舞台に臨む青年達に温かい拍手を送った。
メイジー❗️テイキョー❗️
客席のあちこちから選手に激励の声がかかる。
準決勝と違い、選手達は全員フィールドコートを羽織り一列に並んだ。私達も立ち上がった。
黙祷
想像を超える被害が連日報道される能登半島地震、犠牲になられた方々に鎮魂の祈りを捧げる。
続いて校歌斉唱。
一度座った観客がバラバラと再び立ち上がった。張りのある歌声が聖地に響いた。
紫紺の旗が、
赤い旗が、
歌声に乗って誇らしげに揺れた。
選手達はコートを脱ぎグラウンドに散っていく。
メイジー❗️❗️テイキョー❗️❗️
絶叫に近い声援がグラウンドに飛んでいく。
帝京は選手権3連覇を目指して、
明治は創部100周年の戴冠を目指して、
試合が始まった。
もちろん、
この試合が、予想もしない長丁場かつ苛酷な戦いになろうとは、この時点で誰も予想していない。
2.前半①〜冬雷轟きて〜
試合開始早々、まだ校歌が醸す母校愛の余韻が残る中で、帝京は容赦なく明治陣内に斬り込んで行った。
キャプテン江良くんの突破を機に、高本くんが狙いすましたステップでトライ⭐️⭐️
大学生とは思えない風格を纏う選手達、帝京の底堅い強さを思い知る😳😳
7ー0 帝京先制
試合に異変が起こったのは、前半20分過ぎ。
空はみるみる暗くなり、バラバラと氷混じりの雨が降り出した。
気象庁の予報は当たっていた。
いや、予報以上に天候は荒れ狂った❗️
ちょうど明治が敵陣に入りチャンスを掴みかけた頃、、 聖地の上空に眩しい閃光が走った⚡️⚡️
雷だ❗️😱😱😱
⚡️⚡️ドドドーン💥💥
これ、結構近くで落ちてないか⁉️
思わぬ爆音に選手達も足を止めた。レフリーがすぐ試合を止めた。
😱😱試合中断😱😱
やはり直ぐ近くに雷が落ち、安全確保のため試合は一時中断となった。あれだけ暖かった千駄ヶ谷に、凍るように冷たい空気が吹き抜けていく🥶🥶🥶
🥶🥶🥶寒い🥶🥶🥶
約1時間、観客はなす術もなく、ただ寒さに耐え、試合の再開を待った。
* * *
試合が再開されたのは16:40、
選手達は霙から雪に変わった極寒のグラウンドで、ウォーミングアップを始めていた。
もちろん、もはや何をやっても体が温まる天候ではない。観客は選手達に激励の拍手を送った。
彼らは一斉に、雪舞うグラウンドに飛び込んでいった。
雪は風に巻かれ荒れ狂うように降っている。
前半22分の時計から試合は再開した。夜間照明が東京の荒れた初雪を眩しく照らしていた。
3.前半②〜『紫紺』なればこそ〜
この1時間の中断の間に、両校はどこまで相手の様子を見定めることができたのか。
試合再開後、最初にトライを奪ったのは帝京だった。前半26分、
モールでグングンと攻め切った。最後はキャプテン江良くんが飛び込んだ🔥🔥
この日は、キッカーを務めた15番山口くんが絶好調、着実に加点していく🔥
14ー0
ここから、明治の反撃が始まる🔥🔥
前半35分、
安田くんの好走から一気に敵陣へ🔥
最後は秋濱くんが左隅に飛び込んだ🔥🔥
14ー5 9点差❗️
さらに前半39分、
敵陣内でのスクラムから、ボールは素早く左に出た。10番伊藤くんが待っていた🔥
海老澤くんが敵のタックルを交わして見事にトライを決めた🔥🔥
廣瀬くんもCGを確実に決めた。
ここで前半終了、
そう、まだ『前半』なのだ❗️
既に日は落ち、荒れ狂う雪が漆黒の空を舞っていた。
4.後半〜赤い王者は揺るぎなく〜
後半早々から、明治は自陣でペナルティーを連発、すかさず帝京はPGで突き放しにかかる、
後半18分、
ようやく明治は敵陣に攻め込みボールは右方向へ、しかし、直前に押し出されトライに至らず。
テイキョー❗️テイキョー❗️
メイジー❗️メイジー❗️
両校の凄まじいエールが雪嵐の国立に繰り返された。
その後、帝京小村くんの見事な足技でボールは転々と明治陣内へ。
戒田くんがゴールライン際の攻防を制しトライを決めた🔥🔥
追う明治。後半22分、
帝京陣内で帝京のペナルティー、この大切なPGを廣瀬くんはしっかりと決めた⭐️
27ー15 12点差❗️
この時の廣瀬くんの表情、ただ一点を見つめる眼差しは凛々しかった。
しかし、
帝京は、ここからギアを上げる余裕があった。明治の攻撃をがっしり受け止め、電光石火の反撃に転じた。
降り頻る雪、凍えるような寒さは選手達の体を容赦なく消耗させていただろう。重なるハンドリングエラーは、試合の攻守を目まぐるしく二転三転させた。
しかし、それすら帝京にはものともしない余裕があったのか。
帝京ボールのスクラム、
テイキョー❗️テイキョー❗️
力強い声援が観客席から起こった。もちろん、明治のコールは試合再開後から唸りを増していたが、それに負けない帝京コールが響いている。
テイキョー❗️❗️メイジー、ここからー❗️❗️
手拍子と共に繰り出される声援は時間と共に熱を帯びた。
明治は再三チャンスを手にしたが、帝京のディフェンスは想像以上に堅かった。
この後、
帝京は『ねじ伏せる』かのようにパワーで明治を圧倒、2トライをあげ試合を決定づけた。
ノーサイド
⭐️⭐️帝京大学 大学選手権3連覇達成⭐️⭐️
激闘を終え、選手達は互いを労い合った。
帝京の選手達は、笑顔を弾けさせ、堅く抱き合い、涙を拭いながら栄冠の歓喜を分かち合いつつ一列に並んでいく。
この時、明治の選手達の心に去来したものはなんだったのだろうか。
彼らもまた、肩を叩き合い、涙を溢れさせ、耳元で何かを囁きながら、長い列を作っていった。
私達はここで席を立った。
雪は嘘のようにすっかり止んでいた。
新宿のイルミネーションが、澄んだ冬空に浮かび上がっていた。
〜あとがき〜
帝京大学の選手スタッフの皆様、優勝、そして3連覇おめでとうございます。
明治大学の選手スタッフの皆様、創部100周年という節目の年に準優勝、胸を張って来季へ、社会へと羽ばたいてください。
予想外の悪天候に、観客の私達も翻弄されました。雪中のナイター試合、それは幻想的な、なにか夢でも見ているような不思議な感覚でした。
心身共に過酷な環境の中を戦い抜いた両校の選手の皆さんに心から敬意を表します。